釜石の日々

日本の四季

今朝は-2度であまり寒さを感じなかった。日中も10度近くまで上がり、天気が良く、春霞のような天候だった。庭にもところどころ土が顔を出して来た。風も穏やかで、雪がなければまるで春が到来したかのような錯覚を覚えた。それでも雪はまだ残っているため、市街地ではほとんど花を見かけることはない。来月に入れば、少しずつ花が開き始めて来るだろう。北海道に住んでいた頃、地元の人が、北海道は四季がはっきりしている、と言ったので少し驚いたことがある。四国で生まれ育ったので、四国では四季の花がそれぞれ決った時期に咲いていた。それが北海道では初夏に四国の春の花も含めて一斉に咲くのだ。こちらにしてみると、むしろ北海道では四季がはっきりしないと思っていた。四季を区別する花の基準が曖昧なのだ。後で、考えてみると、北海道の冬は厳しい寒さがあり、夏はごくわずかだが30度前後の気温になることもある。確かに夏と冬の気温差は大きい。そう思うと、四国のように夏と冬の気温差が少ない方が四季がはっきりしない、と言う言い方も出来るのかも知れない。全国何か所も住んで来たが、関東から南はほぼ四季の花の咲く時期は変わらない。釜石へ来る前に住んでいた愛知県もほぼ四国と同じ時期に決った花が咲いていた。しかし、釜石へ来てみると、釜石は関東以南と北海道のちょうど中間的な四季の在り方になっていた。地理的にもそうなのだから、当然と言えば当然なのだが。どこに住んでいても、そこに長く住んでいる人にとっての四季はそこでの四季が基準になる。春になると桜が咲くが、その桜は毎年桜前線と言う言葉があるように、南から3月から5月にかけて次第に北へ移動して行く。桜だけではなく、他の花たちも基本的にはこの桜前線と同じ動きで花を開かせて行くのだろう。南北に長い日本列島であればこれも当然のことだろう。しかし、花に最適な温度と言うものがあるようで、関東以南の花の咲く時期や期間を基準にすると、北へ行くほど時期は遅くなり、期間は長くなっている。ただ、北海道は夏でもさほど気温が高くないせいか、東北ほどは花の咲く期間が長くない。これまでも何度か触れて来たように、やはり花に最も適した気温が維持されているのは東北のようだ。そして、花に適しているだけではなく、東北は植物一般に最適な場所のように思われる。山の木々も豊富で、落葉樹中心に木の実が実り、それを食べる動物たちや、野鳥も多い。四国ではかなり山奥に行かなければ見られない雉などが東北では市街地に隣接する山裾で見ることが出来る。もっとも、雉は愛知県でも人里で見かけたことがあったが。四季は動物たち生態も変化させている。冬の渡り鳥や夏の渡り鳥などはその典型だし、蛇や熊の冬眠もその一つだ。北海道ほどの気温の下がりはないものの、東北の冬は関東以南より寒く、東北の多くの地域で雪が積もる。冬の東北で花たちが影をひそめ、春に一斉に咲き始める様は、まさに待ちわびた春の到来と言う感動を与えてくれる。釜石へ来てみて、はじめて、「北国の春」の喜びを味合うことが出来た。冬の厳しさがあってこそ、春の喜びがあることに気付いた。北海道は東北よりさらに冬が厳しいが、その厳しさは花にとっても厳し過ぎて、雪が融けても、すぐには花は咲かず、しばらく咲くのに時間がかかる。冬が去ってもすぐには春の花が咲いて来ない。そこが東北とは違っていて、冬が去って、春が来た喜びをすぐには味合えない。味合いは吸った空気と目に入る風景による。自然環境に生活が左右された縄文時代の集落遺跡が東北に多く見られることも、この東北の四季と大いに関係があるのだろう。動植物に最適な自然環境が東北にはあるのだろう。
葉裏で西日を受ける八つ手の葉
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