大阪では昨日に続いて、今日も小さいが余震が何度も続いている。昨日、政府の地震調査委員会は臨時会合を開き、今回の地震に関する評価をまとめて公表した。大阪には3つの断層帯が走るが、委員会ではどの断層によるものか特定出来なかったため、「周辺の活断層帯と関連した活動である可能性がある」との表現に止めている。その上で、委員長の平田直東京大学地震研究所教授は「この2~3日の間は、さらに大きな地震が起こる可能性に警戒してほしい」と述べている。実際、2011年の東北地方太平洋沖地震でも3月9日のM7.3の地震に続いて、翌日10日に弱まったM6.4の地震があったために、最初のM7.3の地震が本震だと思われていた。ところがさらに翌日にM9.0の巨大地震が発生した。2016年の熊本地震でも4月14日にM6.5の地震が発生し、15日にはM6.4の地震があり、14日の地震が本震と思われたが、16日にM7.3の地震が発生し、これが本震であった。2015年2月6日、徳島県南部でM5.0の地震があった際、武蔵野学院大学島村英紀特任教授は、西日本での直下型地震は「南海トラフ地震の先駆け」となる可能性があるとして警告されている。1925年に兵庫県でM6.3の北但馬地震があり、1927年にはM7.3の阪神淡路大震災と同じ規模の北丹後地震が発生した。その後、1943年にM7.2の鳥取地震が起きて、翌年の1944年にM7.9の東南海地震が、1946年にはM8.0の南海地震が発生している。今年3月6日から爆発的噴火が断続的に発生した九州の霧島連山の新燃岳の噴火の際に、立命館大環太平洋文明研究センターの高橋学教授は、この噴火は「スーパー南海地震」の前兆の一つで、2年以内にその「スーパー南海地震」が発生する可能性もあるとして警告された。「直下型地震、プレート型地震、火山噴火との間に密接な関係があると考えているため、これら3つの現象を引き起こすのは、東北日本の場合、北米プレートとその下にもぐり込む太平洋プレート、西南日本の場合にはユーラシアプレートとその下にもぐり込むフィリピン海プレート4枚のプレートの動きがカギを握っている」とされる。新燃岳の噴火などは、高橋教授が「南海トラフ地震」を四国沖—東海沖地震に範囲を限定せず、フィリピン—台湾—琉球列島—南海—東南海—東海に広がるフィリピン海プレートとユーラシアプレートの接触する範囲全体を視野に入れた広範囲の「スーパー南海地震」と呼ぶ巨大地震の前兆であり、2020年の東京五輪までに起きる可能性が極めて高いと述べておられる。高橋教授はプレートや火山噴火の動きを5つのステージで考えておられる。ステージ1は、相対的に上にあるプレートが、もぐり込むプレートの圧縮で歪み、限界を超えると直下型地震が発生する。1995年の兵庫県南部地震(阪神大震災M7.3)や、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)などがこれにあたる。ステージ2は、もぐり込むプレートが相対的に上にあるプレートのマグマだまりを圧縮し、火山が噴火する。今年起きたフィリピンのマヨン山噴火や2011年前後からの阿蘇山、霧島新燃岳、桜島の噴火、2014年の木曽御嶽山噴火などがこれにあたる。これまで、西南日本が位置するユーラシアプレートでは、フィリピン海プレートの影響を受けるだけで、太平洋プレートの影響を受けるとは考えられていなかった。しかし、教授は、フィリピン海プレート自体の動きも太平洋プレートの影響を受けているし、ユーラシアプレートの火山活動にも間接的に関与していると考えておられる。ステージ3aは、相対的に上にあるプレートで歪に耐えかねて、比較的大規模な直下型地震が発生する。2008年の岩手・宮城内陸地震、2016年の熊本地震、鳥取県中部地震などがこれにあたる。ステージ3bは、東日本大震災のように、太平洋プレートに引きずり込まれていた北米プレートが跳ねあがり、巨大地震と津波を生じさせるのがこのステージになる。ステージ4aは、陸側プレートの跳ね上がりにより、プレート間の固着域が少なくなり、海側プレートの沈み込む速度が速くなる、現在の東北日本の状態になる。太平洋プレートの沈み込み速度は震災前の年間10cmから、年間30~40cmに加速しており、太平洋プレートは深さ200~500Kmに到達し、溶けて大量のマグマが生成されている。従って、このステージでは火山噴火が爆発的噴火になると考えられると言う。まだ東日本では巨大な噴火は起きていないが、地下では大量のマグマが溜まっているのだ。ステージ4bは太平洋プレートの沈み込み速度が数倍にも加速したことで、東側に続くプレートが追従できず正断層が生じる「アウターライズ型」地震が起きる。東北日本では、まだそれが起きていないために、もう一度大きな揺れとともに津波が発生する可能性があるとされる。独立行政法人産業技術総合研究所の地震考古学の寒川旭研究員によれば、南海、東南海しか地震が起きない場合と、東海を含めた3つ全部が地震を起こす場合とが交互に繰り返して来たと言う。従って、次には3つが揃って発生することになる。
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