釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

セミ

2018-07-31 19:12:44 | 科学
昨夜はたくさんの星が見えて、今日は青空が広がり、気温も30度に上がった。朝、日射しを受けながら庭の山野草に水をやっていると汗が出た。睡蓮鉢ではピンクと白の花が咲いていた。気温が上がっても旧居の大きくそだった木の上で、ウグイスがまた鳴いていた。やはり気温が少しでも低い朝夕に鳴いているようだ。出勤すると、今日も裏山に逸れた子鹿が1頭ゆっくりと移動しているのが見えた。気温が上がって来たせいか、数日前から日中もエゾゼミが鳴くようになった。午後も3時くらいになるとヒグラシが鳴き始める。帰宅後の7時半頃まで近くの山裾からヒグラシの声が聴こえる。セミは害虫として嫌われるカメムシの仲間だ。日本には亜種も含めると全国で39種が確認されている。世界では3000種と言われる。世界で一番大きいセミはマレー半島の山間部にいるテイオウゼミで、体長は8cmで、羽根を広げると20cmを超えるものもいる。日本ではクマゼミが最大で、10年くらい前から北上が話題になっている。北陸や南東北まで北上して来ているようだ。セミは枯れ木に卵を産み、孵化した幼虫は1度脱皮した後、すぐ地中へと潜って行き、地中で2~6年過ごすと言われる。セミの種類や環境でも異なって来る。地中で最も長く過ごすセミは北アメリカに生息しているジュウシチネンゼミという種類で、その名の通り土の中で幼虫として17年も過ごす。成虫になってからの寿命は2週間ほど~1か月程度とされる。セミは幼虫も成虫も樹液を栄養源としている。その意味ではカブトムシやクワガタと同じだが、それらが木から染み出して来た樹液を食べるのにたいして、セミは1cm以上にもなる細長い口(口吻)を木へと差し込んで樹液を吸い取る。植物の幹や茎・根には水分や栄養素を運ぶための管があり、その管は維管束と呼ばれ、維管束はさらに内側の道管と外側の師管に分かれている。道管は根から水や養分を運び、師管は光合成などにより葉で作られた養分を運ぶ。セミはその道管から樹液を吸い取るようだ。成虫は樹木から、幼虫は根から、植物の道管の樹液を吸って生きているが、道管液はわずかなアミノ酸や糖を含むのみで栄養的にきわめて乏しい。産業技術総合研究所が、今年6月に米国の学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences USA」(米国科学アカデミー紀要)に発表した論文によると、セミの細胞には以前から2種類の細菌が共生していると言われていたが、同研究所の研究により、日本のセミはその2種類の細菌のうちの1種類に代わって、キノコの1種である冬虫夏草のセミタケ類にごく近縁の細胞内共生真菌と共生していることが明らかとなった。1種類の細菌と1種類の真菌が細胞内に共生することで、道管から吸い取った栄養の乏しい樹液を効率よく栄養価の高いものに変換してもらっている。人間の腸内細菌のようなものだ。成虫になったセミは地上で、子孫を残すためにメスを求めてオスが鳴く。鈴虫などは、羽根どうしをこすり合わせる摩擦で音を出すが、セミは羽根をお腹にこすり付けることで音を出している。セミのお腹には音を出す器官である発音膜とそれを動かす発音筋があり、さらに共鳴室と呼ばれる大きな空洞があることで、その中の空気を震わせてさらに大きな音を出すことが可能になっている。メスはそうしたお腹の構造が発達していないために鳴くことが出来ないが、これは逆に、卵を産むためにカマキリなどの肉食昆虫や、鳥のような天敵に気付かれないためとも考えることが出来る。セミは暑くなると、気温が25℃前後でたくさん鳴く傾向があり、ヒグラシだけは気温が低いと鳴き始めるので、涼しい朝方や夕方に声が聴こえる。明るさにも影響を受けているようだ。セミの羽根はトンボのように水平にはならないので、風を受けにくく、トンボのようには遠くまでは飛べない。数百メートルからせいぜい1キロメートルだと言われる。トンボは海水面に浮かんで休みながら海を渡ることさえある。
ヒグラシ

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