釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「日本の自業自得による衰退」

2024-03-30 19:10:24 | 社会
今日は晴れた最高気温が16度の風はやや強いが暖かい日となった。庭ではレンギョウ、ミズキ、アンズの花が咲き始めて来た。小さい方のショウジョウバカマも咲いた。少し強い風に吹かれながらのウォーキングも気持ちが良かった。各庭で梅が咲いていた。 小林製薬は未知の物質が検出されたとしているが、それが腎障害の原因だとはまだ判明していない。mRNAコロナワクチンが多くの腎障害を引き起こすことはすでにいくつもの研究で明らかになっている。日本腎臓学会は2022年に「「COVID-19ワクチン接種とネフローゼ症候群新規発症・再発の関連性に関する調査研究」アンケート調査結果のご報告」を学会サイトに載せている。内科・腎臓内科339名、382施設を調査し、「新規発症6例、再発21例を確認しました。」とある。欧州医薬品庁でも腎不全急増で腎臓への障害を警告している。血尿、IgA腎炎、腎臓癌なども報告されている。論文では、「Acute tubulointerstitial nephritis after COVID-19 m-RNA BNT162b2 vaccine(COVID-19 m-RNA BNT162b2ワクチン接種後の急性尿細管間質性腎炎)」、「Relapse of IgG4-related nephritis following mRNA COVID-19 vaccine (mRNAワクチンCOVID-19接種後のIgG4関連腎炎の再発)」、「A case of acute interstitial nephritis following the Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine(ファイザー・ビオンテック社製COVID-19ワクチン接種後に発症した急性間質性腎炎の1例)」、「A Case of Acute Interstitial Nephritis After Two Doses of the BNT162b2 SARS-CoV-2 Vaccine (BNT162b2 SARS-CoV-2ワクチン2回接種後に急性間質性腎炎を発症した1例)」、「Anti-GBM nephritis with mesangial IgA deposits after SARS-CoV-2 mRNA vaccination(SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種後のメサンギウムIgA沈着を伴う抗GBM腎炎)」など多数がすでに発表されている。紅麹が腎障害の原因だとして発表した日本大学阿部雅紀教授は、毎年2000万円前後の支援を大手製薬企業から得ており、腎障害患者のワクチン接種歴には全く触れていない。小林製薬は創業は古いが、さほどの大手製薬企業ではなく、政治献金もしておらず、政府の最近の発酵食品規制の流れで、槍玉に挙げられている可能性がある。日本は食品添加物天国であり、健康的な伝統食品が次々に排除されている。先進国で最高の国会議員手当を出す一方で、国民の実質賃金は減り続ける。裏金があっても国税局は脱税を許す。2014年に内閣人事局が設置されてから、官僚の萎縮が加速している。政治に逆らえば、官僚の首が飛ぶ。三権分立はすでに有名無実状態だ。日本のシステムが崩壊している。今月6日、世界156カ国に15言語で配信されているProject Syndicateに、「Japan’s Self-Inflicted Decline(日本の自業自得による衰退)」が載った。執筆はイタリア最古の商業・経済分野の大学、ボッコーニ大学の欧州政策研究所ダニエル・グロDaniel Gros所長だ。衰退の大きな要因の一つは、精密なアナログ技術からデジタル技術への転換が出来なかったことだとしている。ハンコ行政がいまだに続き、ネットでの手続きはほとんど不可能で、マイナンバーカードのお粗末さ。2010年創業の中国のシャオミXiaomiはスマホから出発し、瞬く間に若者中心の家電製品に進出し、一昨日はEVの中国版ポルシェを発表し、すでに2万件の注文が入っている。日本円で400万から500万円だと言う。動画で見るXiaomi SU7は日本だと700〜800万はしそうな車だ。

1980年代、日本は好調な輸出産業の礎として、ダイナミックな家電部門を誇っていた。しかし間もなく、日本がほぼ独占していたアナログ機器に代わって、新しいデジタル技術が普及し始めた。

ミラノ-日本はうまくいっているはずだ。日本は教育水準が高く、規律正しい労働力を誇り、研究開発への投資と支出の両面で他の先進国を圧倒している。実際、日本の研究開発費はGDPの3.3%を占め、つい最近まで米国を上回っていた。それにもかかわらず、日本の相対的な衰退は続いている。

1980年代から1990年代にかけて、日本は世界第2位の経済大国であった。しかし、現在では世界第4位の経済大国であり、人口が1億2,300万人に対し8,300万人とはるかに少ないドイツに最近遅れをとったというデータもある。

日本経済の衰退を理解するために、ビデオカセットレコーダー(VTR)の話を考えてみよう。非常に小型で信頼性の高い機械要素を必要とするこの技術的驚異は、かつては日本が誇る精密製造業だった。VTRの世界市場は日本がほぼ独占していた。米国のメーカーは存在せず、ヨーロッパの企業は品質対価格で日本に太刀打ち出来なかったからだ。全盛期(1980年代半ば)には数百万台が生産され輸出され、日本の輸出業者は比較的高い価格を付け、高いマージンを得ていた。

しかし、VTRのアナログ技術は、1990年代に登場し、2000年代初頭にはどこにでもあるようになったデジタルの代替品には太刀打ち出来なかった。VTRの生産は減少し、各社は価格を下げ、利益率を削ることを余儀なくされた。現在、日本でVTRを生産している企業は1社もない。テープレコーダーやウォークマンなど、他の多くの家電製品も同様の軌跡をたどった。

家電製品は日本の輸出産業の要であった。しかし、新しいソリッドステートのデジタル家電は、日本が得意とする精密工学を必要としなかった。そのため、部品をアジアの他の地域で生産し、製品を中国で組み立て、米国がソフトウェアを提供する方が安上がりだった。一方、日本の輸出品に対する需要と価格は下がり続けた。

エコノミストは、その国の輸出価格を単独で見るのではなく、輸入価格との相対的な関係、いわゆる交易条件を見る傾向がある。1980年代半ばには160%近くあった日本の交易条件は、1990年代後半にかけて低下し、2000年代前半には暴落した。2008年には100%を割り込んだ。これに対し、EUと米国の交易条件は、この全期間を通じてほぼ一定の水準(100%前後)を維持し、ほぼ常にプラスマイナス10%ポイントの狭い範囲に収まっている。

日本の相対的な経済衰退には、不利な人口動態よりも、日本の交易条件の悪化のような要因がはるかに大きな役割を果たしている。確かに日本の人口は高齢化し、減少している。しかし、米国の人口は1995年以降、日本の4分の1しか増えていないのに、GDPは300%以上も拡大している。

日本の生活水準は改善を続けているが、そのペースは緩やかで、日本の消費者は他の先進国の消費者に比べて全体的にあまり良くない。一人当たりGDPを例にとると、生活費を調整した場合、日本は米国に追随する傾向のある欧州に若干遅れをとっている。

大きな疑問は、なぜ日本のメーカーがビデオデッキのような製品をすぐに捨てなかったのか、また政府から捨てるよう促されなかったのか、あるいは、それに取って代わる最先端技術でリードしようとしなかったのか、ということである。企業が特定の分野でノウハウを獲得した場合、新しい分野に進出するよりも、その分野でさらに技術を向上させた方が得策だと考えることが多いからだ。

しかし、心理的要因もおそらく一役買っていただろう。日本の一流企業は、そして実際、日本社会全体も、技術力の高さに誇りを持っていたため、こうした立派な能力が価値を失いつつあることを受け入れ難かった。通産省を含む政府官僚も同様であった。通産省は、日本の成長を牽引してきたという神話的な評価を得ていた機関であった。日本の指導者や生産者は、重要な技術的能力が無価値になったことを認めるよりも、事実上、経済の衰退を選んだのである。

つまり、過去にどれだけ成功した経済であっても、新しい考え方や技術、状況に適応する準備が整っていなければならないということである。第二の重要な教訓は、たとえうまく管理出来たとしても、相対的な衰退は世界的な影響力の喪失につながるということである。

高齢化が進み、新興技術に弱いヨーロッパは注目すべきである。EUは20年近く前から、研究開発への支出をGDPの3%に引き上げ、投資を支援しようとして来た。しかし、この2つの施策で日本の水準に達したとしても、その資源が日没産業に向かうのであれば、欧州の成長問題は解決しないかもしれない。

土佐水木

ガザ

2024-03-29 19:16:55 | 社会
昨年10月7日以来、イスラエルの攻撃により、パレスチナ人3万2,552人が死亡し、その7割が女性と子供だ。負傷者は7万4,980人を超えた。イスラエルのガザでの虐殺は明らかであるにもかかわらず、米国やドイツ、フランス、英国はイスラエルを支援し続けている。中国、ロシアはガザに支援物資を届け、ロシアは20回目となっている。さすがにイスラエルは中国やロシアの支援物資に群がるガザの人々を攻撃することはない。しかし、米国が空中から投下した支援物資に群がるガザの人々は、平然と攻撃する。攻撃しても米国が許しているからだ。インドネシアは、自国がガザに建設した病院がイスラエルにより破壊されたため、病院船をガザに派遣した。国連が停戦決議を行なってもイスラエルはそれを無視して、ガザへの攻撃を続けている。ガザを見れば、日本や欧米の「ルールに基づく国際秩序」や「自由と民主主義」など単なる言葉に過ぎないことが歴然としている。パレスチナとイスラエルの二国家を国連レベルで認めても、結局は米国がイスラエルを支援し続ける限り、イスラエルはガザへの攻撃をやめない。イスラエルの目的は、ガザを含むパレスチナ人の排除であり、特に、ガザはガザ沖の地下資源をイスラエルが奪おうとしているため、ガザを徹底的に攻撃している。ガザでは毎日、多くの女性や子供がイスラエルの攻撃や、遮断された食糧のために亡くなっている。明白な国際法違反のイスラエルを日本や欧米メディアも直接批判はしない。米国の次期大統領候補三人は共にイスラエル支持を掲げているが、トランプだけは、当選すれば直ちにウクライナとガザの戦争を停止させると公言している。トランプの登場まで、まだまだガザの女性や子供たちが殺され続けなければならないのか。以下は昨日のオーストラリアのジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストンCaitlin Johnstoneのサイトに載せられた「Imagine If Russia Or China Did The Things Israel Is Doing In Gaza(イスラエルがガザでやっていることをロシアや中国がやったらどうなるか、想像してみてほしい)」だ。

