釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

繰り返される「大本営発表」状態

2023-03-06 19:10:17 | 社会
さすがに3月に入ると寒さが薄らいだ。この時期になるとあちこちでツグミを見かける。昼休みに行った川のそばの雑木林ではシジュウカラやカワラヒワの群れとツグミがいた。花が咲き、鳥が鳴いても関心がなければ、それらに気付くことがない。目には入っていても、意識にはない。映画監督の伊丹万作の「戦争責任者の問題」には、「また、もう一つ別の見方から考えると、いくらだますものがいてもだれ一人だまされるものがなかつたとしたら今度のような戦争は成り立たなかつたにちがいないのである。 つまりだますものだけでは戦争は起らない。だますものとだまされるものとがそろわなければ戦争は起らないということになると、戦争の責任もまた(たとえ軽重の差はあるにしても)当然両方にあるものと考えるほかはないのである。 そしてだまされたものの罪は、ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。 このことは、過去の日本が、外国の力なしには封建制度も鎖国制度も独力で打破することができなかつた事実、個人の基本的人権さえも自力でつかみ得なかつた事実とまつたくその本質を等しくするものである。」と書かれている。日本人の多くが社会的関心がなく、自ら考えることをしないのは、270年近い江戸時代に染み付いたものだと考えている。「日本人の特徴」として挙げられものは、ほとんどが江戸時代に培われたものだ。自ら考えるのではなく、ただ「お上」に従っていればいい。これはまさしく、軍隊そのものだろう。昨日のLITERAは、「安倍政権の言論弾圧「放送法解釈変更」をめぐる総務省内部文書のリアルすぎる中身! 高市早苗はこれでも「捏造」と言い張るのか」を載せている。「安倍政権下でおこなわれた報道圧力の実態がつまびらかとなる内部文書が公開され、大きな問題となっている。2日に立憲民主党の小西洋之・参院議員が公開した、約80ページにもおよぶ総務省の内部文書だ。 放送法における「政治的公平性」について、政府はそれまで「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」という見解をとってきた。だが、安倍政権下の2015年5月12日、当時の高市早苗総務相が参院総務委員会で「一つの番組のみでも極端な場合は一般論として政治的に公平であることを確保していると認められない」と答弁し、突然の解釈の追加、事実上の解釈変更をおこなったのだ。」とある。3日の東京新聞、「磯崎氏「局長と意見交換は事実」 元補佐官、放送法巡る公表文書で」で、「礒崎陽輔元首相補佐官は3日、放送法を巡る野党公表の文書に記載された当時の総務省担当局長らとのやりとりに関し「政治的公平の解釈について意見交換したのは事実だ」と共同通信の取材に答えた。一方で「文書は見たことがなく、信ぴょう性についてコメントする立場にない」とした。 」と書かれた第2次安倍内閣で内閣総理大臣補佐官を務めていた元総務省官僚出身の礒崎陽輔参議院議員は、2014年11月26日のツイートで、「自民党では、すべての番組を録画録音してサーチしています。クレームも、きちんとしていると聞いています。偏向報道には黙って看過せず、いちいちクレームをつけるくらいの努力が今の日本では必要です。」と書き込んでいる。要は、政府や与党にとって不都合なものは、「偏向」報道と断じて、「圧力」をかけ、今では、「大本営発表」のみが主要メディアで報道される状態になっている。日本人のTV報道への信頼度は、先進国では突出しており、8割にもなる。そしてそのTVを含めた日本の主要メディアは、ワクチンの危険性を全く報じず、ウクライナや台湾の真実を伝えることなく、西側視点だけのまさに「偏向」報道を繰り返している。食糧問題でも、2日の農業協同組合新聞では、「【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】まともな食料生産を潰して武器とコオロギで飢える愚かさ」を伝えているが、主要メディアは昆虫食の紹介こそすれ、こうした問題点を報じることがない。鈴木宣弘氏は、元農林水産省の官僚で、現在は東京大学農学部教授として、一貫して日本の食糧問題を批判し続けている。今日のデイリー新潮では、「デジタル先進国からマイナカードに疑問符 韓国では「国民の40%がカード紛失」」で、マイナンバーカードへの問題点を挙げている。政府はデジタル化推進と言いながら、日本はデジタル化では14位であり、官僚や政治家にはデジタル専門家がおらず、デジタルを理解しないまま、推進しているために、実際には、全てが外注であり、しかもそのほとんどは米国IT企業に丸投げである。東京五輪と同じ構図がある。昨日の日刊ゲンダイDIGITALは、「立憲・辻元清美議員が追及 米軍がポンコツとした幽霊機体の維持費が3000億円!のナゼ」を載せている。「大手メディアではほとんど報じられていないが、辻元議員がこれまでの防衛費の無駄遣いを問いただした時だ。 「今まで買ったもの(武器)にグローバルホークという無人偵察機があります。9年前に契約しています。買った時は613億円、そのあとに維持費が2951億円。5倍も維持費がかかっているんです」  辻元議員は米国と購入契約した無人偵察機の維持費が、購入費と比べても割高ではないかと指摘したのだが、さらに驚いたのはこの言葉だった。「9年たってもまだ1機納入されていないのです」」とある。2022年12月9日の現代ビジネス、「1発約3億円、トマホークミサイル500発1500億で日本を守れるか? 射程は1200~3000㎞」も、結局は軍事的には役に立たないものに国費を費やしていることを伝えている。やはり大手メディは決して報じない。主要メディアが「大本営発表」状態にある中で、自ら考えることがなければ、企業の競争力が低下し、少子高齢化が急進し、巨大な政府債務を抱える日本が行き着く先は、太平洋戦争の敗戦と同じく、国家の破綻でしかない。そしてその時の日本の再興もまた伊丹万作が言うように、「外国の力なしには」果たせないのだろう。

ホシハジロ

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