釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

Banana Republicバナナ共和国

2019-11-26 19:10:13 | 社会
今朝は久しぶりの雲一つ見えない青空となったが、放射冷却で朝の気温は1度であった。車のウィンドウガラスには霜が張り付いていた。日中は風もなく、日射しの中に立つと、とても気持ちが良かった。どこの紅葉の名所も、今年は雨風で葉が早々と落ちて、良い紅葉が見られなかったが、ここ釜石でも同様だ。市街地周辺でいつも見られる綺麗な紅葉が今年は見られない。それでも岩手県では最後になる八幡神社の紅葉の大樹はこれからが見頃を迎える。 米国では昨夜も三つの主要株式指数が史上最高値を更新した。メディアでは貿易戦争への楽観視によると解説されている。企業収益は落ち込んで来ており、株価の実態との解離がさらに拡大した。断崖絶壁を目指してなお突き進んでいるようだ。リーマン・ショック後の2013年に、当時のオバマ大統領は、オバマケア(新医療保険制度)をめぐる与野党対立から、17年ぶりの政府機関の一部閉鎖となった際に、「This is the United States of America — we’re not some banana republic(ここはアメリカ合衆国。バナナ・リパブリックではないはずだ)」と、遊説先で訴えた。「banana republic」バナナ共和国とは。20世紀初めに米国の農業資本がバナナのプランテーション栽培を中米のホンジュラスで展開し、バナナ栽培が広がった中米各国は米企業や米政府の大きな介入を受け、国内には貧困と腐敗、犯罪が蔓延したことから、貧困と腐敗、犯罪が広がる第三国への蔑称として使われるようになった言葉だ。ドイツのベルリンに本部を置く、政府・政治家・公務員などの公的分野の腐敗や汚職に取り組む国際組織であるトランスペアレンシー・インターナショナルTransparency Internationalは毎年、腐敗度を10~11機関が調査した12~13種類の調査報告に基づいて腐敗認識指数Corruption Perceptions Index(CPI)を公表している。昨年度、日本は18位で、先進国とは言えない状況であるが、米国はさらに低い22位である。ドイツは11位だ。米国には政治に関与し、大きな影響を与える組織が二つある。軍産複合体とウォール街である。前者は戦争、後者は経済である。後者の筆頭格である巨大投資銀行ゴールドマン・サックスは、2006年にブッシュ・ジュニア政権の財務長官にゴールドマンの会長であったヘンリー・ポールソンを送り込んだ。2008年のリーマン・ショックでは、そのポールソンがゴールドマンと巨額取引を行っていたAIGを救済し、財務省が行った不良資産救済プログラムTARPの責任者にニール・カシュカリをゴールドマンから出した。カシュカリは、現在、中央銀行FRBの傘下であるミネアポリス連邦準備銀行総裁である。彼はFRBの「非伝統的」金融緩和に大きく貢献している。ゴールドマンからは他にも国家経済会議議長やニューヨーク連邦準備銀行総裁を務めたスティーブ・フリードマン、同じくニューヨーク連邦準備銀行で要職を務めたウィリアム・ダドリー、行政管理予算局局長・大統領首席補佐官を務めたジョシュワ・ボルテンなども送り込んでいる。米国中央銀行は100%民間であり、要職は巨大投資銀行が抑えている。リーマン・ショック後、巨大投資銀行を救済する方法が「非伝統的」金融緩和であった。直接の救済だけでなく、その後の資産価格の上昇・拡大で、巨大な利益を上げて来た。その一方で、「非伝統的」金融緩和は、米国に史上稀にしか見られない格差を生み出した。10%の富裕層が富の70%を保有し、株式および投資信託の全所有権の93%以上を直接所有している。一方で、底辺90%が債務の72.4%を負っている。これだけ富の格差が拡大したのは歴史上、フランス革命前と1929年の世界大恐慌前の2度しかない。米国では4300万人もが毎日の食事に窮し、政府支給のフードスタンプに頼っており、数百万人が下水道設備のない、不潔な環境での生活を強いられている。ホームレスは各都市で増え続け、その正確な数すら把握されていない。「The United States Is Now A Banana Republic(アメリカ合衆国は今やバナナ共和国だ)」。フランス革命ではトップ10%がギロチンにかけられた。世界大恐慌では、第二次大戦が勃発した。米国で次には何が生まれるか。
八幡神社前の大樹