「ロシアや中国がこれをやったら......」と言うのは、もはや決まり文句のようなものだが、こうした比較は、西側の政治・メディアクラスが今、ガザに対していかに邪悪な態度をとっているかを知る上で重要だ。


もしロシアや中国が、200万人(その半分は子どもたち)の塀に囲まれた住民を爆撃し、飢餓に陥れていたら、西側の政治・メディアクラスはどう振る舞うか想像してみてほしい。真剣に想像してみてほしい。怒りと罵詈雑言を想像してみてほしい。メディアの報道が止まらないことを想像してほしい。

ロシアがウクライナに侵攻したとき、この戦争に関する米国のメディアの報道は、過去30年間における米国のすべての戦争の報道を上回った。もしロシアがウクライナや他のどこかで意図的かつ組織的に民間人を絶滅させていたら、その戦争犯罪に対する西側メディアの報道はその何倍にもなるだろう。

「ロシアや中国がこれをやったら......」というのは、今となっては決まり文句のようなものだが、西側の政治・メディアクラスが今、ガザに対してどれほど邪悪な態度をとっているのかを知る上で、このような比較は重要だ。ガザの飢餓に関するマスメディアの記事は、一度も「イスラエル」という言葉に触れていない。もしこれが、西側帝国に逆らう政府によって行われていたら、このようなことが起こると思いますか?もちろん、そんなことはない。

もしロシアや中国が、何百万人もの国民が投獄されている地域から意図的に食料を遮断していたら、西側の政治・メディアクラスがどう動くか想像してみてほしい。

もしロシアや中国が、子どもたちがたくさんいることがわかっている密集した都市部に、容赦なく軍事用爆薬を浴びせかけたとしたら、西側の政治・メディアクラスがどのような行動をとるか想像してみてほしい。

もしロシアや中国が、完全に人種差別的な理由で、抑圧された住民を意図的かつ計画的に民族浄化していたら、西側の政治メディアクラスはどう動くか想像してみよう。

ロシアや中国がおぞましい戦争犯罪を犯しているという証拠が毎日のように出てきたら、西側の政治メディアクラスがどう動くか想像してみてほしい。

もしロシアや中国がこのような残虐行為を行いつつ、嘘に嘘を重ねていたことがバレたとしたら、西側の政治・メディアクラスがどのような行動に出るか想像してみてほしい。

もしロシアや中国が、自分たちの残虐行為を正当化するために、標的にされた人々が犯した犯罪について、あからさまに捏造された証拠を提示しようとしたら、西側の政治・メディアクラスがどのように振る舞うか想像してみてほしい。

私たちは異なる政治とメディアの風景の中で生きていることになるだろう。もしロシアや中国がイスラエルと同じようなことをしていたら、誰が最も積極的に反対するかで大統領選挙キャンペーンが組まれただろう。あらゆる制裁措置や禁輸措置が、加害者である政府に叩きつけられただろう。西側のマスコミは、あらゆる残虐行為や嘘を暴くことに全力を挙げ、その暴露記事を数カ月にわたってあらゆる媒体で特集記事として吹聴し、そうすることで互いに賞を浴びせ合うだろう。

その代わりに、私たちはこうなった。政府高官たちは、イスラエルの「自衛」する「権利」や、ハマスが戦い続けなければすべてが終わってしまうことについて、ひっきりなしにしゃべり続け、一方でイスラエルが残虐行為を続けるのを助けるために武器をばらまき続けている。マスメディアは、「ガザの人々は、なぜか食べ物を見つけるのに苦労している」という受動的な見出しの洪水を絶え間なく流し、イスラエルの残虐なプロパガンダを福音の真実のように繰り返しながら、これがすべて10月7日のせいで起こっていることを思い出させ続けている。すべての有力な米国大統領候補は、イスラエルへの無条件支持を誓いながら、時折、完全な精神病質者に見えないように、イスラエルの残虐行為のあれこれに無気力に指をくわえている。

西側の政治・メディアクラスがガザの大量虐殺に対してどのように行動しているのか、そして、もし非同盟の政府が同じようなことをしていたら、彼らがどのように行動するのか、この対比はまさに、米国中央集権帝国がこれ以上世界を支配することを許されない理由なのだ。米国は平和、正義、自由、民主主義を支持するふりをしているが、実際は世界中の人間に絶え間ない死と苦しみを与え、それを従順な主要報道機関のプロパガンダで覆い隠しているだけだ。「ルールに基づく国際秩序」を守ると称しているが、実際には、米帝国が勝手にルールを作り、好きなように変更する国際秩序を守っているにすぎない。

人類は、この殺人的で偽善的な世界を股にかける権力構造によって、これ以上自分たちが虐待され、専制されるのを許すことは出来ない。より良い世界は可能だが、そのためにはまず、この怪物たちの爪をハンドルからこじ開ける方法を見つけなければならない。

椿

シノフォビア(中国恐怖症)

2024-03-28 19:11:42 | 社会
メディアや厚生労働省は紅麹被害を大きく取り上げているが、紅麹被害より遥かに大きく、戦後最大の薬害であるmRNAワクチン被害はほとんど取り上げない。ワクチン被害認定の死者だけですでに500人を超えた。死亡の申請数は2000人を超えている。小林製薬はファイザーやモデルナよりずっと小さな企業で、政治献金は少なく、天下りや研究者との連携も受け入れていない。厚生労働省は余りにも差異を付け過ぎている。25日の英国The Telegraphは、「German officials warned lockdowns cause more harm than good, documents show(ドイツ政府高官、ロックダウンは益よりも害をもたらすと警告、文書で明らかに)  Evidence for making masks mandatory was lacking, according to health agency’s deliberations released after long legal battle(長い法廷闘争の末に発表された保健省の審議によると、マスク義務化の根拠は欠けていた)」を載せている。ドイツ公衆衛生当局の内部資料が情報公開請求で一部公開された。ロックダウンは社会への害が益より大きく、マスクを義務化するエビデンスがないことを2020年から認めていたことも判明した。情報公開訴訟を2年間続けたのは「陰謀論」メディアとされるメディアであり、主流メディアが仕事をしていないと書いている。昨日のフォーカス台湾は、「日本から輸入のサンマ節、基準値の約40倍の発がん性物質=台湾の水際検査で検出」で、「(台北中央社)衛生福利部(保健省)食品薬物管理署(食薬署)は26日、日本から輸入されたサンマ節から、基準値の約40倍のベンゾピレンが水際検査で検出されたと発表した。ベンゾピレンは発がん性物質とされる。輸入された50キロ全てが積み戻しまたは廃棄される。市場には流入していないという。」と報じた。日本の食品基準値は欧米よりずっと緩和されており、食品添加物も多く認可されている。ここでも国民の健康より政治家や官僚の利得が優先されている。25日のBloombergは、「China’s Tech Sector May Rival Property as Growth Driver, BE Says(中国のハイテクセクターは不動産に匹敵する成長ドライバーになる可能性があるとBEが指摘) * High tech sector could drive demand worth 19% of GDP by 2026(* ハイテク部門は、2026年までにGDPの19%に相当する需要を牽引する可能性がある。) * Beijing is steering economic transition away from real estate(* 北京は不動産からの経済移行に舵を切る)」を載せた。また、26日のFOREXLIVEは、「NY Fed researchers say says manufacturing growth In China could boost US Inflation(ニューヨーク連銀の研究者によれば、中国の製造業の成長は米国のインフレを押し上げる可能性があるとのこと。 * "What if China Manufactures a Sugar High?"(「もし中国が砂糖高騰を起こしたら?」)」を報じた。さらに昨日のBloombergは、「Yellen Warns China's Industry Ramp-Up Is Distorting World Economy(イエレン長官、中国の産業拡大が世界経済を歪めていると警告) * Treasury secretary calls out China for excess capacity buildup(* 財務長官が中国の過剰生産能力を非難) * China overcapacity ‘distorts global prices and production’(* 中国の過剰生産能力は「世界の価格と生産を歪める」)」を載せている。中国経済は不動産企業のために崩壊すると訴えていたはずだが。昨日の現代ビジネスに、国際政治学者の舛添要一氏が、「4年ぶりの中国訪問で切実に感じたこと…「ガラパゴス化」した日本は、中国に先を越されるばかりである。」を書いている。26日のAERAdot.では、元通商産業省官僚の古賀茂明氏が「中国がEV化政策を加速させるのは「国家安全保障」の一環 後れを取る日本が学ぶべき点とは」をそれぞれ書いている。二人とも実際に中国へ行き、現地での産業の発展ぶりを肌身で感じて書いている。日本の多くの中国専門家は中国へ行くこともなく、メディア受けすることばかりを述べている。日本も米国も中国経済を貶め、米国経済が優れていると書き続ける。古賀氏によれば、中国が米国から制裁を受ける中で、急速にEVを推進しているのは、エネルギー安全保障の観点からだと言う。中国は自国でも石油を産出するが、圧倒的に海外に頼らざるを得ない。海外への依存度を下げ、エネルギーの自立を図るには、電力にエネルギーを転換する必要がある。世界最大の太陽光発電や水力発電所に力を入れているのもその一つだ。EVを推進することでそのエネルギーを海外に依存しなくて済む。EVを推進するために充電ステーションは2023年で全国で859.6万基となっている。「日本では、まだ約3万基しかない。」。携帯電話企業がEVに参入して完成させたEVは一回の充電で2000Km走る。充電池交換式EVタクシーの充電池自動交換はわずか3秒だ。昨日の米国CNN日本語は、「中国EV大手BYD、昨年の純利益は80%増 世界販売でのテスラ超え受け」を報じている。米国Project Syndicateは昨日、エール大学教授でモルガン・スタンレー・アジア前会長のスティーブン・S・ローチStephen S. Roach教授の「American Sinophobia(米国の中国恐怖症)」題する執筆記事を載せた。「米国の対中恐怖症が超党派になるにつれ、恐怖が事実のようなオーラを帯び始め、中国との偶発的な衝突の危険性が強まっている。さらに悪いことに、こうした不安に基づいて行動することで、米国は抑止したい結果そのものを引き起こす危険性がある:中国の台湾に対する侵略である。」、「私はまた、中国に対する過剰な恐怖が、米国自身が自ら招いた問題の多くを都合よく覆い隠しているとも主張した。二国間の貿易赤字は、現在の中国や35年前の日本など、個々の国の不公正な貿易慣行を反映しているかもしれないが、多国間の広範な貿易赤字は、むしろ国内貯蓄の不足につながる米国の慢性的な財政赤字から生じている。同様に、テクノロジーの脅威は、中国による米国の知的財産の窃盗疑惑から生じているだけでなく、私が『偶然の衝突』で強調したように、米国の研究開発への投資不足とSTEMベースの高等教育の不足を表している。米国の政治家たちは、じっくりと鏡を見るよりも、中国を非難する方が政治的に都合がいいのだ。  シノフォビア(中国恐怖症)が自らを糧とするにつれ、恐怖は事実のオーラを帯び始め、中国との偶発的な衝突の危険性が強まる。このような不安に基づいて行動することで、米国は抑止したい結果そのものを引き起こす危険性がある。台湾における中国の侵略に対する懸念は、その一例である。  米国はもっとうまくやれるし、そうしなければならない。中国恐怖症の行き過ぎを、中国の脅威に対する正当な反応として弁解するのではなく、米国の指導者たちは低俗な道を避け、部屋の中で大人であるという観点からもっと考える必要がある。グローバル・リーダーシップには、それ以下は必要ないのだ。  1933年、フランクリン・ルーズベルト米大統領は就任演説で、「我々が恐れるべき唯一のものは、恐怖そのものだ」という印象的なセリフで、この危険な病理の究極的な危険性を強調した。今日の中国恐怖症の熱狂の中で、このメッセージは思い出す価値がある。」。
杏の花

