釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「共生」を取り戻す地域通貨

2013-11-08 19:21:17 | 社会
今日は晴れにはなったが、昨日からの風が残り、日射しの中を歩いても少し寒かった。昨夜は日本海の低気圧の影響で風がかなり強かった。朝、玄関先にはちょうど吹きだまりのような形で庭の落ち葉が集まっていた。昼休みに山の中腹にある菅原神社へ出かけた。枝の端から赤く染まったモミジが日に照らされて、今年も綺麗な紅葉を見せてくれるようだ。枝の中程にはまだ緑の葉がある。見頃は来週になるだろう。八幡神社へも行ってみたが、こちらはまだ紅葉には時間がかかりそうだった。 お金、貨幣は歴史的には物の交換手段として使われ始めたが、そのうち、利子を生むようになった。交換手段として留まっている間は人々の間に共生を可能にしていた。しかし、利子を生み出すようになると、共生が競争に変化し始める。貨幣自体も循環されるだけでなく滞留されるようにもなる。ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデMichael Ende(1929~1995)は「科学だけが唯一絶対の真実ではなく人間の魂や精神もまた真実である」と言う。ドイツに古くからある「金を出す者が命じる」という諺を引き合いに出し、「現在の科学や技術は軍事のためには国家から、経済的な利益のためには企業から金を受け取る。そこで研究は知らず知らず一定の方向に押し進められてしまう。ここ数十年は恐ろしいスピードで科学と技術を変えている。」と語る。科学技術が発達し、物が溢れる時代になったが、ほんとうの心の豊かさや喜びを見失っているのではないか、と疑問を持つ。そして、 『エンデの遺言~根源からお金を問う~』の中で「自然界のあらゆるものは腐るのに、この世でお金だけが腐らない」ことに問題の根源があるのではないかと考える。彼は「腐らないお金」が蔓延する現代の金融資本主義の世界に疑問を持ったのだ。「もう一度貨幣を実際になされた仕事や物の実体に対応する価値として位置づける」必要があると。「現在の貨幣システムの何が問題で何を変えなければならないかを真剣に考えなければならない」。それは「人類がこの惑星上で今後も生存出来るかどうかを決める決定的な問いだと、思っている」と語る。「パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と株式取引所で扱われる資本としてのお金は2つの全く異なった種類のお金であるという認識」を持つことの重要性を指摘する。かっては多国籍企業のコンサルタントであり、ジョージ・ソロスと並ぶ投機家でベルギー中央銀行にも招かれた米国カリフォルニア大学バークレー校の「 持続可能な資源開発センター」を運営するベルナール・リエターBernard Lietaer氏は現代のマネーゲームの最先端にいて、このままの金融システムでは未来はないと考え始めた。リエター氏もエンデも注目したのがドイツ人シルビオ・ゲゼル(1862~1930)の提唱した「自由貨幣の理論」だ。オーストリアの 小さな町ヴェルグルでは世界大恐慌の影響で町に失業者が大量に出た時、町長がゲゼルの考えを実践し、「ヴェルグル 労働証明書」という地域通貨を発行し、この貨幣が非常な勢いで循環することで何倍もの経済活動を支えた。世界恐慌では米国でも3000以上の地域通貨が発行されている。地域貨幣は利子を生まず、地域内だけで循環することで、その地域の人々を結びつける。いわゆる、共生を生み出す。リエター氏は言う「我々が今持っている世界規模の経済システムこそが問題なのだ。異なる通貨システムは異なるタイプの関係性を築くと思います。私たちが常識だと思って使用している通貨は、国や企業に競争を強いる性格を持っている。金融システムが競争を前提として機能している。協力しようとすると、それを築くような別の通貨が必要なのです。目的に応じて道具は使い分けるべきです。」と。
始まった菅原神社の紅葉


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