「いやあキミィ、ずいぶん降ったねえ」 | |
「ほらほらキミィ、何してるのかね。社長のイスを早く組み立ててくれたまえよ」 「申し訳ございません、直ちに」 | |
「で、何かね、この書類は?」 「はっ、副賞の件でございます」 | |
「愚考いたしますに、今般の賞品、戸外で用いるものではありませんし、野良猫であらせられる社長におかれましては、人工の玩具ではなく自然界の動植物で遊ばれるのが至当かと」 | |
「つきましては、ご縁の深いキジトラ兄弟様への贈り物になさっては如何でしょう?」 「キミィ、そりゃまさに、私が以前から考えていたことだよ」 | |
「恐れ入ります。では、社長、ご決裁を!」 | |
「じゃ、キミィ、宜しく頼むよ。くれぐれも丁重にな」 | |
「じゃ、私は寝るからね」 |