「隠された手:ドイツ経済没落への米国の影響力」

2024-03-27 19:11:06 | 社会
昨日、ModernDiplomacy.eu掲載の「The Hidden Hand: US Influence on Germany’s Economic Downfall(隠された手:ドイツ経済没落への米国の影響力)」。

「米国の敵になることは危険だが、味方になることは致命的だ」

ヘンリー・キッシンジャーのこの有名な言葉は、ヨーロッパ最大の経済大国であるドイツが深刻な景気減速に見舞われている現在、リアルタイムで展開されている。ドイツのロバート・ハベック経済相は、2023年に0.3%縮小する唯一の世界経済であるドイツの悲惨な状況を認めている。2024年の復活を期待する声もあるが、成長率予測はわずか0.2%に引き下げられた。これは単なる一時的な不況ではなく、ドイツ経済モデルのより深い構造的な問題である。エネルギー価格の高騰、インフレ、過剰規制、政治的論争などの要因により、ドイツ企業の3社に2社が撤退または一部移転している。この崩壊の真の原因は、ドイツがいかに米国に操られて来たかにある。

ドイツの経済的課題

ドイツ経済は、対中輸出の減少、エネルギー価格の高騰、軍事費の増大という3つの大きな課題に直面している。これらの問題は一見バラバラに見えるが、これらすべての問題で米国が重要な役割を果たしているという意見もある。例えば、米中貿易戦争はドイツの輸出に影響を与え、米国の対ロシア制裁とノルド・ストリーム・パイプラインの爆破はドイツのエネルギー価格を上昇させ、米国の最近のNATOに対する不安定な政策はドイツの軍事費を増加させた。

減少するドイツの対中輸出

ドイツは世界の輸出大国であり、主要輸出品である自動車、機械、化学製品はその経済の生命線であった。極めて重要なことに、中国は過去8年間、毎年ドイツの主要貿易相手国であり、ドイツ製品にとって不可欠で巨大な輸出市場でもあった。簡単に言えば、中国市場はドイツ経済にとって不可欠なのである。しかし、この重要な関係は現在、米国によって攻撃されている。フォルクスワーゲンとバディッシュ・アニリン・ウント・ソーダファブリーク(BASF)は、年間売上高でドイツを代表する大企業であり、ドイツ経済に貢献している。先月、彼らは米国政府によって中国、特に西部の新疆ウイグル自治区にある工場の閉鎖を強要されたばかりだ。長年にわたり、米国政府と軍産複合体は、これが真実ではないことを明らかに示す圧倒的な証拠にもかかわらず、中国が現地のイスラム教徒であるウイグル族を奴隷化し、民族浄化と強制労働の対象にしてきたというシナリオを推し進めて来た。

米国政府はいかにしてドイツに中国からの撤退を強要したか

米国政府は、BASFやフォルクスワーゲンのようなドイツ企業を中国から撤退させるために強制力を行使した。これは列国議会同盟(Interparliamentary Alliance on China、IPAC)を通じて行われた。IPACは全米民主基金(National Endowment for Democracy)とジョージ・ソロス(George Soros)から資金提供を受けている団体で、中国の影響力拡大を封じ込めることを目的としている。IPACは、アドリアン・ゼンのような反中活動家による疑わしい報告書を根拠に、新疆ウイグル自治区での人権侵害への関与の疑いでBASFを脅した。BASFがこれに応じなかったため、IPACは圧力を強め、BASFの事業を停止させた。同様の手口はフォルクスワーゲンに対しても使われ、同じ虐待に加担していると非難された。脅し、強制、制裁を使って企業や国を中国に対抗させるというこの戦術は、米国政府にとって一般的な戦略となっており、他のドイツの自動車メーカーが標的にされ、押収された例さえある。全体として、米国は経済や人間関係を損ねてでも中国を封じ込めようとしている。

新疆からの撤退を余儀なくされたフォルクスワーゲンやBASFのような企業は、この地域で大きな雇用喪失を引き起こし、ウイグル族の労働者に最も大きな影響を与えている。中国からの離脱はドイツ経済に悪影響を及ぼすという専門家やビジネスリーダーの警告にもかかわらず、ドイツの政治エリート、主流メディア、そして国民は、米国に倣って中国を悪者扱いして来た。米国の外交政策を盲目的に受け入れることは、ドイツでは長い歴史がある。企業の撤退によって新疆ウイグル自治区のウイグル族が生活を失ったことは、米国の政策決定に盲従することの意図しない結果を浮き彫りにしている。反響を考えずに米国の意向に従うことを強調するのは、ドイツの政界やメディア界に先見の明がないことを示している。中国とのデカップリングによってドイツ経済が破壊される可能性は、外部の影響に盲目的に従うことの戒めとして役立つ。

米国はいかにしてノルド・ストリーム・パイプラインを爆破したか

ロシアから西ヨーロッパに天然ガスを運ぶノルド・ストリーム・パイプラインの爆破は、米国によって行われたと考えられている。ジョー・バイデン大統領はウクライナ侵攻前に、ロシアが行動を起こせばこのプロジェクトは終了すると述べていた。さらに、米国は長い間、ドイツのロシアエネルギーへの依存度を下げようとして来た。ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、爆破がいかに米国によって計画され、実行されたかを詳述した。ショッキングなことに、ドイツのメディアはこの情報をほとんど無視し、ハーシュの信用を失墜させることに集中した。多くのドイツ人は、ノルド・ストリーム・パイプラインの西側諸国は民主主義的価値観を持ち、このような行為はしないと信じている。この事件は、西側諸国は常に善人であり、そのような行為や戦争犯罪には関与しないという一般的な認識を浮き彫りにした。

ドイツのエネルギー価格高騰

2022年のウクライナ侵攻後の対ロシア制裁により、ドイツのエネルギー価格は高騰し、同国経済の大幅な落ち込みにつながった。ドイツはロシアのガス輸入に大きく依存していたため、供給量の減少がエネルギー価格の大暴騰を引き起こした。天然ガスの市場価格は10倍以上に上昇し、電気料金も高騰した。このため、ドイツ国民や企業に負担がかかり、多くの企業が海外に移転した。同国の経済・産業部門は深刻な打撃を受け、ヨーロッパ全体に波紋を広げている。EUとドイツは、米国などのより高価なエネルギー源を求めることを余儀なくされ、危機から利益を得ているという非難につながった。ドイツのエネルギー危機における米国の役割は、ウクライナ戦争を引き起こした一端とともに、状況を悪化させている。エネルギー価格高騰の余波への対応に苦慮するドイツの未来は厳しい。

NATOがドイツのエネルギー危機を招いた理由

ロシアはNATOの東方への拡張を実存的脅威とみなしており、クレムリンは、ウクライナの場合のようにロシア国境まで拡張することは、越えてはならないレッドラインであると明確にしている。にもかかわらず、米国とその同盟国は、一般にNATOの門戸開放政策と呼ばれるように、常にその拡大を歓迎し、奨励さえして来た。元事務総長のヘイスティングス・イズム卿は、『NATOの目的は、米国人を引き留め、ドイツ人を抑え、ロシア人を締め出すことだ』という有名な言葉を残しているが、今なら納得がいく。NATOとその拡大に対するロシアの一般的な感情を最もよく表しているのは、昨年12月にロシアのプーチン大統領が記者会見で述べた『あなたは1990年代に、NATOは東に1インチも動かないと約束した。あなたは恥知らずにも我々をだました』しかし、ここでもまたドイツは責任を共有する。実際、今回もまた、米国と事実上歩調を合わせているドイツの体制は、ロシアとのエネルギー関係を断ち切る最大の応援団の一人である。多くの専門家が反対し、ドイツ経済と産業の完全な終焉につながると警告しているにもかかわらず、ドイツは、民主主義国家であり、邪悪な権威主義的独裁者たちとは異なり、優れた民主主義的価値観を共有する国々とだけビジネスを行うべきだと情熱的に宣言した。その後、ドイツ政府はロシアを制裁した後も次々とゴールを決め、主要なエネルギー供給を失った。ドイツの国会議員たちは、国内の最後の3基の原子力発電所も停止させることを堂々と決定した。稼働していなかったからではなく、むしろ原子力エネルギーに対する長年の憎悪が原因だった。これはもちろん、エネルギー危機をさらに悪化させた。結局、ドイツは天然ガスを他国にねだるようになり、今ではそのためにはるかに高い代償を払っている。ドイツが、自国のガスの55%を供給している主要なエネルギー供給国をいたずらに制裁し、悪化させると同時に、自国民が冬に凍え死なないようにすることよりも、志を同じくする国々とのビジネスを優先させるような、揺るぎないイデオロギーに固執するのは、単に奇妙なことだ。ドイツ政府が方針を転換し、この途方もないエネルギー危機に対する真の解決策を打ち出すとは思えない。ドイツ産業界の上部組織であるBDI代表のシグレ・ルサムは、ドイツ政府は事実に基づいた言説によって解決策を導き出すのではなく、問題点について延々と、ほとんど独断的に議論していると述べた。そのため、企業も市民も不安を感じている。

