念願の阿寺渓谷へ行く。
いつもの勇み足が出て、入口の駐車場に車を停め、張り切って歩き出したら、他の人はみんな車で上まで行っていた。しかし今更引き返すのも悔しいので、狭い道路での車の行き交いにときおりうんざりさせられながらも、紅葉と山の空気に励まされながら一時間歩き通す。
だんだんと濃くなる水の色に目を見張る。
川岸に近づき、岩場に腰を下ろしてしばし呆然とする。疲れた四肢に、宝石を無数に散りばめた様なきらめきが圧倒的な感動で沁み入って来る。
両脇の山が高いので、少し日が傾くと、水面の煌めきは見られなくなった。ほんのわずかな時間帯だけに用意された芸術作品であった。
ここまで歩いてきて本当に良かったと思う。そしてこれからも歩いていこうと思う。こういう美しさに、またどこかで巡り合えるなら。
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