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今日ぼくがベンチでぼーっとしてたら |
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だしぬけにミーコさんが現れたんだ 隠れる暇もなかったよ |
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ミーコさんはおもむろにぼくの隣に座った どど どうしよう 何か言わなくちゃ ドキドキドキ わっ 心臓が飛び出しそうだ |
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しかも 偶然だけど 足の先が触れ合ってしまった ミーコさんの柔らかくて温かい肉球! わわーっ! |
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ぼくは必死で平静を装っていたけど 心の中では 大声で叫んでた |
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ミーコさんの方はといえば 終始澄まし顔で 足先が触れているのにも気付かなかったみたいだ |
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……間もなくミーコさんは行ってしまった 何も言わずに また 何事もなかったように |
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もちろん ぼくも結局何も言えなかったよ ちぇっ ぼくってダメだなあ |
※ タイトルは、ロラン・バルト著/三好郁朗訳 『恋愛のディスクール・断章』(みすず書房、1980年) 100頁より
おまけ写真 |
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