ドイツの軍事費

軍事費もドイツの衰退を早めている。グリーンピースの報告によれば、ドイツは過去10年間で軍事費を42%も増やしている。しかし、現在の経済的ジレンマと産業崩壊を考えると、ドイツは、他の国でどうしても必要な資金を軍事費に回し続ける余裕はない。グリーンピースの報告書は、他の分野に資金を投じれば、経済成長や雇用創出といった優れたリターンが得られることを強調している。またしても、その責任は米国にある。ドイツの軍事費増大は、2022年以降のウクライナ紛争が大きく影響している。さらに、NATOに対する米国の不規則な政策がこの状況を悪化させている。トランプ政権時代、大統領はこの条約から脱退すると繰り返し脅し、2018年にブリュッセルで開催されたNATO首脳会議では、まさに脱退寸前まで追い込まれた。トランプ大統領は一貫して、NATOをヨーロッパのフリーローダーによる米国の資源の流出とみなしていた。つい先月には、NATOが定めた軍事費目標を達成出来なければ、ロシアが欧州の同盟国を攻撃するよう促すとまで発言した。ドイツはこの目標にずっと届かず、長期的には米国がもはや頼りになる保護を提供してくれなくなるかもしれないという恐れから、実質的に軍事支出を増やすよう強要されて来た。

全体として、米国はドイツの衝撃的な経済的・産業的衰退に直接貢献している。ドイツはこの現実に目を覚まし、イデオロギー的な偏見や西欧の道徳的優越性の思い込みをやめるべきだ。

イヌフグリ

「我々の経済と政治は破綻している」

2024-03-26 19:12:58 | 社会
今日の米国ZeroHedgeは、昨日、チャールズ・ヒュー・スミスCharles Hugh Smithが自身のブログに載せた「Our Economy And Politics Are Broken(我々の経済と政治は破綻している)」を掲載した。スミスは、ペンシルバニア州立大学会計学科長、米国会計学会の評議員、米国内国歳入庁などのコンサルタントを務めた。今日のZeroHedgeは、「"It's A Far Deeper Recession Than Publicized..." Dallas Fed Manufacturing Survey Screams Stagflation(
"公表されているよりもはるかに深刻な不況..."ダラス連銀製造業調査、スタグフレーションの悲鳴)」も載せている。スタグフレーションは景気後退とインフレが同時進行する状況。


痛みを伴わない財政的/政治的解決策の夢から覚め、私たちは現状が解決策ではなく、衰退の元凶であることに気づく。

私たちの社会が置かれている状況は、愛する人の夢から覚めたとき、その人がとうの昔に亡くなっていたことに気づくのに似ている。経済も政治も破綻しているのに、機能していると夢見続けているのだ。

まず政治から始めよう。老人化し、硬直化し、過去にとらわれた指導者たち、社会崩壊の軌道を変えようともしない5カ年計画(米国では再選を1つの目標とする4カ年計画)、そして平民は無力であり、エリートは無能で現実から切り離されているという茶番劇全体の無意味さに気づくにつれて、政治的関与からますます遠ざかる民衆。

スミスのネオ封建主義の原則その1を思い出してほしい。もし市民がクレプトクラシー(泥棒政治)的権威主義政府に取って代わったり、金融貴族の権力を投票箱で制限したりできなければ、その国は名ばかりの民主主義国家である。

下のグラフを見て、権力を一方の政党から他方の政党に移したことで、社会崩壊、クレプトクラシー、権威主義、金融貴族の略奪の軌道がどう変わったか教えてほしい。「通常通り」の政治では、不平等、負債、社会衰退の軌道を変えることは出来ないのだから。

二大政党による「いつも通りのビジネス」政治は、私たちに誤った選択肢を提供している。どちらの政党も、私たちの社会衰退の根本的な原因を特定し、それに対処する手段を持っていないからだ。私たちに提示されるのは、どちらかの政策が衰退の原因を解決するのではなく、衰退の症状を解決するという組織的な主張である。

歴史家のクリストファー・ラッシュ(1994年に死去)は、1990年に『The True and Only Heaven(真の唯一の天国)』を書いたとき、左派-右派、進歩派-保守派という二者択一の考え方がすでに行き詰まりを見せていることを見抜いていた。(23ページ)

以下のチャートを見て、政権政党が変わることによって軌道が大きく変わった例を挙げてみよう。何もない。帝国計画は、どの政党が政権を取ろうとも、絶え間なく続いている。これは、社会が崖っぷちに向かって急降下する一方で、誤った選択肢を提供する壊れた政治システムの結果である。

連邦債務:政党を変えることで軌道が大きく反転することがあるだろうか?
連邦債務

公的債務と民間債務の合計:政党の入れ替わりによる軌道の大逆転はどこにあるのか?
全部門の債務


上位0.01%の富:政党の入れ替えによる軌道の大逆転はどこに?2008年から2009年にかけて、富が上位数%に集中する傾向が一時的に中断されたのは、破滅的に不安定で、腐敗し、搾取的な金融システムが崩壊しそうになった結果であり、政治的変化によるものではない。
上位0.1%の総資産


経済に関しては、何から始めればいいのだろう?高騰する負債に依存し、平常を装い、「楽観主義」という重要な見栄を張ろうとしているのだろうか?

独占企業やカルテル、その規制当局に支配された経済で出世するために残された唯一の手段として、極端な投機が跋扈するのはどうだろう?

倫理観が最低レベルまで崩壊したこと、つまり「定額課金制」と「誰にでも対価がある」ことが常態化したことについてはどうだろうか?

私たちは皆、独占的な技術/企業プラットフォームの人質となっており、商品を粗悪化し、サービスを没個性化することで利益を容赦なく増大させているという現実はどうだろうか?

信頼出来る利益の中心として、中毒の収益化と商品化に依存していることについてはどうだろう?ラッシュが先見の明をもって観察したように:「大量消費社会における所有のモデルは、中毒である。」

社会の崩壊に関しては、おそらく私たちは、本物の社会秩序のあらゆる結びつきを一連の「市場取引」に還元することから始めることが出来るだろう、取引の範囲と多様性は、つながっているという幻想を生み出し、私たちは孤独と不安の断絶された領域へと流れ込んで行く。

痛みを伴わない財政的/政治的解決策の夢から覚め、私たちは現状が解決策ではなく、崩壊の元凶であることに気づく。現状維持は、その本質と構造によって危機を生み出し、そしてその症状を覆い隠すことで、危機と腐敗の原因を魔法のように解決出来ると主張する。しかし、症状は原因ではないため、この幻想の賞味期限は非常に限られている。
重なり合う危機:「解決策」は今や相互に補強しあう問題

「外交の緊急性」

2024-03-25 19:16:01 | 社会
20日、Common Dreams掲載の、米国コロンビア大学ジェフリー・D・サックスJeffrey D. Sachs教授による「The urgency of Diplomacy(外交の緊急性)」を、今日のオーストラリア、Pearls and Irritationsが載せた。

今こそ、私たちを平和に近づけ、終わりの見えない致命的で破壊的な戦争から遠ざけるための話し合いの時である。

米国とロシアの外交は完全に崩壊し、米国と中国の外交もほぼ完全に崩壊している。欧州は、自国の利益のために米国に依存しすぎており、ワシントンの路線に従うだけである。外交の不在は、核戦争につながりかねないエスカレーションのダイナミズムを生み出す。世界の平和のために最優先されるべきは、米国がロシアや中国との外交を再構築することである。

この現状は、ジョー・バイデン大統領がロシアや中国のカウンターパートを個人的に侮辱し続けていることに象徴されている。バイデンは政策に焦点を当てるのではなく、プーチン大統領に対する個人的な態度に焦点を当てている。最近、彼はプーチン大統領を "クレイジーSOB "と呼んだ。2022年3月には、「頼むから、この男は権力の座に留まってはいけない 」と述べた。昨年秋に中国の習近平国家主席と会談した直後、バイデンは彼を 「独裁者 」と呼んだ。

複雑な大国間の関係を粗雑に個人化することは、平和と問題解決には不都合である。さらに、このレトリックの粗雑さと真剣な外交の欠如は、衝撃的なレトリックの無責任さの門戸を開いている。ラトビア大統領は最近、"Russia delenda est"(「ロシアは滅ぼされなければならない」)とツイートしたが、これは第三次ポエニ戦争前にローマがカルタゴの滅亡を呼びかけた際の長老カトーの言葉を言い換えている。

あるレベルでは、こうしたまったく下らない発言はすべて、キューバ危機の最も重要な教訓として、核武装した敵国に恥をかかせないようにする必要性を説いたジョン・F・ケネディ大統領の訓示を想起させる:「何よりも、核保有国は、自国の重要な利益を守る一方で、敵対国に屈辱的な撤退か核戦争かの選択を迫るような対立を避けなければならない。核の時代にそのような道を選ぶことは、私たちの政策が破綻している証拠であり、世界に対して集団的な死を望んでいる証拠でしかない。」

