釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

繰り返される金融緩和

2019-11-09 19:12:39 | 経済
中央銀行による金融政策は、宗教のようなものだと言う人がいる。「信じる」かどうかなのだ。世界人口の99.9%は中央銀行のある国に住む。中央銀行を持たない国は9つの小国だけである。しかし、主要国の中央銀行の多くは民間企業であることをほとんどの人が知らない。米国は100%民間であり、日本は50%が民間である。日本銀行は株式会社である。しかも、その民間の名前は伏されている。民間である限り「利益」が無視されることはない。つまり、中央銀行の金融政策はあくまでも運営主体である「民間」の利益が配慮されている。中央銀行が行う金融緩和とは債務増大である。金利を付けた貸し付けでしかない。日本のバブル崩壊を含めた過去の世界のバブル崩壊や金融危機のたびに中央銀行は金融緩和を行って来た。従って、その度に債務は積み上がって来ているのだ。2008年のリーマン・ショックでは、「大き過ぎて潰せない」とした金融機関には中央銀行FRBの大株主が含まれていた。しかも、FRBの「非伝統的」金融緩和により、債務額はさらに急増した。FRBに従った日本とEU、中国を合わせて20兆ドルの通貨が発行されたが、それらは全て債務になっているだけである。日本の通常の通貨発行量は100兆円規模であるが、日本銀行の「異次元」の金融緩和で480兆円規模の通貨が債務の形で発行された。世界の大手民間金融機関が参加し構成している国際機関,国際金融協会IIFとは数値が異なるが、世界銀行のCEO(最高経営責任者)から最近、国際通貨基金IMFの専務理事に就任したクリスタリナ・ゲオルギエヴァKristalina Georgieva氏は、「Global debt — both public and private — has reached an all-time high of $188 trillion. This amounts to about 230 percent of world output(公的および私的両方の世界的な債務は、過去最高の188兆ドルに達した。これは、世界の生産高の約230%に相当する)」と警告している。バブル崩壊や金融危機は、マネー、通貨量の急激な減少であるが、それを中央銀行が債務の形で通貨を大量発行することで、繕って来た。いかなる債務も所得や収益を超えるスピードで増加すれば、どこかで債務不履行にならざるを得なくなる。政府の場合は、体面上、債務不履行より、インフレや新通貨発行で切り抜けようとする。この秋からの欧州連合中央銀行ECBや米国中央銀行FRBの「金融緩和」再開は、ただ債務不履行時期を先延ばししているに過ぎない(日本銀行の金融緩和は規模を縮小してはいるが、継続されている)。しかし、それをやればやるほど、債務はさらに増えて行くだけであり、破綻時の規模を一層大きくするだけである。債務によって政府や企業を助ける方法は、政府や企業の規律を歪め、社会の効率を悪化させるだけである。しかも、それだけではなく、社会に格差を拡大させる原因にもなっている。病は常に早期治療が最良であるように、社会も早期に治療する必要がある。先送りはますます重症化するだけだ。とは言え、すでに重症化しており、困難な治療を要することになる。
いずれ落ちてしまうだろう