釜石の日々

「ウクライナが崩壊しロシアと中国がNATOの計画を打ち砕く」

今日のビル・トッテン氏訳、「Russia and China CRUSH Nato’s Plan as Ukraine FALLS Apart(ウクライナが崩壊しロシアと中国がNATOの計画を打ち砕く)」。今月10日、naked capitalismに掲載された「Michael Hudson: Russia and China CRUSH NATO’s Plan as Ukraine FALLS Apart」。

マイケル・ハドソンのインタビュー

by Nima R Alkhorshid

ニーマ:マイケル、まずロシア経済から始めよう。世界銀行の報告によると、2023年のロシアの経済成長率は3.6だった。今年、2024年の予測は1.3だったが、今現在は2.9だと言っている。これは彼らが以前予測していた値の2倍以上だ。ウクライナ戦争がロシア経済を助けているのだろうか?

マイケル:そう、ロシアの成長の大部分はバイデン大統領のおかげだ。それについては以前にもお話ししたと思う。ある国に制裁を科すとき、その国には2つの選択肢がある。自国を崩壊させるか、輸入していたものを自国で生産するかだ。だから制裁によってロシアはまず、食料、特に野菜を自給するようになった。バルト海から食料を輸入する必要がなくなった。多くの消費財や工業製品も自給できるようになった。

バイデンが課し、ヨーロッパが追随した制裁の結果はバイデンが望んだ効果をもたらした。ヨーロッパをロシアから切り離したのだ。ヨーロッパを切り離し、西ヨーロッパの過去30年間の繁栄の基盤をすべて失くした。ヨーロッパが失った繁栄は、今やロシアが享受している。

バイデンとアドバイザーたちが意図的にこのようなことをしたのではないことは分かっている。他国を十分に傷つけることができれば、その国は自分の思い通りに動かざるを得なくなるだろうと考えた結果に過ぎない。それが米国の政策であり、米国が持っている唯一の政策なのだ。なぜ制裁がロシアを助け、ヨーロッパを傷つけ、米国を傷つけるのかという経済的な議論はない。バイデンが下院議員になって以来、彼の性格とキャラクターがそうさせるたのだ。彼は周囲に意地悪な人々を選んできた。彼の警備スタッフに噛みつく厄介な犬を選んできたように。それが世界に対して否定的なアプローチをとった結果なのだ。それは裏目に出る。

あなたが本当に意地悪だと、それが裏目に出ていることに気づかない。もっと意地悪なことをしようとするだけだ。もちろんそれがウクライナやパレスチナ、近東における今日の本当の危険の原因であり、西側諸国がますます意地悪になり、エスカレートし続ける危険の原因でもある。その結果がロシアと中国を結びつけ、代替世界システムとしてのBRICS全体を構築する上で主導権を握ることになったのだ。

ロシアのGDPはその恩恵を受けているが、何よりもロシアの構造、イデオロギー、そして西側諸国がロシアや中国、その他の国々に提供できるものは新自由主義以外には何もない、という認識が重要なのだ。

ニーマ:経済面でヨーロッパは多くの問題を抱えている。米国の軍産複合体を養うために、彼らはどうやって国防予算を増やすことができるのだろうか?

マイケル:このような場合、国際通貨基金(IMF)が各国に指示することをすればいい。その1、社会支出を削減し、生活水準を下げる。2つ目は、自国のインフラや産業、農業を米国のバイヤーに売り払うことだ。それしかない。それ以外に方法はない。

そしてもちろん中道政党である社会民主党や労働党はそれを望んでいる。だから欧州の指導者たちは皆、先の選挙で負けたのだ。有権者は、いや、これに代わる選択肢があるはずだと言った。残念ながら、その代替案はさらなる新自由主義だ。つまり、新自由主義的な政党を排除して、別の新自由主義的な政党を入れるということだ。私はヨーロッパにはあまり希望が見出せない。

ニーマ:極右、極左、中道で起きている変化をあなたはどう見ているのか?変わっているのか?これらの用語の定義はヨーロッパで変化していると思うか?