しかし、目前にはさらに深い問題がある。米国の外交政策は現在、相手と実際に交渉するのではなく、相手の動機を主張することに基づいている。米国の口癖は、相手は交渉することを信用出来ない、だから交渉する価値はない、というものだ。

今日の交渉は無意味であり、時期尚早であり、弱さの表れであると非難されている。英国のネビル・チェンバレンは1938年にヒトラーと交渉しようとしたが、ヒトラーは彼を騙した。この点を強調するために、サダム・フセイン、バッシャール・アル=アサド、ウラジーミル・プーチン、習近平など、米国の敵対者はすべて新たなヒトラーの烙印を押されている。

問題は、このような歴史と今日の紛争の矮小化が、私たちを核戦争の瀬戸際に導いているということだ。世界はかつてないほど核ハルマゲドンに近づいている。終末時計によれば、真夜中まであと90秒だ。そして米国は、国連憲章の遵守度によって各国を比較した場合、国連加盟国の中で最も外交的でない国となっている。

外交が重要なのは、ほとんどの紛争がゲーム理論家が言うところの 「戦略的ジレンマ 」だからである。戦略的ジレンマとは、敵味方双方にとって平和(あるいはより一般的には協力)が望ましいが、敵に有利になるように和平協定をごまかそうとする動機が双方にある状況のことである。例えば、キューバ危機では、米ソ双方にとって核戦争よりも平和の方が良かったが、平和的な結末に合意した場合、相手側が核先制攻撃などでごまかすことをそれぞれが恐れていた。

このような場合の平和への鍵は、遵守のメカニズムである。あるいは、ロナルド・レーガン大統領がソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領との交渉の際に言ったように、古いロシアの格言を繰り返せば、「Trust but verify (信じるが、検証する)」である。

信頼を築くためのメカニズムはたくさんある。基本的なレベルでは、戦略的ジレンマが定期的に生じていることを意味する 「繰り返しゲーム 」に参加していることをお互いに思い起こさせることが出来る。一方が今日不正を働けば、将来の協力のチャンスは失われる。しかし、正式な条約、第三者による保証、体系的な監視、段階的合意など、強制のためのメカニズムは他にもたくさんある。

JFK大統領は、1962年10月にソ連のニキータ・フルシチョフ指導者と交渉したキューバ危機を終結させるための協定は、必ず実現すると確信していた。彼はその後、1963年7月にフルシチョフと交渉した部分的核実験禁止条約も定着すると確信していた。JFKがこのような協定について述べているように、協定は、両当事者の相互利益にかなう協定を交渉することにかかっている:「そして最も敵対的な国であっても、自国の利益になるような条約上の義務だけを受け入れ、それを守るよう頼ることが出来る。」

ゲーム理論家は70年以上前から戦略的ジレンマを研究しており、最も有名なのは「囚人のジレンマ」である。彼らは繰り返し、戦略的ジレンマにおける協力への重要な道筋は対話、それも拘束力のない対話であることを発見して来た。人間同士の対話は、互恵的な協力の可能性を劇的に高める。

1938年にミュンヘンでヒトラーと交渉したチェンバレンは間違っていたのか?ヒトラーが尊重するつもりのない不用意な合意に達し、その後 「われわれの時代のための平和 」と素朴に宣言した。しかし、それでもチェンバレンとヒトラーの交渉は、最終的にはヒトラーの敗北に貢献した。失敗したミュンヘン協定は、ヒトラーの背信行為を明白に世界に暴露することで、毅然としたウィンストン・チャーチルが英国で政権を握る道を開き、その正当性を深く認められ、英国内はもとより世界中で国民の支持を得て、最終的には英米ソ同盟がヒトラーを打ち負かすことになったのである。

繰り返される1938年への類推は、いずれにせよまったく単純化されたものであり、ある意味では逆行さえしている。ウクライナでの戦争では、NATOの拡大や紛争当事者全員の相互安全保障といった問題に対処するために、ロシア、ウクライナ、米国といった当事者間で真の交渉が必要だ。これらの問題は真の戦略的ジレンマをもたらすものであり、戦争を終結させ、相互に満足のいく結果を得ることで、米国、ロシア、ウクライナのすべての当事者が有利になることを意味する。

しかも、合意を破り、外交を拒否して来たのは米国とその同盟国である。米国は、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領やロシアのボリス・エリツィン大統領と交わした、NATOは1インチたりとも東進しないという厳粛な誓約を破った。米国は、ウクライナのヤヌコビッチ大統領を倒したキエフの暴力的クーデターを支援することでごまかした。米国、ドイツ、フランス、英国は、二枚舌でミンスク第2協定の支持を拒否した。米国は2002年に対弾道ミサイル条約から、2019年には中間軍事力協定から一方的に脱退した。プーチンが2021年12月15日に安全保障に関する露米条約案を提案した際、米国は交渉を拒否した。

実際、2022年に入ってからバイデンとプーチンの直接外交は行われていない。そして2022年3月にロシアとウクライナが直接交渉した際には、英国と米国が介入してウクライナの中立性に基づく合意を阻止した。プーチンは先月のタッカー・カールソンとのインタビューで、ロシアが交渉に前向きであることを繰り返し、最近もまたそうした。

戦争は激化し、数十万人が死亡し、数千億ドルの損害が発生している。私たちは核の深淵に近づいている。今こそ話し合う時だ。

J・F・ケネディ大統領が就任演説で述べた不朽の名言である。しかし、交渉することを決して恐れてはならない。

タンポポ

「COVID-19に対して米国は世界に何を負う可能性があるのか?」

2024-03-23 19:19:42 | 社会
今日のビルトッテン氏訳、「What Might the US Owe the World for COVID-19?(COVID-19に対して米国は世界に何を負う可能性があるのか?)」。米国Common Dreamsに16日に掲載されたコロンビア大学地球研究所長を務め、国連ミレニアムプロジェクトのディレクターも兼務するジェフリー・サックスJeffrey Sachs教授執筆の同名記事より。

米国が資金提供したラボ(研究所)を起源とするCOVID-19(新型コロナ)は、まちがいなく歴史上最も重大な政府の怠慢という事件になるだろう。重要な疑問に対する透明性と、事実に基づいた答えが世界の人々に提供されるべきである。

米国政府は、コロナパンデミックを引き起こしたウイルスであるSARS-CoV-2の作成と偶発的なラボでの放出をもたらした可能性のある、危険なラボでのリサーチプログラムに資金を提供し、支援した。アウトブレイクの後、米国政府はその役割を隠すために嘘をついた。米国政府は嘘を正し、事実を明らかにし、世界に償いをするべきである。

ジャーナリスト、科学者、内部告発者といった勇敢な真実追求者たちが、SARS-CoV-2がラボ由来である可能性を示す膨大な情報を発見した。最も重要なのは、『インターセプト』とUSRTK(US Right to Know)で、特にUSRTKの調査記者エミリー・コップの精悍な仕事である。

この調査活動に基づき、共和党主導の下院監視・説明責任委員会は現在、コロナウイルス・パンデミックに関する特別小委員会で重要な調査を行っている。上院では、SARS-Cov-2の起源を調査する上で、透明性、誠実さ、理性を求める代表的な発言をしているのは共和党のランド・ポール上院議員である。

ラボで作られた可能性があるという証拠は、米国と中国の科学者が関与した米国主導の複数年にわたる研究プログラムを中心に展開されている。この研究は米国の科学者によって計画され、主に米国立衛生研究所(NIH)と国防総省から資金提供され、米国の組織であるエコヘルス・アライアンス(EHA)によって運営され、研究の多くは武漢ウイルス研究所(WIV)で行われた。

米国は真実をすべて明らかにし、最終的に明らかになる事実によってはおそらく十分な金銭的補償をする義務がある。

以下は、現在までにわかっている事実である。

まず、国立衛生研究所(NIH)は2001年から生物防衛研究の拠点となった。言い換えると、NIHは軍や情報機関の研究部門となったのである。国防総省予算からの生物防衛資金は、アンソニー・ファウチ博士の部門である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)で使われた。

第2に、NIAIDと国防総省のDARPA(国防高等研究計画局) は、生物兵器と生物防衛のための潜在的病原体に関する広範な研究を支援し、また、生物兵器や天然あるいは操作された病原体の、ラボでの偶発的な放出から身を守るためのワクチンの設計も支援した。この研究の一部はNIHのロッキー・マウンテン研究所で行われ、研究所内のコウモリのコロニーを使ってウイルスの操作とテストが行われた。

第3に、NIAIDは機能獲得研究に大規模な資金を提供した。機能獲得研究とは、病原体を遺伝的に変化させ、感染しやすく、あるいは感染者を死に至らしめる可能性の高いウイルスなど、病原性をさらに高めるための実験である。この種の研究は、より危険な病原体を作り出すことを目的としており、またそのような新しい病原体が、偶発的あるいは意図的に(例えば生物兵器やテロ行為として)ラボから逃げ出す可能性があるため、本質的に非常に危険である。

第4に、米国の一流の科学者の多くが機能獲得研究に反対していた。政府内で反対した代表的な人物の一人が、後にパンデミック開始時に疾病対策センター(CDC)所長を務めることになる陸軍ウイルス学者のロバート・レッドフィールド博士である。レッドフィールドは当初からパンデミックの原因がNIHの支援する研究にあることを疑っていたが、ファウチによって脇に追いやられたと言う。

第5に、米国政府は、機能獲得研究に関連するリスクが非常に高いことから、2017年にバイオセーフティ規制を追加した。機能獲得研究は、バイオセーフティレベル3(BSL-3)またはバイオセーフティレベル4(BSL-4)といった高度に安全なラボで実施されなければならなくなった。BSL-3またはBSL-4施設での研究は、施設からの病原体の脱出に対する管理が追加されるため、BSL-2施設での研究よりも費用と時間がかかる。

