釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

蓮の花

2017-08-02 19:16:02 | 自然
奥州藤原氏初代当主藤原清衡の四男である藤原清綱は、現在の宮城県の亘理郡を拠点とした後、平泉へ移ったが、清綱の長男、藤原俊衡は陸奥の紫波郡日詰の樋爪(比爪)館に居を構え、樋爪氏を名乗り樋爪俊衡と称された。樋爪館の南に五郎沼があり、この五郎沼は今も残る。冬は白鳥が飛来し、春には堤に桜が咲く。当時、沼には蓮が繁茂していた。その当時の蓮の種が現代で蘇り、吾郎沼の側で咲く。蓮の花は午後には閉じてしまう。朝、早めに家を出て、遠野から南部杜氏で著名な石鳥谷を抜け、国道4号線沿いの五郎沼に行った。久しぶりに良く晴れた日で、日射しは夏の日射しでも、涼しい風が吹き、気温は25度であった。南部片富士の岩手山もよく見えた。午前中だけあって、800年前から蘇った蓮の花がたくさん開いていた。蓮の花も芳香を放つが、あまり香りは感じなかった。他に人がいないので、ゆっくりと蓮の植えられた周りを歩くことが出来た。花を見ていつも思うが、自然の彩色はとても美しい。新しい蓮の花の色も本当に綺麗だ。中国では蓮の花は幸運の花とされる。五郎沼に咲く蓮は赤桃色の蕾から開き、淡い桃色のグラデーションを見せる花びらとなる。五郎沼には今はカルガモの群れやオオバンがいる。涼しい風に吹かれて、桜の木陰から沼を見ていると、すぐそばの4号線の喧騒を忘れさせてくれる。ゆっくり休んだ後、同じ紫波町内の13号線に近い真宗大谷派の光圓寺に向かった。境内の沼には1000本の蓮が植えられ、多くが白蓮だが、2000年前の大賀蓮や黄色系の黄舞妃・出水黄鶴など4種の蓮が見られる。行って見ると、黄色系は咲いておらず、大賀蓮も蕾であった。白色の蓮がたくさん開いていた。さすがにこれほどの蓮の数になると、あたりには芳香が漂っている。三人の高齢の婦人たちがいただけで、その人たちもすぐにいなくなり、ここでも一人ゆっくり蓮の花を堪能することが出来た。涼しい風が吹き、炎天下ではあっても汗もほとんど出ない。帰路は396号線の紫波町の峠の駅により、もう習慣となった山野草をいくつか買い込んだ。遠野方向へ向かい、途中の峠で一休みした。長閑な田園を下に眺めた。目の前をたくさんのトンボが高く飛び、近くの杉林からはウグイスの声が聞こえ、セミも鳴く。ほんとうに岩手の自然は気持ちを和ませてくれる。
五郎沼の蓮

800年前に咲いた蓮

清々しい風が吹いていた五郎沼

光圓寺の蓮

白色の蓮

遠野の峠で一休み

産業転換に遅れをとる日本

2017-08-01 19:16:31 | 社会
米国の経済・金融情報の大手であるブルームバーグBloombergが昨日、『アジアに負ける日本株、ハイテク比率の低さ弱み-円高、安倍リスクも』と題する記事を載せた。「日本株の年初来パフォーマンスがアジア株に対し劣勢」だと指摘している。その原因は「世界的に高成長のテクノロジー株が買われる流れに追随できていない」ことと、「為替変動や保護主義政策が直撃する自動車株比率の高さ」にあるとしている。アジアでは情報技術セクターの株が3割を占めているのに対して、日本は12%でしかない。その一方で、円安や補助金で守られた自動車産業の比率が高い。そのため、成長力のある情報技術分野が相対的に少なく、成長力の失われて来ている自動車分野が大きいために他のアジアほど株が伸びていない。要するに産業の構造改革が遅れていることを指摘している。英国は先月26日、ガソリン車とディーゼル車の新規販売を2040年から禁止すると発表した。フランスもすでに同じような発表をしており、ドイツの一部都市でもディーゼル車の一部を禁止することを検討中だ。近年、一方で、電気自動車を推進する動きが、フランス、ノルウェー、インド、オランダなどで進められている。英国は特に排ガスによる大気汚染が深刻になっている。今後、電気自動車への流れは加速して行くだろうが、何よりもむしろ自動車の保有離れが広がって行く可能性がある。米国のスタンフォード大学、トニー・セバTony Seba教授が今年5月に発表した研究結果では、2030年までに、米国のマイカー所有者は80%減少し、全米を走る乗用車の台数は、2億4700万台(2020年)から、4400万台(2030年)に減る。2021年までに、電気自動車のライドシェアサービスを利用した場合の1マイル(約1.6km)あたりの費用は、新車を購入した場合の4分の1~10分の1になり、各世帯の年間コストも、マイカーを購入・維持するのに比べ約5600ドル(約63万円)安くなると言うものだ。人工知能AIによる電気自動車の配車システムが広がり、スマフォなどで、連絡すれば、必要な時に無人自動車が配車されて来る。実際、すでに米国ではこうした自動車のシェアリングはすでに始まっている。2009年に米国で設立されたウーバー・テクノロジーズ社Uber Technologies Inc.は今や世界の632都市で自動車のシェアリング事業を展開している。2012年にはリフト社Lyft Inc.もこの分野に参入した。このため、昨年、サンフランシスコ最大のタクシー会社であるイエローキャブ社Yellow Cab Cooperative Inc.が、連邦破産法の申請に追い込まれている。個人が自動車を保有しなくなる時代がもう目の前に迫っている。そんな時代を読み切れていない日本は巨大な自動車産業の存在故に、今後は経済衰退へ向かわざるを得ないだろう。
桔梗