釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

才能ある女性研究者

2018-06-27 19:10:10 | 社会
米国のマサチューセッツ工科大学、いわゆるMITは世界的な研究者を輩出して来た米国を代表する理工系大学である。先日、英国の教育評価機関である「クアクアレリ・シモンズQuacquarelli Symonds Limited(QS)が発表したばかりの2019年度の「QS世界大学ランキング」では世界第1位となっている。2位にスタンフォード大学、3位がハーバード大学で、日本の東京大学は23位、京都大学は35位である。このマサチューセッツ工科大学MITは理工系大学でありながら、46%は女子学生である。ハーバード大学を含めた米国東部伝統校8校、いわゆるアイビーリーグでも女子学生は50%である。しかし、日本の東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学はそれぞれ19%、22%、38%、36%と言う状態だ。アジアの文化は歴史的に男尊女卑の傾向が強かった。日本では現在も企業や大学でもやはり男性が優位だ。米国の大学の状態を見れば、男女に能力の差がないことは歴然としている。能力があれば、性別に関係なく優秀な大学へも進学出来る。ただ、そうした風土が日本には欠けている。2014年に理化学研究所の研究員であった小保方晴子氏が英国科学誌NATUREに「STAP細胞」を発表した。人を含めた動物の細胞は、もともと将来様々な細胞になり得る初期的な細胞から出発して、その後、多様な細胞へとそれぞれが変化して行く。小保方氏の研究はすでに多様な細胞へと変化してしまった細胞でも、外部からの刺激で、元の初期的な細胞に戻り得ることを示した。しかし、科学的な研究は他の人が再現出来なければ、「真実」として認められない。その上、論文には写真の盗用などの不正があったとして、批判が高まり、メディアは批判を加熱した。その上、出身校での博士論文にも不正があったと大学が判断し、博士号が取り消されてしまった。メディアはこぞって小保方氏がとんでもない研究者であると報じた。しかし、出身校で博士論文の調査に当たった委員会は論文には不正はなかったと結論していたのだ。小保方氏は理化学研究所に移る前にハーバード大学で研究しており、そこではチャールズ・バカンティCharles Alfred Vacanti教授の指導を受けており、同教授は小保方氏の才能を高く評価している。2015年、テキサス大学のキンガ・ヴォイニッツKinga Vojnits氏らが「Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells」と言う論文で、損傷を受けたマウスの骨格筋の細胞が、怪我の外的刺激によって初期的な細胞に変化したことを発表した。世界は小保方氏が論文で主張した「STAP細胞」の存在を認めなかったが、テキサス大学の研究は「STAP細胞」の存在の強い可能性を示した。博士号まで剥奪された小保方氏は、研究者として道を閉ざされてしまった。本来、米国のハーバート大学の教授が有能と認めていた人の才能を日本は潰してしまった。小保方氏が入った大学では学生時代でも、男子学生が優勢で、女子学生は顕微鏡すら男子学生に譲らねばならないような状態であったと言う。画期的な研究が若い女性研究者によってなされたために、旧来の秩序を乱すことに危機感を覚え、排除する動きが出た可能性もある。歴史の分野でも『東日流外三郡誌』が当初、稚拙な根拠で偽書キャンペーンが張られたり、古田武彦氏の「九州王朝説」にまともな反論をせず、無視し続けたりすることで葬ろうとする。秩序を考慮せず、才能があり、画期的な事実を明らかにしようとする人は、日本では排除される。
山紫陽花