第6に、NIHが支援する研究グループの1つであるエコヘルス・アライアンス(EHA)は、機能獲得研究の一部を中国の武漢ウイルス研究所(WIV)に移すことを提案した。2017年、EHAは米国政府の国防高等研究計画(DARPA)にWIVでの機能獲得研究の提案を提出した。DEFUSEと名付けられたこの提案は、ラボでSARS-CoV-2のようなウイルスを作るためのまさに「手順書」であった。DEFUSEの計画は、WIVが収集したベータコロナウイルスの180以上の未報告株を調査し、機能獲得技術を用いてこれらのウイルスをより危険なものにするというものだった。具体的には、フリン切断部位(FCS)のようなプロテアーゼ部位を天然ウイルスに付加し、ウイルスの感染性と伝播性を高めるというものだ。

第7に、EHA所長は提案書の草案の中で、「SARSr-CoVのBSL2での研究という性質上、我々のシステムは他のコウモリ・ウイルス・システムに比べて非常に費用対効果が高い」と自慢し、EHA提案書の主任科学者は、BSL2施設でのWIVでの機能獲得研究に対する米国政府の支援を知ったら、米国の科学者は「パニックになるだろう」とコメントしている。

第8に、国防総省は2018年にDEFUSE提案を却下したが、EHAに対するNIAIDの資金援助はDEFUSEプロジェクトの主要科学者も対象になっていた。。したがってEHAはDEFUSE研究プログラムを実施するための継続的なNIH資金を得ていたのである。

第9に、2019年末から2020年1月にかけて武漢で初めて感染拡大が起きたとき、NIHに関連する米国の主要なウイルス学者たちは、SARS-CoV-2は機能獲得研究から出現した可能性が高いと考え、2020年2月1日のファウチとの電話会談でそのように伝えた。これらの科学者にとって最も顕著な手がかりは、SARS-CoV-2にFCSが存在することであり、まさにFCSはDEFUSEプログラムで提案されたウイルス内の位置(S1/S2接合部)に出現していたのである。

第10に、フランシス・コリンズNIH所長やファウチNIAID所長を含むNIH幹部は、NIHが支援した機能獲得研究を隠そうとして、2020年3月にウイルスの自然起源を宣言する科学論文(”The Proximal Origin of SARS-CoV-2″)を出版した。この論文はDEFUSEの提案を完全に無視していた。

第11に、一部の米国政府関係者はラボ流出の原因を武漢ウイルス研究所に求める一方、NIHが資金を提供し、EHAが主導した研究プログラムがウイルスをもたらした可能性があることを隠し始めた。

第12に、上記の事実が明るみになったのは、勇敢な調査報道、内部告発者、そしてDEFUSE提案のリークを含む米国政府内部からのリークの結果である。保健福祉省の監察官は2023年、NIHがEHA補助金を適切に監督していなかったと判断した。

第13に、調査官たちは、ロッキー・マウンテン研究所の研究者がEHAに関連する主要な科学者とともに、DEFUSEで提案された実験と密接に関連した実験でSARSに似たウイルスをRMLエジプトフルーツバットに感染させていたこともまた明らかにした。

第14に、FBIとエネルギー省は、SARS-CoV-2のラボから出たものであるというのが最も可能性が高いとみていると報告した。

第15に、CIA内部の内部告発者が最近告発したところによれば、感染拡大の捜査していたCIAチームは、SARS-CoV-2はラボから発生した可能性が高いと結論づけたが、CIAの高官がウイルスは自然起源だと報告するようにチームを買収したという。

これらの証拠を総合すると、また自然起源を示す信頼できる証拠がないことから、米国が危険な機能獲得研究プログラムに資金を提供し、実施した結果、SARS-CoV-2が誕生し、世界的大流行へとつながった可能性がある。数理生物学者アレックス・ウォッシュバーンによる最近の強力な評価は、「SARS-CoV-2がラボから発生したことは合理的な疑いを越えている…」という結論に達している。彼はまたラボ由来であることを隠すために、共同研究者たちが「合法的に偽情報キャンペーンと呼べるものを展開した」とも指摘している。

米国が資金提供したラボを起源とするCOVID-19は世界史上最も重大な政府の重大な過失による事件であることは間違いない。さらに米国政府は現在も、生物防衛プログラムの一環として、危険な機能獲得研究に資金を提供し続けている可能性が高い。米国は、最終的に明らかになる事実にもよるが、完全な真相を明らかにし、おそらくは十分な金銭的補償を世界に対して行う義務がある。

私たちには3つの緊急行動が必要だ。第一は、米国と中国のEHA研究プログラムに関与したすべての研究所が、独立した調査員に帳簿と記録を完全に公開する独立した科学的調査である。第二は、独立した世界的な科学機関がバイオセーフティに関する基本ルールを定めるまで機能獲得研究を世界的に停止すること。第三は、国連総会が、世界の健康と安全を脅かす危険な研究活動を通じて国際的な安全規範に違反する政府に対して、厳格な法的・財政的説明責任を確立することである。

キセキレイ

「米国は自分の攻撃的な暗い鏡を通して中国を見ている」

2024-03-22 19:12:36 | 社会
20日のビル・トッテン氏訳「The US sees China through the dark mirror of its own unbridled aggression(米国は自分の攻撃的な暗い鏡を通して中国を見ている)」。12日、オーストラリアのPearls and Irritations掲載、同名記事。執筆は『Pearls and Irritations』の創刊者兼編集長で、ゴフ・ウィットラム、マルコム・フレーザーの下で首相・内閣府長官、駐日大使、移民省長官、カンタス航空CEOを歴任したジョン・メナデューJohn Menadue。

中国が成長し繁栄するにつれて、多くの米国人々は、米国自身が追求したのと同じ道 ―世界的な軍事侵略、世界中の多くの政府の転覆、国内での少数民族の迫害など、を中国がたどるだろうと私たちに信じさせようとしている。

中国と米国の国の象徴は国際関係を示している。漫画風に描いたVectorのイラスト

しかし、これまでの記録は、中国がそれとは異なることを示唆している。

2022年3月14日付のブラウン・ポリティカル・レビューで、元米上級外交官のチャス・フリーマンが述べているように、中国は米国のようなモンロー・ドクトリンを持たないし、米国のように考え、行動もしていない。

中国が我々(米国)に取って代わろうとしているという証拠はあまりない。彼らは大きく成長し、成功を収めているため、いくつかの領域で私たちに取って代わりつつある。中国が我々の世界的な支配と覇権を奪おうとしているのだろうか?していない。しかし私たちはそう主張している。私たちは、中国も私たちと同じように考え、同じように行動していると主張しているのだ。「われわれはマニフェスト・デスティニー(明白な使命)を持ち、太平洋を横断してフィリピンに到達した。したがって、中国もモンロー・ドクトリンやマニフェスト・デスティニーを念頭に置いているに違いない」と。これは間違っている。物事はそうなっていない。つまり、私たちは自分たちのプロパガンダを吸い込み、それが生み出す適当に酔った状態の中で生きているのだと私は主張したい。健全な政策があれば、私たちは誰にも負けない。しかし、私たちが見ているのは健全な政策ではなく、ライバルを引きずりおろすことなのだ。{1}

米国の侵略の記録

「我々の危険な同盟国」は、何世紀にもわたり国内外で戦争と暴力に溺れてきた。戦争は自国の権力と権威を保持し、可能であれば強化する手段だと考えている。戦争と戦争という脅しは米国の政策の継続的な特徴である。

短期間の孤立主義時代を除けば、米国はほとんど常に戦争状態にあった。

2世紀以上にわたり、米国は多くの政府を倒し、転覆させてきた。影響力と富を得るために戦争に依存する、国家の中の国家ともいえる軍事・ビジネス複合体を持っている。その専門家たちの多くは恐怖を煽ることで制御不能に陥っている。

{2}を参照。

米国は他国を否定する道徳的優越性があると思い込んでいる。自らの独善に目がくらんでいる。自分たちの「例外主義」、つまり「明白な運命」を持つ「選ばれた人々」だと信じている。

アメリカの指導者層はかなり不安定になっているように見える。ロシアと欧州をつなぐ自国のノルド・ストリーム・ガスパイプラインを爆破したとロシアを非難したこともある。

シーモア・ハーシュは、『米国がノルドストリーム・パイプラインを破壊した』と指摘している。当時、ホワイトハウスは、アメリカを非難するのは『虚偽であり、完全な作り話だ』と述べた。CIAは『(米国を非難するという)この主張は完全に、まったくの虚偽である』と述べた。このような否定のパターンはありふれたことで、ほとんどの西側メディアはワシントンの見解を聖典のように受け入れる。ニューヨーク・タイムズ紙はパイプラインの破壊を『謎』と呼んだ。そして、いつものようにオーストラリアのメディアはおとなしくそれに従った(見ないで、何でもないんだ)!

