失踪譚 03

2009年02月02日 16時27分00秒 | B地点 おむ

 

承前


02月02日。私は、いつもの時間に、いつもの場所へ。しかし、おむも、おかか先生も、現れなかった。

昨年12月20日のリリース以来、私は、おむの排尿の状態を観察するため、多めに時間を割くことにしている。
クリスマス前後の旅行と、元旦と、そして雨の日を別にすれば、私は毎日ここに来ている。
それらの日々の内、おむに会えなかった日は、一日だけであった(その日は多忙で、殆ど時間が取れなかったため、会えるとも思っていなかった)。
おかか先生に会えない日は、一日もなかった。
要するに ―― おむ/おかかに「会わなかった」何日かは別として、どちらにも「会えなかった」のは、リリース以来、初めてのことなのである。
おむは去勢済であるから、発情してうろつくことはない筈だ。他方、おかか先生は未去勢であるが、老齢のためか、殆どいつも定位置に居る。
にもかかわらず、今日に限って、両者とも居ないとは? 一体どうしたのだろう? 何かトラブルでもあったのでは?
給餌に来たボランティアさんも、珍しいことだ、と首をかしげている。
私は色々と、悪い可能性を考えた。この時の不安は、筆舌に尽くし難い。
90分ほど待ったが、徒労であった。

結果・結論のみを先に言ってしまえば、今回は「何ごともなかった」のであるが、それはあくまでも、結果として偶々幸運だったということに過ぎない。

野良猫は、或る日突然、ふと、居なくなる。忽然と、姿を消す。それで、ただそれだけで、オシマイだ。死亡が確認されれば、或る意味で(ニンゲンの都合に於いて)、まだ運が良いほうである。多くは、行方不明。生死不明。そのまま。 ―― それが、野良猫というものなのである。


(更につづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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