マイケル:レトリックは変化している。そして変化はある。社会主義政党が右翼に移ったとき、国際主義(インターナショナリズム)になった。その多くは第二次世界大戦の結果であり、75年間続いている。リベラル派の多くは、第二次世界大戦の原因はナショナリズムだと考えた。ナショナリズムに代わるものは何か?国際主義だ。だから彼らは皆、ヨーロッパをひとつにまとめればヨーロッパの戦争はなくなると考えた。国際的な世界経済ができれば、戦争はなくなる。

彼らが分かっていなかったのは国際的な世界経済は米国によって支配される一極的なものになり、米国はナショナリストだということだ。つまり米国によって支配され、自国の国益によって他国を敵視する国際主義経済が存在するのだ。そしてその国益は、他国が米国から独立して行動するのを阻止することでしか、権力を強化できないと信じている。たとえ米国の通商政策や金融政策に積極的に反対する行動をとらなかったとしても、他国が独立する可能性そのものが米国にとって致命的なリスクとみなされるのだ。だから米国は(他国の)政権交代をするのだ。これらの事態を防ぐために米国は世界中に800もの軍事基地を置いている。

しかしその結果、世界の他の国々を巻き込むことになった。そして世界人口の85%を占めるBRICSによって新たな国際秩序が築かれようとしている。だから今あなたが目にしているのは、世界を支配し、自国の利益を追求する米国に対する反応である。それはまずロシア、中国、イランを結び付け、軍事同盟である上海協力機構を創設し、それがBRICSに拡大したのだ。

そして今、すでに毎月、広範囲に及ぶ変化を目の当たりにしている。あなたはプーチン大統領がベトナムと北朝鮮を訪問したのを見ただろう。グローバル・サウス(南半球)とともに、独立した国際的なグループとなるユーラシア全体を独立した存在に統合しようとしている。それは米国の経済秩序がそうであったように、基本的に一連の新しい制度を創設するものである。

そして、プーチン大統領やラブロフ、その他のロシア政府高官たちは、国連は現在、残念ながら米国によってブロックされ、コントロールされていると言っている。新しい国連が必要である。プーチンは、彼らはまだ古い国連になるつもりだと言った。それはそのままにしておけばいい。しかし、米国の拒否権から解放された国々を代表する新しいグループが必要だ。経済成長を最大化する方法は生活水準を引き下げ、賃金を引き下げ、労働力をさらに搾り取ることではなく、生活水準を引き上げて労働の生産性を高めることだと信じる、緊縮財政や反労働政策とは無縁の経済的安定と金融的安定を目指す新しい国際通貨基金が必要になるだろう。

イギリスも米国もドイツもフランスも、他のすべての国もそうやって発展してきた。そして今、世界の旧植民地地域は基本的に西側経済が行ったのと同じことをしている。そしてそのためには西側経済による政治的支配、軍事的支配、そして何よりも国際債務という金融的遺産から解放されなければならない。

ニーマ:ヒラリー・クリントンは最近、バイデンを助けるためにウクライナ人が攻勢に出なければならないと話していた。このような考え方の根源は何なのだろうか?ウクライナでの戦争は民主党にとって重要なことなのか、それともそういうふりをしているだけなのか?

マイケル:米国の政治はサイコドラマであり、米国のような国がどうしてここまで理不尽になれるのか、理性のある人々に説明するのは非常に難しい。しかしバイデン政権と民主党、そして議会は一般的に、ある国を支援するならその国は勝たなければならないと考えている。もしウクライナで負ければ、バイデンがすでにアフガニスタンで負けたように、また新型コロナとの戦いで負けたように、ウクライナでロシアに敗ければバイデンが選挙で落選するだけでなく、米国の対外外交の一部であるNATOの敗北につながるだろう。そしてバイデンは、それによって人々に、ああ、彼は失敗した、トランプのような勝者を選ぼうと思わせるだろうと言う。そしてもちろん、トランプがやることは本当にNATOを終わらせること、少なくとも米国のNATOへの拠出を終わらせることであり、そのツケはすべてヨーロッパに払わせることになる。そしてヨーロッパは、あたかもロシアが侵略してくるかもしれないと、GDPの伸びのすべてを軍事費に充てたいのだろうか、と決断することになる。

