釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

3Dプリンターの創造性

2013-11-02 19:57:00 | 文化
今日は秋晴れの、風のない、とても気持ちのいい日だった。遠野へ出かけるついでに、娘に頼まれていた荷物を発送するためにクロネコに立寄ることにした。国道を走ると両側に一定間隔で警察官が立っており、とこどころで、私服の警察官も立っている。クロネコで聞いてみると、皇太子が釜石を訪ねるのだと言う。そのため、自動車道は閉鎖され、旧道を通らなければならなくなった。何百人にもなる警察官の数だ。群馬を含む関東近辺の機動隊もたくさん来ているようだ。皇太子は平田のモデル仮設へも行かれたようだ。仙人峠は紅葉していたが、笛吹峠方向に比べ紅が少ない。今年もあまりいい紅葉ではなかった。 10月15日、経済産業省は3次元のデータを入力することで立体構造のものを簡単に製作できる「3Dプリンター」の活用法を検討する有識者会議「新ものづくり研究会」を初めて開いた。3Dプリンターは通常のプリンターのインクにあたるものを様々な材質に変更することで、素人でも簡単に立体構造物を創り出すことが可能となる。レイヤーと呼ばれる階層を重ねることで、かなり複雑な構造物まで製作が可能となり、米国ゼネラル・エレクトリックGEでは3Dプリンターによりジェット・エンジンを制作している。アメリカ航空宇宙局NASAは12万5000ドルをかけて、プロジェクトを作って、宇宙での食品を3Dプリンターによって創り出している。このプロジェクトのAnjan Contractor氏は近未来ではどの家庭にも3Dプリンター食品創造器があり、一人一人の体質に合わせた成分の食品が創り出されるようになることを想像している。プロジェクトでは30年保存が可能なパウダー状の材料から食品を創り出している。英国オックスフォード大学では、生体組織と似た機能を果たす50ミクロンの組織を3Dプリンターで創り出している。いずれ人体の必要な部分に薬を届けたり、傷付いた細胞と置き換えられたりする可能性がある。この組織は脂質膜に包まれた数千の小さな水滴が結合したもので、小滴は直径50ミクロンで生体細胞の5倍の大きさになる。米国のカーレーシンググループFormula Group Tは3Dプリンターを使って、実際に時速140Kmを出し、レースに出場可能な小さなレーシングカーを創り出した。本年1月末に開催されたパリ・ファッションウィークでは3Dプリントされたスカートやケープまで登場している。米国のContour Craftingというプロジェクトは低コストで、短時間で安全に、かつ柔軟性のある建築物を創り出そうとしており、巨大な3Dプリンタでわずか20時間で約230平方メートルの家を建ててしまうという。順調に進めば、災害時の仮設住宅を作ったり、発展途上国の居住問題を解決できる可能性が出て来る。3Dプリントの開発は欧米中心に進んでいて、日本は立ち後れている。現政権では3Dプリンターを成長戦略の有望分野として強化する方針を打ち出しており、経産省は14年度予算の概算要求で技術開発の支援事業として45億円を新規計上している。米国の調査会社は2021年の世界市場規模は昨年と比べ約5倍の約1兆円規模に成長すると予測しているという。先月15日の「新ものづくり研究会」では「3Dプリンターによって素人が簡単に製造業に参入し、価格競争が激化する可能性がある。いかに付加価値を付けるかが重要になる」と言った意見が出たようだ。この意見にも見られるように、国が主宰する「研究会」は既得権益の維持が最優先事項であり、素人の参入が革新を生み出して来た米国のIT分野の成長などが忘れられている。素人の創造力を既存企業が取り込むことでしか、日本経済の展望は開けて来ないとさえ思えるのだが。
仙人峠からの眺望

遠野側のダム湖

山の中で見つけた紅葉


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