私は、ほとんど常に戦争状態にある国と “手を組んで “いることの危険性について何度も注意を喚起してきた。事実は明らかである。米国は戦争のない10年間を過ごしたことがない。1776年の建国以来、米国はその93%の期間に戦争をしてきた。これらの戦争は、自国の半球から太平洋、ヨーロッパ、そして最近では中東にまで及んでいる。第二次世界大戦後におきた248の武力紛争のうち、米国は201を起こした。ここ数十年、これらの戦争のほとんどは失敗に終わっている。米国はオーストラリアを含め、世界中に800もの軍事基地や軍事施設を維持している。米国は日本、韓国、グアムに大規模な軍事施設と軍隊を配備している。

冷戦時代、米国は72回も他国の政権を変えようとした。多くの外国の指導者が暗殺された。ジェフリー・サックス教授は、「アメリカ帝国主義の致命的な犠牲」の中で、次のように述べている:

米国の軍事作戦の規模には目を見張るものがある…米国は、米国に友好的でないとみなされる政府を転覆させるために、秘密裏に、またあからさまな手段を用いてきた長い歴史がある…歴史家のジョン・コーツワースは、米国が主導して政権交代に成功した41のケースを数えている。{3}何世紀もの間、28か月に1回の割合だ。{3}

ホンジュラス、グアテマラ、イラン、ハイチ、コンゴ、インドネシア、日本、ベトナム、チリ、イラク、アフガニスタン、そして最近ではシリアなど、外国政府の転覆や干渉は多岐にわたる。

この干渉は、2014年に米国が支援したマイダンのクーデターによってウクライナの親ロシア政権が弱体化した際にも続いた。ゴルバチョフとレーガンは、ドイツの再統一を認める際、NATOは東方には拡大しないことで合意した。しかし米国の後押しを受け、NATOは挑発的にロシアの国境まで拡張した。ロシアが抵抗するのは当然である。

アメリカは最近、香港で起きた「民主的な」暴動を奨励した。それはほぼ成功した。{4}

「私たちの危険な同盟国は、私たちを中国との戦争に引きずり込む可能性がある」{5}に関する私の以前のコメントを参照。

中国の記録は異なる。

中国は40年間、国境の外で軍事活動を行っていない。米国のように世界中に軍事力を誇示することもない。中国はモンロー・ドクトリンを持っておらず、そのようなものに関心を示していない。

中国にはオーストラリアや米国を攻撃する意図も能力もない。自国の国境を守る以上の軍事的侵略の歴史もない。中国はジブチに1つだけ外国の基地を置いているが、これは主に海賊対策のためである。

その中国が、米国やその同盟国から自国を守るための軍事力を持たなければならないと決意したのは驚くべきことではない。

もし中国の艦船がカリフォルニア沿岸やフロリダキーズ沖をパトロールしたら、米国はヒステリーを起こすだろう。あるいは、中国がメキシコを拠点にB-52型航空機を持っていたら米国は大騒ぎするだろう!

米国は、中東で何千万人もの人々の死と混乱に責任を負ってきた。しかし、われわれ白人のメディアは、米国の侵略と暴力からは目をそらすが、ありとあらゆる方法で中国を非難する。反中国人種差別は根深い。

中国は新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港、台湾といった地域に多くの多様な人口を抱えている。その他14カ国と陸上で国境を接している。当然のことながら、中国は国内問題と国境を守ることに重点を置いている。

もし中国が帝国であれば、とっくの昔に無防備なモンゴルを飲み込んでいただろう。国境を接しているモンゴルは民主的で鉱物資源に恵まれ、ウクライナの2倍以上の面積がある。

中国の軍事的意図に関する主要な作家のコメント{6}を参照。中国には我々を攻撃する意図も能力もない。

米国は、自国が何世紀にもわたってそうしてきたように、中国が世界中で攻撃的な行動をとると信じている。

オウム返しにルールに基づく国際秩序と言うが、海洋法、イラク侵攻、ディエゴガルシア占領のように、都合のいい時にはルールを破ったり無視したりする。

アメリカは、自国の社会と経済が破綻していることを直視するのを避けるために、中国の一省である台湾をめぐって中国を戦争に駆り立てることで、競争相手を攻撃し、機能不全に陥れようとしている。

第一次世界大戦、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争では、私たちは忠実な植民地として一緒に行動した。ほとんど危険はなかった。祖国に対する真の脅威はなかった。

それが今、徐々に主権を米国に譲り渡してしまったことで変わってきている。それは、ジュリア・ギラードがダーウィンに米海兵隊を置くことに同意した時から始まった。その後、2014年のアボットの戦力態勢協定、そして最近では、ティンダルでのB-52、中国を攻撃するためのAUKUSでの豪陸軍と米国の融合、さらには、豪国防軍の多くが米国と「相互運用性と互換性」を持つようになった。

米国の代理人として、また中国に対する槍玉として行動することは、われわれを歴史上初めて攻撃の標的にすることになる。

マールス国防相は、わが国の主権を守ることについて理解していない。彼には好奇心が欠けている。彼はあまりにも長い間、ワシントンからの情報をそのまま垂れ流してきた。

彼はAUKUSが「オーストラリアの主権を強化する」と言う。本気なのだろうか?

アルバネーゼもマールスも、ワシントンが振付を担当したモリソンとダットンの足跡をたどるのだ。

彼らがやっていることを、内閣や議員連盟は関心があるのだろうか?

2023年2月11日からの再投稿

姫踊り子草

「安定したハウス・オブ・カード」

2024-03-21 19:12:52 | 社会
今日の日本経済新聞は、「日経平均一時800円高 FRB「ハト化」で総リスクオン」を載せた。「21日の東京株式市場で日経平均株価が大幅続伸した。前営業日比で一時800円高の4万0800円台まで上昇し、4日につけた終値ベースの最高値4万0109円を半月ぶりに上回った。前日には米ダウ工業株30種平均も1カ月ぶりに最高値を更新した。」と日米の株式が最高値を更新したことを報じている。金価格も日本でも米国でも今日、最高値を更新している。米国中央銀行FRBが金融引き締めを緩和したことが市場に楽観を生み出した。昨日のZeroHedgeは、18日にDaily Reckoningに掲載された「A House Of Cards On Stilts(安定したハウス・オブ・カード)」を載せている。執筆は米国の弁護士、経済学者、投資銀行家で、『Strategic Intelligence』、『Project Prophesy』、『Crash Speculator』、『Gold Speculator』の編集者でもあるジェームズ・リカードJames Rickardsだ。

現在の株式市場を熱狂させているものは何か?新たなバブルなのか?ファンダメンタルズによるものなのか?FRBは重要な役割を果たしているのか?

これらの要因を見て、これらやその他のインプットを基に株式市場の指数水準を予測してみよう。

過去1年間の株価の動向は、FRBの利下げに対する市場の期待と、低失業率など好調な経済データに対する市場の陶酔感によるところが大きい。

もうひとつの要因は、AIに触発された熱狂がすべての株を上昇させていることだ。このような値動きの要因は見つけやすく、説明もしやすいが、株式市場を大きく下落させるような、より厄介な経済的現実を覆い隠している。

ウォール街は2年間間違っていた


S&P500種株価指数は昨年3月、1株あたり3,855の中間安値をつけた。これは、FRBがまだ利上げを続けており、ウォール街の利下げへの「ピボット(軸足)」への期待が破綻していた時期だった。

ウォール街は2年近くも「ピボット」を見誤り、現在も見誤り続けている。

2023年3月22日、FRBはフェデラルファンドの目標金利を0.25%引き上げ、5.00%とした。これは前年3月に始まった金融引き締めサイクルのさらなる一歩であり、ピボットのシナリオにさらなる打撃を与えた。これがS&P500種株価指数の暫定的安値の一因となった。

その後、S&P500種指数は7月31日に4,589まで上昇し、わずか4ヵ月余りで20%近い上昇となった。

これは、FRBが2023年6月14日の会合で目標金利を据え置くことを決定したことに加え、ウォール街からのピボットへの歓声と、景気後退を伴わない金利低下を約束する「ソフトランディング」説の高まりによるものだった。

しかし、FRBがウォール街のおとぎ話に反して金利をさらに0.50%引き上げ、5.50%としたことで、このシナリオは(再び)レンガの壁にぶつかった。7月31日に始まったS&P500種株価指数は4,589ドルから10月27日には4,117ドルへと10%下落した。

S&P指数は2023年4月3日時点の水準まで下落した。

物語はハードに死ぬ


それでも、シナリオはなかなか消えない。2023年9月、11月、12月のFRB会合を通じて、7月の利上げが本当にピークだったことが明らかになった。

FRBは利下げに踏み切る兆候を全く示さなかったが(悪名高いピボット)、ウォール街はピボットのシナリオを取り上げ、とにかくそれを実行に移した。

S&P500種株価指数は10日前に5,130を超え、半年で25%上昇した。この上昇は、ピボットのシナリオだけでなく、2023年第4四半期のGDP成長率が予想を上回ったこと、2024年1月と2月の雇用創出が予想を上回ったこと、そしてAI関連のあらゆるものを取り巻く広範な市場の幸福感も後押しした。

株式市場の上昇をめぐるこの幸福な物語には多くの欠陥がある。

第一に、GDPの力強い成長は生産性の向上や民間投資ではなく、政府支出によってもたらされている。GDPの伸びは、同期間の国家債務の伸びの40%程度に過ぎない。

ケインズの "乗数"


別の言い方をすれば、これはネオ・ケインジアンの乗数が0.40%であることを意味する。

1.25%の乗数であれば、1ドルを借り、1ドルを使い、1.25ドルの成長を得ることができる(支出が完全に無駄にならず、経済が労働力と稼働率の点である程度の余力を持っていると仮定して)。

0.40%の乗数では、1ドル借りて1ドル使い、0.40ドルの成長しか得られない。要するに、借金の方が経済成長よりも速いのである。

債務残高の対GDP比が高くなれば、政府がハイパーインフレを引き起こさない限り、成長はさらに鈍化する。そうすれば(名目負債を処理するために)名目成長はできる。しかし実質的な価値は破壊され、不良債権は急増する。

鏡の家


低い失業率も同じ鏡の家である。このヘッドラインの数字(現在3.9%)は、いわゆる事業所(雇用者)調査に基づいている。これに代わる家計(個人)調査では、雇用創出が弱くなっている。

どちらの調査も、雇用創出の大半がフルタイムではなくパートタイムであるという事実を覆い隠している。どちらの調査も、労働力率の低下(基本的に労働力から脱落した有資格労働者は失業者としてカウントされない)、労働時間の減少、実質賃金の低下を無視している。

他のデータでは、解雇は激増していないものの、新規雇用は頭打ちでゼロに近い。雇用データは遅行指標である。つまり、データが下降に転じたとき、景気後退はすでに到来している。私たちは今、その変曲点にいるのかもしれない。

ジェミニGPT - ダメージは終わった


最後に、株式市場におけるAI関連の陶酔は、単なる陶酔に過ぎない。典型的なバブルの発生である。AIは現実のものであり、エヌビディア、AMD、インテルなど一部のハードウェア・メーカーはより高い評価に値するかもしれない。