あなたがバイデンとトランプの討論を見たかどうかは知らない。ほとんどの人は、バイデンが老衰の兆しを見せていたことを話題にした。しかし老衰よりも彼の発言のほうがひどかった。もしロシアがウクライナを破ったら、ロシアはポーランドまで進軍するだろうと言った。

これは、50年前のベトナム戦争時に米国人が抱いていたドミノ理論だ。私が1965年にチェース・マンハッタン銀行で働いていたとき、通路を挟んだ向かいのオフィスにいたのは海軍情報部の人間だった。諜報機関はしばしば銀行にスパイを配置する。アジア担当の海軍情報将校は、もしベトナムがアメリカを破ったら、次はロサンゼルスに来るだろうと、彼は本当に私に言ったのだ。

ベトナムがロサンゼルスに進軍し、占領しようとするのを想像できるだろうか?まるで『カサブランカ』でハンフリー・ボガートがナチスにこう言ったようなものだ。もしアメリカを打ち負かそうとするなら、ブルックリンには立ち入らないほうがいい場所もある。

民主主義国家であれ、厳しい軍事独裁国家でない世界のどの国であれ、陸軍を組織できるとは想像もできない。陸軍がなければどこも侵略できない。米国には陸軍がない。ヨーロッパにもない。もし陸軍を持とうとすれば、イスラエルで起きているように、徴兵を拒否する宗教的シオニストたちのような反乱が起きるだろう。

だからロシアが侵攻し、そのままイングランドまで進軍するという考えは馬鹿げている。そんなことをする国はない。しかし、実際に米国のネオコンたちはそう考えている。それは投影と呼ばれるものだ。彼らは自分たちがグレナダに何をするかを考えている。そしてどういうわけか、これが彼らの世界に対するイメージなのだ。米国がイラクにしたことを見てほしい。侵略した。リビアに何をしたか。侵略して破壊した。それがロシアがすることではないのだろうか?他の国も我々のようにするのではないか?それが米国の外交政策における投影なのだ。

ニーマ:マイケル、最近プーチンの重要な訪問が2つあった。中国と北朝鮮だ。この2つの訪問について、また特に北朝鮮について、ロシアに何ができるのか、ロシアは北朝鮮が現在直面している状況にどのように貢献できるのだろうか?

マイケル:ロシアと中国の基本的な計画は先ほど言ったように新しい経済秩序を作ることだ。問題は、米国が自国の存亡にかかわる脅威としてこれに反対することを知っていることだ。バイデンが言ったように、米国が自国の存立を脅かす敵だと見なせば、米国は明らかに軍事的手段で対抗することになる。そのため、BRICSは今後1、2年かけてBRICSの金融関係、貿易赤字と国際収支赤字をファイナンスするためのBRICS銀行、西側に並置するイデオロギー全体も詰めていく。

そうしている間に、彼らは1917年のソビエト革命後にロシアがやらなければならなかったことをやらなければならないと認識する。米国は我々に軍事的防衛を強いている。自国を守らなければ、新しい経済秩序を構築する機会もなくなる。

だからプーチンも中国も、自国の運命を切り開くためには、馬車を馬より優先させ米国の脅威から身を守るために軍事的な保護から始めなければならないことを認識しているのだ。

ニーマ:NATOの中で最も重要な国のひとつがトルコである。最近、彼らはBRICSへの加盟を希望している。トルコのこのような動きをどのように見るのか、また、それがNATOにどのような影響を与えるのだろうか?

