釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

経済協力開発機構OECDの警告

2019-11-25 19:18:23 | 社会
21日の米国経済紙ブルームバーグBloombergに「The World May Have a Bigger Problem Than a Potential Recession(世界には潜在的な景気後退よりも大きい問題があるかも知れない)」と題する記事を載せた。この日、経済協力開発機構OECDが、「世界経済見通しで、各国政府が政策や投資方法を改革しない限り、世界経済は改善されないと警告した」ことを伝えている。OECDの報告では、「「最大の懸念は…景気循環ショックよりも対処されていない構造変化を反映して、見通しの悪化が衰えずに続くことだ」、 「これらの変化を金融および財政政策で対処できる一時的な要因とみなすのは政策的な誤りとなるだろう。それらは構造的だ。」と述べられている。また、不透明な現在の貿易戦争については、「世界秩序の大きなシフトの一環」であると捉えられている。主要先進国は、軒並み経済成長率やインフレ率が低下しており、2008年以後、世界経済を牽引して来た中国も、経済減速が目に見えて来た。2008年後、先進国は財政政策と金融政策を極端なまでに発動して来たが、その効果は限定的であるばかりでなく、資産バブルと言う副作用が大きくなっている。不動産開発で国内経済を活性化することで、世界経済を牽引して来た中国では、今、不動産開発にブレーキがかかり、開発企業とそれへの融資金融機関に債務問題が大きく頭をもたげて来ている。まるで、1990年代初頭の日本と同じ状況になって来ている。日本の経済産業省によると、中国のGDPに占める個人消費は40%であり、米国の70%、日本の60%とは隔たりがある。投資が個人消費よりも大きく、2008年以後の中国の経済拡大は、まさにこの不動産開発と言う投資でもたらされた。今、その投資が減速している。EUを牽引して来たドイツも、先週の中央銀行の金融安定性報告書によると、利回りの乏しい銀行は「比較的リスクの高いビジネス」および不動産セクターへの融資を拡大し、その不動産も中央銀行の評価では、多くの都市の住宅価格を15%から30%過大評価している。このため、報告書では、「ドイツでは金融の安定性に対するリスクが高まり続けている」と警告している。ドイツの中央銀行総裁は、「低金利は金融安定性リスクをもたらす」と以前、述べていた。ドイツは輸出主導型経済であり、世界貿易の鈍化により、過去5四半期でほとんど成長が止まっており、状況がさらに悪化すると、「企業および家計の債務の持続可能性の悪化」を引き起こし、ひいては連鎖的なローンのデフォルトおよび信用評価損につながる可能性がある。ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行は、すでに多額の損失を出しており、株式価値は90%以上を失い、多くの犯罪捜査をも受けている。また、2番目に大きなコメルツ銀行は、2008年の金融危機で救済を受け、一部は国有化されているが、やはり株式価値は98%以上急落している。OECDは、「当局の対応が目先の財政・金融政策にとどまる限り、世界経済は今後数十年にわたって停滞する」と見ている。日本は1990年代から長期停滞が続いており、2014年からマイナス金利を導入した欧州連合EUが日本に続いて低迷状態に入り、現在、米国、中国がまさに後を追って「日本化」に入り込もうとしている。「日本化」とは、高齢化と人口減少、産業構造の問題により、財政政策も金融政策も効力を発揮出来ず、経済の低迷から脱することが出来ない状態を言う。中国は数年前から内需主導型経済へのシフトに取り組んではいるが、経済規模が大きいために、逆に、その進みが遅い。瀕死のドイツの巨大銀行も、次の金融危機にはとても耐えられない。EUを牽引して来たドイツが、この状態のため、次に金融危機が到来すれば、EUの存続すら危うくなる。「Everything Bubble」状態の米国もまた、次の金融危機では、基軸通貨ドルの地位が急落するだろう。今後、一層、人口減少・高齢化が加速する日本は、次の金融危機で、さらに凋落が進むのは間違いないだろう。年金や医療・福祉も大きく削減せざるを得なくなる。実質的な財政破綻を迎えることになる。
八幡神社前の大樹