釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

東北の春の楽しみ

2012-04-17 19:21:15 | 文化
今日も朝は晴れて職場の裏山でウグイスの声を聞くことが出来た。昼には積乱雲のような雲が出ていたので、この時期には珍しいと思っていると、午後は雷が鳴り、雨も降って来た。東北のこれからの季節はある意味で1年のうちで最もいい季節だと言える。山々は落葉樹が多いため冬は葉が落ちているが、こうして春になって来ると木々にも一斉に緑の葉が出始め、庭木や山野草が咲き始める。山では山菜も出始める。冬場には枯れたように見えていた植物から新芽が出て来て、生きていたことを教えてくれる。この光景を目にすると感動すら覚える。東北の春は冬が厳しいだけに一斉に姿を見せる植物に印象付けられる。北海道の場合も確かに冬が厳しいが、春の植物の種類が東北に比べるとずっと少ない。桜の木さえ里では東北ほど見ることがない。かえって山桜の方が多いくらいだった。東北はほんとうに山菜の種類も多い。匠の方にお聞きすると、今年は山菜の出が遅いそうだ。やはり、寒さが例年より厳しかったからだろう。しかし、こうした厳しい冬があった年は実の成る木は実の出来がいいそうだ。梅なども花が開くのは例年より遅いようだが、梅の実の出来は期待出来るようだ。昨年の震災後に釜石周辺の産直で山菜を買って、山菜がお気に入りになった娘は、今年は是非山菜採りを経験してみたいと言い出した。匠の方に早速お願いして、山菜採りの手はずを組んでいただくことになった。山菜も今年は遅いので、5月の連休前くらいになるだろうとのことだった。釜石へ来てから山野草も種類が多いのに驚いたが、中でも隣の住田町で力を入れている敦盛草(あつもりそう)を初めて目にした時には、その可憐さに打たれた。住田町を始め、遠野などでも山中にもともと自生する花で、敦盛草に少し似ている熊谷草などとともに東北の山ではごく自然に見られていたようだ。しかし、自生していた花が次々に採られてしまい、今では自生するものはかなり限られて来た。住田町では敦盛草がカッコウの鳴き始める頃に咲くことから、カッコウ草と呼ばれ、町を挙げて敦盛草の育成に力を入れている。敦盛草を個人の家で育てるのは結構難しく、住田町では育て方の講習などもやっており、毎年5月末には「カッコウ草まつり」をやって、安く敦盛草を販売するとともに、敦盛草を生育させるのに適した土まで販売している。釜石へ来てから何度かこの敦盛草を買って家で育てたが、やはり、維持するのが難しい。敦盛草にも種類があって2~3種類の敦盛草をオークションも利用して手に入れたが、今年はそのうちのどれだけが花を咲かせてくれるか不安だ。昨年は希少種になった北海道の礼文島にのみ咲くクリーム色の礼文敦盛草も手に入れた。個人の方が繁殖しておられるものを分けていただいた。しかし、今のところこの礼文敦盛草は芽が出て来ていない。赤紫色の布袋敦盛草(ほていあつもりそう)も何だか生育が悪い。自然が豊かで、様々の山野草がある東北はこの時期にそれらの花の多くが見られるので、都会とは違った楽しみを享受している。山野草と山菜がとても安い値段で売られている近在の産直を見て回るのが毎年恒例となって来た。今月末には新しく大きくなった遠野の本郷の産直が開く。今からそれを楽しみにしている。
職場近くで咲き始めていた幣辛夷(しでこぶし)

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