マイケル:トルコは常に、西側諸国とロシア、その他すべての関係者の両方の立場を同時に演じようとしてきた。

イスラエルによるパレスチナ人への攻撃以来、それはより難しくなっている。イスラム諸国はトルコに、あなたの忠誠心はどこにあるのか、と言っている。一度に2つの道を進むことはできない。選ばなければならないのだ。

米国はレバノンとの戦争でイスラエルを支援する準備をしているのですでにトルコへの警告になっている。米国がレバノンを爆撃するために自国の空軍基地を使わせるな。それを止めなければならない。それ以上に、トルコは今初めて、EUの一員になることを望んでNATOに加盟したのだから、と圧力をかけられている。EUは死んだ。参加するものは何もない。あなたには選択肢がある。縮小の一途をたどる経済の一部となるか、それとも国際的な成長を遂げるユーラシア経済と連携するか。あなたはどうするつもりなのだろうか?そして、トルコがイスラム的、非NATO的、非米国的な立場を取るよう私たちが主張したとき、有権者はどうするつもりだろうか?

エルドアンは常に、両方の立場を演じることができた。私は10年以上前、彼とプーチンの前任者メドベージェフ大統領がユーゴスラビアで演説したときに立ち会ったが、エルドアンができるだけロシアに近づこうとしているのがわかった。しかしその後、彼は米国と会談し、いつ行くのか、私たちがヨーロッパに来ることをどう宣伝してくれるのか、とできるだけ近づこうとした。もうそのような駆け引きはできないと思う。

今私はトルコの外交官を知らないので内部情報をまったく知らないが、彼にプレッシャーがかかっているのはわかるだろう。もし本当にイスラエルがレバノンを攻撃すれば、トルコは選択を迫られ、その選択はあっという間に下されるかもしれない。

今ヨーロッパで起きている変化は、彼らがロシアとの結びつきを取り戻すことができるのか、それとも米国はそうさせないのか、どちらだと思うか。

マイケル:ヨーロッパがロシアとの関係を再構築することは、米国と明確に決別しない限り不可能だ。もちろん、フランスの選挙を見ればわかるが、彼らはそれを控えめに求めている。

しかし、ヨーロッパ、ヨーロッパの指導者たちに対する米国の圧力、つまり、社会民主主義政党、キリスト教民主主義政党、労働党に対する米国の浸透と助成は非常に大きく、指導者たち自身も親米である。ヨーロッパには左翼政党が1つしかなく、それはドイツのサラ・ヴァーゲンクネヒトの政党だけだ。言うまでもなく、この政党がしばらく支配的な政党になることはないだろう。

だから、プーチン大統領が言ったように、ヨーロッパと再び関係を持てるようになるまでには、丸1世代、30年はかかるだろう。ヨーロッパが本当に目覚めることができるとは思えない。イデオロギーを変え、経済を再編成しなければならない。米国は彼らに制裁を課すだろう。トランプ大統領はヨーロッパに非常に重い関税を課すつもりだ。

ヨーロッパが最初に選択するのは、もし米国がNATOの費用を負担しないのであれば、ウクライナに送って在庫が枯渇している軍備や戦車、ミサイル、武器、航空機をすべて再軍備するつもりなのか、ということだろう。本当にそれを再構築し、再軍備するつもりなのか?それとも、経済を再建できるような平和の配当を受けるのだろうか?各党は一致している。我々は、賃金を引き上げるような平和配当は望んでいない。労働者は雇用され、賃金は上昇し、我々金融セクターは階級闘争に敗れるだろう。

そして、それが今も続いているのがヨーロッパだ。腐った階級闘争が続いているのだ。そして問題は、単にヨーロッパ対米国ではない。ヨーロッパの産業界と金融界のエリート対国民全体なのだ。極右政党と呼ばれるもの、つまり左翼ポピュリスト政党や、かつての左翼社会主義政策である積極的な政府、産業界への利益補助、生活水準の補助、社会基盤の整備を、第二次世界大戦直後の数十年間にヨーロッパが実際に行っていたことを、何の計画もなく踏襲することなく、左翼がかつて言っていたようなことを言っている政党を除いては、本当に選択肢がないのである。

ニーマ:この紛争がウクライナで何十年も続くと見ているのか、それともウクライナ紛争の最終段階に差し掛かっていると見ているのか?

