(承前)
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彼の夢の中に、春の精が訪れたのではなかろうか。 | |
春の精が、自らの顕現を、おむに告げたのではなかろうか。 | |
その夢は、春のかぐわしい香りに満ちていたのではなかろうか。 | |
目覚めたおむは、既に春の訪れを知っていたに違いない。 | |
桜の幹の高みに上ったおむは、目前に迫る「春」を、はっきり見たに違いない。 | |
きっとこの時、彼は「春」を確信したのだ。 | |
彼はおもむろに木から下りた。 | |
その瞳には、或る種の緊張が漲っていた。 | |
よっちゃんが現れた。 | |
こんなに早い時間に、よっちゃんが現れるのも、私が見てきた限り、「この冬初めて」のことである。そして恐らく同時に、「この春初めて」のことなのだ。 | |
15時54分。この日の、最後の写真。
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夜が好きな僕も、実はけっこう写真を撮られてるんだけどね。
でも、カメラのお兄さんが、なかなか整理してくれないもんだから、
あんまり登場できないんだよ。
お兄さん、もっとがんばってよ!
おむさん、どこかへお出かけしていたのでしょうか?