釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

債務と人口

2019-11-30 19:16:54 | 社会
今朝も庭の7つの水槽で氷が張っていた。やはり放射冷却で、日中は良く晴れた。しかし、最高気温は6度くらいで、日射しを受けながらのウォーキングも、初めはやはり寒かった。周囲の山々もすっかり葉が落ちて、冬の姿に変わって来た。隣の遠野では昨日は雪が少し降ったようだ。冬の日射しになってしまっている午後3時少し前に汽笛が長く響いて来た。今年最後の「SL銀河」が花巻からやって来たようだ。明日は、折り返して、花巻へ向かう。今年最後のためか、いつになく、何度も長く汽笛を鳴らしていた。 現在の世界には主要国が共通に抱える問題が二つある。債務と人口である。公的・私的を問わず、主要国はかってない債務を抱えている。出生率が低下・低迷し、人口減少と高齢化が目前にある。2008年のリーマン・ショックは、本来であれば世界恐慌に発展する規模のものであった。しかし、「大きくて潰せない」として、救済したことが、その後債務の増大に繋がった。人口増加が止まり、高齢化が進んだことも、経済成長を低下させ、社会保障費を増大させたために債務の増加を助長した。欧州では、英国、フランス、ドイツは基本的に移民を受け入れることで人口問題を解決しようとしている。米国は民主党が同じ考えだ。しかし、大統領は移民を制限しようとしている。日本は、例の如く、官僚の「曖昧さ」で、「研修生」と言う醜悪な「低賃金」を導入している。戦後、主要国の経済成長は、ほぼ人口増と重なって来た。日本が経済、成長力共に一瞬、世界一となったのは、まさに人口がピークを迎えた頃だ。中国の急速な経済成長も同じく人口増と同期していた。しかし、その中国も、今や人口減となる時期が目に入り始めた。人口は経済にとって、働き手と消費者の両方を提供する。働き手が減少し、高齢者が増加すれば、経済が低下する中で、高齢者の分だけ、さらに負担が重くなり、経済は一層効率が低下せざるを得ない。これを政府がしゃにむに支えようとして、政府債務をまた増大させる。世界で債務が増加したため、金利は低下させるしかない。しかし、この債務のための金利低下は、債務者には好ましいが、預金者や年金基金にはマイナスとなる。つまり、低金利とは、債務者への預金者や年金基金からの所得の移転である。リーマン・ショックにより、金融機関で一瞬にして、現金が枯渇した。中央銀行は二つの方法で、これを解消しようとした。一つは、金融機関や年金基金が保有する国債などの債権を高値で買い取ること、高値で買い取れば、当然、その債券の利回り(金利)は下がるため、二つ目として、中央銀行から市中金融機関への貸し出し金利も下げた。資本主義の本来の自己責任では、経営悪化した企業は、潰れる。それが大きくとも小さくとも関係なく。経営判断に誤りがあったからこそ経営が悪化したのである。巨大金融機関が倒産することは、確かに、一時的には経済が悪化するが、その後の経済効率はむしろ良くなる。世の中の膿は早く除いた方が、早く治る。しかし、政府や中央銀行は、救済の道を選んだ。「責任」は誰も追求されていない。この「救済」が、その後、世界中に超低金利と異常な量的緩和(債券買い取りによる金融機関への現金供給)を生み出して来た。中央銀行は直接政府から国債を買い取ることは、建前上出来ないが、金融機関を通してであれば、法的には許される。しかし、実態は直接買い取った場合と同じである。米国中央銀行前議長のアラン・グリーンスパンは、いずれ中央銀行は買い取った債券を再び金融機関に売るからとして、政府国債の直接買い取りではない、と述べていた。だが、10年経った現在も、いまだにこれは実行されておらず、中央銀行は、買い取った債券を保有したままである。米国は多少売ろうとしたが、結局は、先の10月から再び買い取る方向に舵を転じた。日本の中央銀行である日本銀行などは、買い取った国債を売ることなど決して出来ない。仮に売れば、高値で買い取っているため、日本銀行は確実に損失を出し、それだけでなく、国債の利回り(金利)は上昇せざるを得ず、金利上昇の引き金を引くことになり、債務者を直撃する。真っ先に困るのは政府である。ともかく、遅まきではあれ、人口問題に真剣に取り組まなければ、先進国の債務は増大して行くばかりだ。そして、金利が永遠にマイナスやゼロであることなどないのだ。経済成長がなく、債務だけが増え続ける国の通貨は、いずれ信認を失う。通貨=国債でもある。