マイケル:NATOはロシアが敗北して5つの国に分割できるようになるまで、これは永遠に続くと約束している。そして米国は中国に同じことをして民族ごとに分割すると。NATOは100年続くと言っている。

そしてNATOは本当にヨーロッパを統治している。欧州委員会とNATOはヨーロッパの管理部門だ。そして、有権者は、このようなすべてのことについて、地元の国のリーダーを選ぶことについて、ほとんど何も言うことができない。だからNATOと欧州委員会が存在し続ける限り、いかなる交渉もできない。

だからプーチン大統領は西側諸国は非協定的だと言っている。つまり、西側が言う唯一の交渉とは、ウクライナで勝利することであり、交渉とは、和平の条件を西側が決定することだ、とロシアは言う。解決策は戦場でしか得られない。交渉で勝つことはできない。なぜなら、誰と交渉するつもりなのか?なぜならウクライナは今、米国の傀儡だから、米国が勝利し、米国が支援した指導者たち、おそらく軍事指導者や現政権の反対派を投入しない限りウクライナとは交渉できない。そしてロシアが和平に口を出すのは交渉ではない。ロシアが交渉する理由は何もないのだ。

仮に交渉したとしても、NATOは、停戦を約束する。それから本当に攻撃するだろう。交渉するふりをして攻撃する。それがNATOのやり方だ。それが米国のやり方なのだ。そしてそれはすでにロシアに対して何度も何度も繰り返されてきたことだ。だからロシアは交渉はしないと言っている。ウクライナが傀儡であることは承知している。ウクライナは米国の傀儡であり、ヨーロッパの指導者たちは実際にはNATOの将軍たちで、彼らはみな米国に任命されているおり、米国とは交渉できない、なぜなら嘘をつくから。彼らは約束を破る。

だから、ウクライナの解決策は、ロシアが最終的にウクライナを再編し、国内政府を作ることができる程度まで西側を打ち負かすと決断したときに訪れるだろう。

西側諸国とNATOはこう言った。我々にあるのはテロリズムだ。キエフがルハンスクやドネツクにミサイルを撃ち込んでいたように、少なくとも我々はウクライナにミサイルを撃ち込み続けることができる。ウクライナを不安定化させ続けることができる。そして、ロシアがウクライナを中立化させ、NATOと米国がルーマニアの基地やポーランドの基地から離陸し始めたら、米国はポーランドやルーマニア、あるいは原爆を搭載できるF-16機がありそうな場所の飛行場を攻撃し始めるだろう。

なぜなら原爆を搭載できる飛行機があれば、その飛行機が離陸するたびに、それが何を搭載していようと、米国はそれを爆破するだけでなく、その飛行機が離陸した基地も爆破するつもりだと言ったからだとロシアは言った。基地を吹き飛ばすということは、滑走路をすべて吹き飛ばすということだ。滑走路がゴツゴツしていると、ひっくり返って機首をぶつけてしまう。

そういう意味では、ロシアは、どうやら米国がロシアを煽ろうとしているように、戦争を西に拡大するだろう。その時、米国はバイデンが言ったように言うだろう。ロシアはルーマニアを侵略し、ポーランドを侵略している、

ソビエト連邦全体を再確立しようとしている。全ヨーロッパをかつての東ドイツのようにしようとしている。愚かなことだ。この間、ヨーロッパの人々と有権者には何が起こっているのだろうか?ハンガリーは拡大に反対している。スロバキアも反対していると思う。彼らはどうするつもりなのか?

なんともいえない。ヨーロッパには政治的リーダーシップがほとんどない。それが問題だ。ロシア人が言うように、文明崩壊の状態にある。

ニーマ:台湾の紛争は米国にとってより重要だと思うか、それともウクライナと同じように重要だと思うか?