しかし、グーグル、OpenAI、マイクロソフトによって作られたGPTアプリは、目新しさや欠陥品に過ぎないことが判明しつつある。

最近グーグルのジェミニAIアプリにローマ法王の画像を求めたところ、黒人女性と先住民のシャーマンが表示された。黒人、女性、シャーマンの法王はいない。

この製品は白人を排除するようにプログラムされていたのだ。ジェミニはすぐに市場から撤退したが、風評被害は大きかった。このAIとGPTの熱狂は、いかなる評価を下すにも細い葦である。

結論


経済がハードデータ通りに落ち込むと、貸し倒れ(特にクレジットカードと自動車ローン)が急増し、金融機関の株価は暴落する。AIバブルの崩壊は、すべての株価を暴落させるだろう。

FRBは9月に利下げを行うかもしれないが、(FRBにとってはいつものことだが)遅すぎる。銀行融資の損失は、信用スプレッドのわずかな上昇を圧倒するだろう。

その結果、景気後退の初期段階に典型的な、全面的な金融引き締めとなる。FRBは救済に乗り出すことはできないだろう。

いわゆるQE(金融緩和)は景気刺激策ではない。なぜなら、創出された資金はFRBのバランスシート上の超過準備という形で不胎化されるからだ。

株価は、支えとなりそうな手段がないまま急落するだろう。

枝垂れ梅

「米国の経済状況は「金を買え」と叫んでいる」

2024-03-20 19:16:18 | 社会
今日は朝から湿った雪が降り続いている。予報では1日雪だ。しかし、湿った雪のため、降っている雪の量ほどには積もらない。最高気温は午前9時の2度だ。外に出ると吐く息が白い。三寒四温とはよく言ったもので、この時期、確かに暖かい日と寒い日が交互にやって来る。春への跳躍の準備なのだろう。 資源や製造業を中心とした産業資本主義のBRICSやグローバル・サウスの台頭と入れ替わりに日本や欧米の衰退が進んでいる。BRICSの中心メンバーでもあるインドは、カースト制度や1億8000万人のイスラム教徒への迫害などがあり、経済発展の妨げとなっている。昨日のブルームバーグ、「インドはかつての中国のような10%近い高成長見込めず-モルガンS」は、「中国政府のデータによると、改革開放路線が打ち出された1978年以降の30年間の中国成長率は平均で10%だった。」、「アーヤ氏はインドの経済成長を妨げているのはインフラ不足と未熟練労働者だとし、「この2つの制約を考慮して、われわれはインドは高成長を遂げるものの、成長率は8-10%には届かず6.5-7%程度にとどまると予想している」と説明した。」、「アーヤ氏はインドは「正当な地位を得るだろう」とし、資本フローの増加や世界の海外直接投資におけるインドのシェア拡大に経済改善の初期兆候が見られると述べた。ただ製造業でインドが中国に取って代わったり、競り合う可能性は低いと指摘した。」と書いている。衰退する米国では、経済崩壊の足音が聞こえて来ている。今日のブルームバーグは、「商業用不動産、迫る新たな危機の足音-不良債権でCRE・CLO窮地」を報じた。「商業用不動産(CRE)ベンチャーに関連したローンの返済に、借り手が苦戦する中、リスクの高いプロジェクトを資金面で支えた投資商品がかつてない窮地に追い込まれている。CRE・ローン担保証券(CLO)だ。」、「こうしたニッチな商品が抱える不良債権の割合は、過去7カ月だけでも4倍に増え、7.4%を超えた。最も打撃が大きいところでは、返済遅延率が2桁台に達している。800億ドル(約12兆500億円)市場のメジャープレーヤーらがローン調整を急いでいるのはそのためだ。一方で空売り投資家は発行体に対する攻撃の手を強めている。」、「この痛みは、20兆ドル規模の米CRE市場に走った衝撃の一部に過ぎない。」とある。元米国財務長官でハーバード大学教授のローレンス・サマーズなど複数の研究者がNational Bureau of Economic Research全米経済研究所のNBERワーキングペーパー・シリーズとして、「THE COST OF MONEY IS PART OF THE COST OF LIVING:(貨幣コストは生活コストの一部である:)NEW EVIDENCE ON THE CONSUMER SENTIMENT ANOMALY(消費者心理のアノマリーに関する新たな証拠)」を提出した。それによると、米国政府は米国消費者物価指数CPIが債務頼み経済にCPIが有利に出るよう算出対象から1983年に住宅ローンを除外し、1998年には自動車ローンや利子支払も除外した。除外前の算出方法で2023年のCPIを算出すると18%にもなっている。昨日のBloombergは、「Morgan Stanley Warns US Stocks at Risk in ‘Dollar Regime Shift’(モルガン・スタンレー、「ドル体制転換」で米国株がリスクにさらされると警告)」を報じている。「「米ドルのレジーム・シフトに備えよう」とリサ・シャレットは警告する。中国との関係悪化、日本におけるイールドカーブ管理の終了、ビットコインと商品価格の上昇は、米ドルの暴騰が「限界に達している」ことを示唆している。」、「   シャレットによれば、輸入インフレを押し下げ、エネルギー価格を押し下げることで、ドル高が米国の「金融緩和体制」の中心となっており、それが最近の株式市場のパフォーマンスを押し上げている。」、「シャレット氏によれば、主要10カ国(Group of 10)諸国が金利を引き下げたとしても、日本銀行が引き締め政策をとるという見通しがドルを圧迫している。米中関係の悪化、特に米大統領選の最中であることも、脱ドルの動きを加速させる恐れがある。」とある。昨日、米国株式の主要指標であるS&P500は過去最高値を更新した。日本の日経平均も昨日再び4万円の大台に乗った。株式市場は危機感など見られない。実体経済と金融市場がかってなく極端に大きく乖離している。昨日の米国ZeroHedgeは、18日のThe Epoch Timesの記事を載せている。執筆はヘッジファンド・トレシスのチーフエコノミスト、ダニエル・ラカールDaniel Lacalle(Ph.D.:博士号取得者)だ。「US Economic Conditions Scream "Buy Gold"(米国の経済状況は「金を買え」と叫んでいる)」。

米国の製造業と消費者信頼感の低迷は、特に、無敵と言われるケインズ政策が強力に適用されていることを考えると、深く懸念される。

権利プログラムによる赤字支出の狂気を考えると、3月のミシガン大学消費者マインド指数のヘッドラインの低下(76.9から76.5へ)は予想以上に悪い。この指数は2019年に101を記録し、2021年3月の再開効果によって示された短期間の跳ね返りを回復していないことを覚えておこう。消費者信頼感は依然として信じられないほど低く、期待指数の低下が直近の落ち込みを完全に説明している。インフレの持続、ガソリン価格の高騰、実質賃金の低下が、一般市民の期待値の低さを説明しているのかもしれない。さらに、この消費者信頼感の低さは、先月のコントロール・グループの小売売上高が悪かったことに起因している。

決して景気が良いとは言えない。消費者信頼感指数、労働参加率、失業率、そして実質賃金の伸びは、パンデミック前の水準を大幅に下回ったままである。

世界中にビジネスチャンスがあることを考えれば、今が高度成長期であるべきなのだから。2月の鉱工業生産は0.8%増となったが、1月の数字は1.1%減と修正された。3月のエンパイア・ステイト調査のマイナス20.9を考慮すると、製造業の落ち込みはまだまだ続きそうだ。

米国経済の形もまた、ソフトランディング説の不可能性を反映している。インフレ率は依然として目標を大きく上回っており、債券利回りはインフレの持続という現実を反映している。さらに、マネーサプライの伸びは数カ月前に減少を止めた。

マネーサプライが増加し、政府支出が増え続ければ、連邦準備制度理事会(FRB)は金利を引き下げることが出来なくなり、購買力の喪失による国民の困窮は続くだろう。

これは、支出と税金を増やす非常識な財政政策の結果だ。低成長、製造業の衰退、消費者心理の悪化。

需要サイドの政策とケインジアンの実験が、かつての好調な経済をユーロ圏と同じスタグフレーションの道へと置き去りにしているのだ。警告のサインは、公的債務の増加が国内総生産の回復を完全に正当化しているという事実であるべきだ。

これが、異常な金融・財政実験の問題である。政府は、警告の兆候が現れたら抑制政策を実施するという前提のもと、巨額の支出と債務のマネタイゼーションを受け入れるが、兆候が現れても支出を止めることはない。政府に近いエコノミストたちは、もしインフレが高まったら、政府は予算を再考し調整するだろうと言い、警鐘が鳴り響いた。今、私たちはすべての警鐘を聞いたが、政権は何事もなかったかのように続けている。インフレ抑制法はインフレ恒久法となり、政府借入の増加は10年、30年カーブで明らかになり、民間部門は明らかに縮小している。

財政支出を乱発した後、政府が支出を抑制することを信じるのは極めて危険な賭けであり、常に市民の状況を悪化させる結果に終わる。一度始めたら止めることは出来ず、避けられない結末は増税、成長率の低下、実質賃金の低下、ドルの購買力の低下である。米国経済の数字がすべて「金を買え」と叫んでいるのは、政府が財政赤字や経済における政府の規模を緩和するよりも、通貨を破壊することを常に好むからだ。

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現在、金はドルでも円でもほぼ最高値の領域にあり、現実的には今は金の買い時ではない。今年から来年にかけて米国金融市場が歴史的な大暴落に見舞われ、その後ドルの崩壊が続く。金融市場の崩壊が訪れると投資家は、手元に現金を必要とするため、手持ちの資産を売る。その時、金も売られるため一時的に金の価格も下がる。この金価格が下がった時が買い時となる。ドルの崩壊で金価格は急上昇して行くことになるだろう。日本も米国の金融崩壊に引きずられ、日本でも金融市場は大暴落し、ドルの崩壊とともに円も崩壊に巻き込まれる。日本は米国債の世界一の保有者だ。円での個人資産は確実に失われる。

雪を被ったサンシュユ