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この日、顔なじみのXさんが、 「ケガをしている猫がいる」と言う。 |
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事情を聞いてみると ―― Xさんは、通りすがりの人に教えられ、ケガ猫を発見したとのこと。 下半身(腰・後肢あたり)にかなりのケガをしているらしい。 |
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Xさんは、獣医師と、Yさんに連絡。 まもなく獣医師が、現地に往診。 当該の猫は、威嚇する(ないし、逃げようとする)ので、 さしあたり捕獲は不可能だったとのこと。 |
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とりあえず獣医師はXさんに、抗生物質を処方した。 Xさんは朝晩、フードに薬を混ぜて、現地に持参し、ケガ猫に与える ―― と、話が決まったとのこと。 |
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私が、上のような事情を聞いているうちに、Yさんもみえた。 |
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Xさんが持って来た、薬入りのフードの香りに惹かれてか、 脅威君が私たちの後に付いてくる。 |
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現地に行ってみると ―― ケガ猫は、水際の草叢の中に、うずくまっていた。 |
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黒白はちわれ。雌雄不明。初めて見る。 地域猫なのか、飼い猫なのか。 |
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私は注意深く近寄ってみたが、やはり、ケガ猫は、威嚇する。 無理して近付けば、逃げてしまいそうだ。 逃げて姿を消してしまったら、もう対応ができないので、ここは慎重に。 ケガの状態は、まったく見えない。 |
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Xさんが置いたフードを狙って、脅威君が近付く。 |
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画面中央はケガ猫。薄目を開けている。 食欲はないようだ。フードを食べようとしない。 画面右下は、脅威君。 |
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もしも、すんなりダッコができるのなら、 或いは、ぐったりしているのなら、保護は容易だが、 しかし今の場合、ネットを使うか、捕獲器を使うか…… 獣医師は、麻酔剤を使う可能性を示唆していたそうだが…… いずれにせよ、当日の保護は、技術的に不可能である。 保護するとすれば、翌日以降になる。 なお、保護が技術的に可能であるとしても、 金銭的に可能かどうかは、また別の問題である。 |
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ともかく、その日はもう、どうしようもない。 私たちは脅威君をケガ猫から遠ざけ、現地から立ち去った。 とりあえず当初の方針通り、その日の晩と翌朝に、 Xさんが薬入りのフードを現地に持って来て与えることになった。 |
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先回りして言っておくと、ケガ猫は翌日、保護され、入院した。
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