マイケル・ハドソン:米国は単に蚊のように中国と台湾にしつこくしているだけだと思う。中国は台湾を爆撃したり侵略したりする気はまったくないと思う。そんなことをする必要はない。台湾の貿易はほとんどすべて中国とのものだ。中国がすべきことは、もし台湾が友好を打ち切って分裂を望むなら、もう貿易をやめると言うだけだ。台湾はどうするつもりだろうか?米国の経済圏に入りたい?まあ、頑張ってくれ。そうすればいい。明らかに台湾経済は崩壊するだろう。

私は多くの台湾高官に会ってきたが、彼らは皆、個人的に中国本土に投資している。彼らは皆、中国への投資を楽しみにしている。残念ながら、彼らのほとんどは麻薬の売人だ。中央銀行家や金融関係者もいる。彼らは、イギリスがアヘン貿易で中国にしたことを再び起こそうとしている。中国の多くの実業家は、政府の指導者ではなく単なる実業家であるが、自分たちの経済的運命が中国にあることを知っているのだ。

中国人は本質的に、相手がパンチを出しながら消耗している間に追い詰められたふりをすることができる。本当に独立したいのか?もし独立が米国への依存を伴うのであれば、好きなだけ武器を手に入れればいい。知っての通り、我々は20分で君たちを全滅させることができるからだ。海峡の向こう側にいるのだから。20分で全滅させることができるのだから、攻撃してこないことは分かっている。我々は、あなた方のビジネスマンや多くの国民が我々との平和を望んでいることを知っている。我々は貿易を遮断する。輸出はしない。輸入もしない。気が変わったら知らせてくれ。

ニーマ:再選直後のモディのロシア訪問をどう思うか?彼はロシアに行き、プーチンと話をする予定である。今この時において、ロシアはインドにとってどれほど重要なのだろうか?

マイケル:インドは、エルドアンが長年うまくやってきたことをやろうとしている。東洋と西洋を互いに翻弄させようとしている。米国はインドに経済的に買収するためにできる限りのことをしている。インドはできる限り良い取引をしようとしている。

米国は、「ネパール、チベット、シッキム、ブータンでの戦争を見てみろ」と言いたいのだ。そこには中国人がたくさんいる。あの戦争を覚えているだろうか?

私は、インドが中国軍を攻撃しようとしたときの戦争をよく覚えている。中国軍はただ歩いて入った。私は国連の安全保障理事会で演説をし、解決策はひとつしかないと言った。それは冗談だったが、インド問題の解決策はひとつしかない、それは中国人がインドに歩いて入ってきて、家畜を全部食べて、そして中国に戻る、あとはわかるだろう。

インドの代表団はみんな私のところにやってきて、握手して言ったんだ。本当にそういう状況なんだ。これは有権者のためのショーなのだ。基本的にはショーなのだ。

このインド人たちはみんな老衰で死んでしまった。すべて50年前の話だ。彼らは、中国との軍事衝突に勝つ見込みがないことを理解しているのだと思う。米国は彼らに武器を与えようとし、中国がインドと経済的に友好的でなくなるような事件を引き起こそうとしている。

私は、インド人がこれに引っかからない程度に洗練されていることを望んでいる。インド人はおそらく、米国との会談を利用して、何をくれるのか、と言っているのだと思う。そして今、モディはプーチンに会いに行った。きっとプーチンに何をくれるのかと聞いているのだろう。中国は何をくれるのか?選べるように現実的な選択肢を与えてほしい、なぜならインドにとって、または世界のいかなる国にとっても独立国であることはとても難しくなっているから。

世界が2つに分裂し、文明が分裂している今、一度に2つの道を歩むことはもうできない。調停者になろうとしても無理だ。調停はできないのだから。この2つの政治的領域は経済的に互いに分離しており、この分離はもはや不可逆的だと思う。

インドにはそれを認識してほしい。インドはBRICSの一員であるはずだ。現在ロシアがBRICSを率いており、数週間後にはBRICSの会合が開かれると思う。モディが議論しているのは、BRICSにおける我々の役割は何か?我々を信頼するのかしないのか?そしてプーチンはおそらくモディに、インドよ、君はBRICSの一員だ、もしインドが米国側に立って話をするなら、BRICSの決めた政策に米国が裏にいて拒否権を発動することだ。そうなればインドはもうBRICSの一員ではない。インドは以前とは違うインドであり、それがこの議論のすべてであろう。

