ケガ猫を保護(後編)

2011年10月19日 16時34分11秒 | B地点 その他

 

 

承前


24時間が過ぎた。
再びXさんに話を聞く。

ケガ猫は余りフードを食べないらしい。
食べた形跡はあるが、他の猫が食べたのかもしれない、とのこと。

ケガ猫は、昨日の場所から、10メートルほど移動したらしい。

それくらいの移動はできる、と考えれば、重篤ではない。

それくらいの移動しかできない、と考えれば……重篤である。
ところで、保護に必要なのは、「カネ」と「テマヒマ」である。

「カネ」というのは、主に、病院の支払いである。
今の場合、少なくとも数万円はかかるだろう。では、誰が払う?

「テマヒマ」というのは、主に、保護預かりである。
つまり、給餌・給水と、糞尿処理と、投薬である。
それを毎日続けるのだ。では、誰がやる?
XさんやYさんと話した。

「カネ」と「テマヒマ」というハードルが、
かろうじてクリアされたようなので、
保護を試みることにする。
その際、いつものリュックを使うことにする。

ちなみに、私は以前にも、
たまたま持参していたリュックで猫を保護したことがある。


(参照、2009年06月03日「たまにはこんなことも」

Xさん・Yさんと共に、現地に行ってみる。

いた!
患部の状態は、よく見えない。

地面に接しているあたりが、患部なのだろう。

なんだか「腰が抜けている」ように見える……。
ケガ猫は、護岸を昇りたいらしい。

だが、それが、できないようだ……。
私たちは慎重に近付いた。

私はかろうじて、ケガ猫に触れることができた。
なんとか、背中をなでることができた。
だが、ケガ猫は、私を威嚇する。
逃げてしまうかもしれない。
或いは、こちらが傷つくかもしれない。

私は諦めかけたが ――
Yさんが、ケガ猫をうまくなだめた。

どうやら、ダッコできそうだ。
私は、リュックのジッパーを開けて、保持。
すかさずYさんが、ケガ猫を抱え上げて、リュックに入れた。

リュックごと、護岸の上に搬送。
Yさんが車を回してくれるのを待つ。
ケガ猫は、おとなしい。
暴れる気力もないのかもしれないが……。
ちょっと中をのぞいてみる。
ケガ猫は、落ち着いている。
やれやれ。
やがてYさんの自動車が到着。
ケガ猫は、このリュックに入れられたまま、動物病院に搬送された。
後でリュックを返却してもらってから判ったことだが、
リュック内部には、凄まじい悪臭が付着していた。

ケガ猫の患部には、ウジが湧いていたとのこと。

おそらくは数日間、ろくに動けなかったであろうケガ猫は、
糞尿も垂れ流しだったようだ。
私はリュックを捨てることにした。

リュックとしても、これほどまでに猫に尽くしたのだから、本望だろう。
ケガ猫は、数日間、入院した。
詳しいことは、ここには書かないが、ともかく一命を取り留めた。
保護しなかったら、あの場所で死んでいただろう。

ケガ猫は退院後、とりあえずYさんの家で療養することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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