再開発という名の破壊から辛うじて逃れられた篠ノ井線明科駅近くの三好屋食堂。暖簾が出ているだけで店の名前も出ていないので、知らないとここが食堂とは気が付かないだろう。摺りガラスの窓越しに並べられた食器類が辛うじて食堂の証となっている。参政党から共産党、自民党、幸福実現党まで壁に貼られた政党ポスターは、節操がないわけでなく頼まれれば断らないという店主の気前良さだろう。
昼のピークも過ぎた時間に入店すると他に客はいなく朝ドラの再放送が流れていた。手書きのメニュー表の価格設定を見ると、ここ何年も据え置きだろうという感じで嬉しくなる。とりあえずビールとモツ煮を注文。モツ煮は意外にも鳥モツでレバー、砂肝、鳥皮がこんにゃく玉ねぎなどと煮込まれていてこれはこれで旨くビールによく合う。〆を何にしようか?ラーメンもカレーもチャーハンも600円だ。司馬遼太郎は取材先では味に外れが少ないということでよくカレーを食べたそうだが一理ある。で、ここはカレーを注文。今ではすっかりお目にかかれなくなったアルミの型取り器で盛られたライスに昭和を感じる。意外といっては失礼だが辛みもちょうどよくとても旨かった。
食後は強風と黄砂舞う中を大糸線穂高駅まで約6キロの駅間ウォークで腹ごなしだ。まだ3月だというのに暑い日だった。
グーグルマップで見ると明科には他にも食堂がいくつか。テンホーは好きだけど、長野県って案外新潟県よりそういう古い個人の食堂、残ってるような気がします。