ニーマ:トルコがBRICSに加盟すれば、BRICSに加盟する最初の国、最初のNATO国になる。

マイケル・ハドソン:引き金を引き、決断を迫られる。エルドアンはその決断をできるだけ避けようとするだろう。彼は両方の方法でプレーしようとしているが、もしレバノンが攻撃されれば、トルコは今年であってもすぐに、レバノンやイスラム教の同胞を攻撃するNATOの一員にはなれないと言うだろう。 我々はNATOから脱退する。そしてハンガリーも一緒に来ないか?と。何が起こるか想像がつくだろう。

そして米国の外交官たちは、何が起こっているのかまったく理解していないようだ。彼らはあなたの番組を聞いていないと思う。

ニーマ:ハンガリー、セルビア、スロバキアはBRICSへの加盟を考えているのだろうか?

マイケル:今のところは地理的な位置関係から彼らの経済的な結びつきはヨーロッパに非常に近い。ヨーロッパが正式に解体するまで、彼らがBRICSに加盟することはないと思う。だからBRICSに加盟することで経済貿易や投資、人口動態がすべて中断されることがなくなるまで待たなければならない。

その一方で彼らは、現在のユーロ圏のリーダーシップに代わる価値あるものとして行動しようとするだろう。ヨーロッパが軍事的なNATOの反ロシアグループの一員にならない新しいヨーロッパを作ろう、と。NATOがなくなれば、今言った3カ国だけでなく、他の国も含めて、ヨーロッパ全体がどのように関係を作り直すかを決めることになると思う。

ロシアが彼らを信頼するようになるにはかなり時間がかかるだろう。しかしいずれハンガリーやセルビアなど、ロシアの利益を支持しNATOの利益を支持しないことをずっと示してきた国々をロシアは信頼するようになると思う。

ニーマ:ガザ紛争についてですが、イスラエルとの関係を正常化させるために米国がサウジアラビアに防衛条約を提案していたことが明らかになった今、あなたはどう思うのか?それがサウジアラビアにとってうまくいっているとは思えない。中東における米国の外交政策、そして中東の様相がどのように変化していると考えているのか?

マイケル:サウジアラビアも本質的に不安定な経済状況の例である。サウジアラビアには問題がある。サウジアラビアは金融資産のほとんどすべてを米国に置いている。サウジアラビアが懸念しているのは、米国に保有する株式や債券が、欧米から積極的に離脱して近東の近隣諸国に加わることへの人質になっていることだ。

今まさに迫られている。F-16のような米国のあらゆる軍備を提供されている。しかし、サウジの指導部には、F-16はいらない、あれは使えない、と言う人がいるに違いない。ロシアがウクライナでF-16にどう対処するかを見てみよう。米国の兵器はあまり機能しないことは明らかになっている。

またサウジアラビアは自国民からの圧力にさらされている。ヨルダンと同じように、サウジアラビアもパレスチナ人を多く抱えている。そして問題は、サウジアラビアの指導部が自国民からだけでなく、シーア派とスンニ派が分裂しているにもかかわらず、イスラム諸国全般からどれだけ独立できるかということだ。

つまり、サウジは考えられないことを考えなければならないのだ。これまで存在しなかったような代替案を検討しなければならない。そして、当面は何もしない、できるだけ何もしないようにしようとしている。明らかに、イスラエルとの合意案は永久に終わった。サウジアラビアもおそらくはヨルダンも、イスラエルの事実上の同盟国であり続けることはできない。これほどの対抗圧力がなければ、うまくいくはずがない。

問題は、サウジアラビアの指導者たちが、周囲のあらゆる勢力からどれだけ独立できるかということだ。また、サウジアラビアの指導部全体がどれほど西洋化、アメリカナイズされていて、このユーラシアの動きに抵抗しようとしているのかということだ。

