釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

ガン(雁)

2015-02-12 19:20:04 | 自然
今朝はさほど寒くはなかったが、空には雲も流れていた。職場の裏山で今日はリスが木々を渡り歩いているのを見つけた。もう冬眠から覚めているのだ。とても嬉しくなった。春はもう間近なのだろう。 釜石ではカモ類や白鳥は見ることがあるが、ガンを見ることはほとんどない。一昨年、偶然1羽のマガンが甲子川の堤にいるのを見つけたのが唯一だ。先日遠野へ行った際にも、やはり偶然一羽だけマガンが混じっていた。ガンは古代から日本へやって来ていた。万葉集には66首詠まれている。ガン雁は万葉の時代には「かり」と読まれた。その鳴く声を「かり(雁)がね(音)」と詠んだ。それが次第に「かり」そのものを指すようにもなって行く。万葉集第十五巻に遣新羅使の作として「天飛ぶや雁を使に得てしかも」と歌がある。天平8年、736年に現在の福岡県糸島郡志摩町に停泊している時に新羅へ向かう使いが詠んだ歌とされる。一般には「空を飛ぶ雁を使いに得たいものだ。奈良の都に言伝をしてもらおう。」くらいの意味にとられている。この作者が新羅からやって来て、北部九州で詠んだとすれば、この時代にはガンは九州にまで飛来していたことになる。しかし、現在のガンの飛来の南限は日本海側では新潟県北部までであり、太平洋側では岩手県までである。白鳥は現在も島根県まで南下している。日本気象学会によると、奈良時代後半から平安時代前半にかけては気候は比較的温暖であった。現在よりも気温は低かった。ガンも恐らくは現在よりもさらに日本の南までやって来ていたのかも知れない。少し不思議なのは万葉集には白鳥を詠んだ歌が2首しかないことだ。しかも「白鳥」は「しらとり」であり、ツルやサギも含まれていた可能性があると言う。万葉時代には白鳥はどこまで飛来して来ていたのだろう。ガンは小学生でも名前を知るだろうが、自然の中で見るガンは、今の日本ではほんとうに限られた地域でしか見られない。ガンが家で飼われるようになったものはガチョウと呼ばれている。
遠野で出会った真雁

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