釜石の日々

ワクチン

現在の京都大学ウイルス・再生医科学研究所の朝長啓造教授は、2010年1月に世界的な科学誌NATUREに驚くべき論文を発表した。人類の遺伝子には、4000万年前の人類の祖先に感染したウイルスの遺伝子の一部が組み込まれていると言うのだ。1970年代に発見されたボルナウイルスで、動物の脳に感染しやすい。人の遺伝子にはすでにレトロウイルスの遺伝子が組み込まれていることは分かっていた。動物、植物、菌類などのエネルギー生産工場であるミトコンドリアも独自のDNAを持ち、やはり太古の時代に細胞内へ寄生した微生物由来のものだ。米国ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学MITの共同研究による「SARS-CoV-2 RNA reverse-transcribed and integrated into the human genome」なる先月公開された論文では、新型コロナウイルスのRNAが人の遺伝子に組み込まれる可能性が示唆されている。新型コロナウイルス感染からの回復後も長期に渡りウイルスRNAが放出されたり、再度PCR検査が陽性になることなどが多く報告されていることの説明になると言うものだ。米国スタンフォード大学出身で、AVM BiotechnologyのCEOを務めるテレサ・デイシャーTheresa Deisher博士は、外来のDNAが人や動物の細胞核に入り、遺伝子に挿入されるプロセスを研究しているが、モデルナのワクチンなどのmRNAもウイルスとほぼ同じ確率で人の遺伝子にコピーされる可能性があると述べている。1976年2月、米国ニュージャージー州の米軍基地で、19歳の二等兵が、訓練を休むほどではなかったが、訓練教官に対して疲労と体調不良を訴えた。二等兵はそれから24時間以内に死亡した。解剖の結果、死因は豚インフルエンザであることが判明した。同じ基地で、無症状ながら感染している兵士が500人以上いると分かり、医師たちは危機感を募らせた。大統領は巨費を投じて、短期間でワクチンを開発させ、8ヶ月後の10月には集団予防接種が開始された。しかし、2カ月足らずで神経麻痺を伴うギラン・バレー症候群を500人が発症し、30人以上が死亡した。4000万人の米国人が予防接種を受けていたが、結局、予防接種は中止され、感染も拡大しなかった。感染による死者は最初の1人だけで、ワクチンによる死者の方が多かった。ワクチンの場合は、薬による副作用に相当する副反応と有害事象の二つが、短期、中期、長期に発生する可能性がある。日本では、1948年から翌年にかけて、ジフテリアの予防接種で、製造企業のミスが原因で924人に健康被害が及び83人が死亡した。1989年から1993年にかけて、はしか・おたふく風邪・風疹(MMR)ワクチンの接種で、多くの子供が無菌性髄膜炎に感染し、約1800人の被害者が出た。このため、1994年の改正予防接種法では、定期接種に課せられた「義務接種」が「努力義務」へと変更された。薬は病を負う人が使うが、ワクチンは目的の感染症を予防するために健康な人が使う。いずれもが安全性が最優先される。しかし、現在の新型コロナウイルス感染症では、本来5~10年かけて開発されるべきワクチンを極めて短期間に開発している。しかも、遺伝子操作による初めてのワクチンが主流で、極めて安全性が無視された開発となっている。米国ファイザー社のmRNAワクチンなどはわずか170人での有効率95%が唱えられている。以前書いたように、この有効率なるものがまた常識的な有効率とは全く異なる概念である。ワクチンを接種しないで感染した人が162人で、ワクチンを接種したが感染した人が8人であった。(170ー8)/170=0.953となり、ここから95%が導かれている。何人ワクチンを接種し、そのうち何人が感染したかではないのだ。何人ワクチンを接種したかは関係ない。つまり極端な場合、この例では8人しかワクチンを接種せず、その8人が全て感染しても、有効率は95%である。何れにしても、この新型コロナウイルスに対するワクチンに関しては、あまりにも異常が多過ぎる。日本での唯一の国産の旧来手法の不活化ワクチンは、今年の終わりか来年はじめになりそうだが、これもまた、開発期間としては異例に短いものであることは変わりない。
鈴懸(プラタナス)
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