彼らは今、BRICSの一員でもある。私がインドについて述べたことはサウジアラビアにも当てはまる。BRICSの会議では、サウジアラビアに対して、私たち(BRICS)の側なのか、それとも敵なのか?それを選択しなけれないけない、と言われるだろう。だからサウジアラビアがその選択をするには時間がかかるだろう。

トルコの場合のように、この選択のタイミングは米国の行き過ぎた行動か、地元の軍事的混乱によって決まるだろう。それを避けることはできない。どちらかしかないのだ。そして、そのようなアクシデントを予測することはできない。

しかし、米国が米国の立場を過大評価して、おそらく何らかの圧力を引き起こすであろうことは確かだ。それが米国の問題なのだ。いじめっ子のように、自分たちの力を過大評価し、何度も間違ったことをしてきた。最近、世界の他の地域はイラクやリビアのようにはなっていない。

ニーマ:バイデン政権はヒズボラへの攻撃を防ぐことができるのだろう?

マイケル:バイデン政権には2つの要素があります。一つは国務省だ。国務省とホワイトハウスには政治家と素人がいる。

もう一方は軍の指導者たちだ。軍部のほうは、彼らがさまざまな予測やゲームを行っていることは発表されていると思うが、彼らの予測ではことごとく米国は負けている。

しかしネオコンはこれがわからない。分裂している。ネオコンは、我々はなんでも勝つことができると言う。バイデンがそう言ったのを聞いただろう。我々はアメリカだ。負けたことがない。

まあ、いつでも初めてはある。

そして問題は、軍はノーというだろうか?それとも撤退するのか?または辞任するのか?残念ながら軍隊で昇進する方法はイギリス海軍で昇進する方法と同じで、昔のギルバートとサリヴァンの歌のようなものだ。政治的な上官の言うことに従うことで昇進する。

しかし同時に、彼らには彼らなりの分析がある。CIAにだって、現実的だからといってクビにされないアナリストがいるかもしれない。問題は、ここで意見が分かれるかどうかだ。軍部は単純に、私はこの攻撃を支持できないと言うだろう。空母や戦艦、軍隊、外国の飛び地がすべて破壊されるような戦いになるくらいなら、私は辞職する。それもまた大きな未知数だ。しかし、それが選択肢になるのだ。

ニーマ:最後に、今日のBRICSを見た時、もうすぐBRICS首脳会議が開かれるといったがBRICSのメンバーが米国のシステムから完全に独立するような解決策を打ち出すには、どれくらいの時間がかかるのだろうか?

マイケル:すぐになるとは思わない。なぜならすでにある解決法を(知らずに、または意図的に無視して)再び一から作ることになるからだ。解決法の大部分は、19世紀にイギリスの古典的政治経済学によってすでに発明されている。

あなたは経済的レント(生産要素または供給が固定されている資源の所有者への支払い)はいらない。あなたが欲しいのは資本形成だ。あなたは政府に自然独占やインフラ整備を主導してほしい。これらはすべて、19世紀に発明されている。

しかし、新自由主義はこの経済思想の歴史を消し去り、排除してしまったため、BRICS諸国の政治指導者たちはそのことに気づかないのだ。確かに、BRICS諸国の中央銀行の担当者はこのことを知らないし米国やヨーロッパで訓練を受けたエコノミストもこのことを知らない。

だから彼らは暗中模索している。行き先はわかっていても、そこにたどり着く方法がわからないのだ。実際に実行可能なものを手に入れるには、しばらく時間がかかりそうだ。

BRICS通貨の議論については、すでに多くの混乱が生じている。貿易や投資を表す通貨がユーロのようなもので、他の投機筋がそれを買うことができるのか、それとも単なる中央銀行で、中央銀行の会計システムで債権と債務を管理するバンコールのようなものなのか、区別がつかないのだ。

彼らは第二次大戦末期にケインズと米国人の間で、どのような国際通貨基金があるべきかをめぐってなされた議論のすべてをは学んでいない。

だから、もし彼らが歴史に精通していない状態で仕事をしているとしたらBRICSが考えているのと同じような問題を、他の国々がどのようにすでに考え抜いているのかがわからないので、時間がかかるだろう。

ハス
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