釜石の日々

世界遺産になろうとしている富士山

昨日ほどではないが、今日もこの時期にしては気温が低めだ。午前中は曇天で風も冷たい。昼頃から少し青空が見えるようになったが、相変わらず雲がたくさん流れていた。出勤時に甲子川北岸沿いの道端でもうライラックが開いて来ているのが目に入った。職場の裏山では今日もヒヨドリやメジロが椿に集まって来ていた。昼休みに、職場からやや離れた甲子川中流域まで出かけた。甲子川の河川敷から見える南の山々の山桜が見たかった。川面に接するように低く飛ぶツバメたちが何度も飛行を繰り返している。周辺の山々には杉が植林されて、淡い緑のグラデーションや山桜が途切れている。植林などがなかった時代の山はもっとすばらしい色合いを見せてくれていただろう。 一昨日、文化庁は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)が富士山を世界遺産に登録するよう勧告したと発表した。6月16日からカンボジアのプノンペンで開かれる世界遺産委員会で審議が始まる。富士山は日本人以外であってもその美しさを認めるだろう。晴れた日の富士はとてもきれいだ。若い頃その裾野に住んでいた。見慣れた富士の大きな凹みだけがややその美しさを削いでいるように思っていた。1707年の宝永大噴火が起きた時の第一火口に当たる。近くには他にも小さな二つの火口がある。その時から現在まで富士山は本格的な噴火が見られていない。宝永大噴火は同じ年に起きた宝永地震の49日後に始まった。宝永地震はM8.5クラスで、紀伊半島沖を中心に南海トラフのほぼ全域に及ぶいわゆる三連動の東海・東南海・南海連動型地震であったと考えられている。この地震により地下の圧力が富士山下のマグマに加えられて、噴火に至った。2011年3月11日の地震の4日後、3月15日には内陸地震であるM6.4の静岡県東部地震が起きている。さらに同年5月以後は火山性の低周波地震が頻発している。8月には富士山北西斜面の標高2090mの地点で変形を生じている。9月に入り富士宮市では数カ所で大量の地下水の湧出が見られた。2012年5月、富士山南東山麓直下に活断層があることが明らかにされ、噴火時には山体崩壊の危険性が出て来た。同年7月には河口湖で大量の気泡の発生が見られている。今年に入ってからは富士山に近い箱根でも群発地震が発生している。気象庁の火山噴火予知連絡会会長である藤井敏嗣東京大学名誉教授は、20世紀半ば以降に発生したM9を超える5つの地震すべてで、火山の噴火が例外なく誘発されている、と言われている。とすれば、3.11巨大地震はやはり火山の噴火を誘発する可能性が高い。しかも、震災後の富士山周辺での異変は、その誘発が富士山で生じる可能性を示していると考えられる。海洋地質学や地震学を専門とする琉球大学木村政昭名誉教授の指摘する「富士山は2011年プラス・マイナス4年に噴火する」つまり、2015年までに噴火する、と言うことも十分高い可能性があるだろう。世界遺産にまでなろうとしている富士山の現在の姿が崩れる可能性も出て来る。そして何よりも、世界遺産と決れば富士山を訪れる人たちが急増するだろう。現在のところ毎年30万人が富士山を訪れており、裾野の観光客を合わせればさらにずっと多くなるだろう。大噴火が予想される中で登山者や観光客が急増する可能性に危惧を覚える。
庭の春蘭
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