オムイ外伝シリーズ 第四部(奇想天外篇) 第32話 |
抜け忍オムイの最終奥義『アロンアルファの術』は、読者の記憶に新しいであろう。 | |
おのれの尻と敵の尻を、瞬間接着剤でくっつける。しかる後、一気にバリッと引き剥がすという、恐ろしい捨て身技である。 | |
この技によって追忍が一敗地にまみれたことも既に述べた。尻の皮を破られてしまったのである。 | |
そこで追忍は、この技を破るため、尻の皮を鍛えに鍛えた。 | |
そして今、雪辱戦に臨んだのである! | |
両者の尻は再び、瞬間接着剤によって接着された。 | |
オムイが尻を引き剥がした瞬間に、勝敗が決せられる……! | |
追忍は、その瞬間を今か今かと待っていた。 | |
……しかしオムイは、いつまで経っても動こうとしない。 | |
どうやら、何か目算があるらしい。 | |
あろうことか、オムイはくるりと丸くなり、 | |
そして、ぐっすりと寝入ってしまった……。 | |
その状態のまま時が過ぎ、やがて、夜のとばりが訪れた。持久戦である。 | |
追忍は、一晩中まんじりともせず、じりじりしながら待ち続けた。 | |
―― やがて朝になり、接着剤は自然に剥がれた。 | |
ぐっすりと眠ったオムイは、すっきりした面持ちで目を覚ました。 | |
一方、緊張したまま一睡もしなかった追忍の体力は、限界に達していた。 「はぁはぁ……」 | |
「ああ……頭がくらくらする……」 | |
「く、苦しい……」 | |
そんな状態だったので、簡単にやられてしまった。 「ぐはあーーーーッ」 | |
ガクッ |