釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

底なしの深淵が現れはじめた

2013-05-16 19:16:08 | 社会
朝起きがけには愛染山の山頂に流れるような雲がかかっているだけで、他は最近の霞空の状態だった。それが出勤時は近辺の山々の50m以上の高さでは霧が流れるようになっていた。家から海岸付近にある職場に近づくに従って、空は雲に覆われるようになって来た。これが山背だろう。昼にはその山背も消えていた。しかし、午後には小雨が降った。霞のかかった比較的雲の高い曇天の中、昼休みに職場近辺を見てみると、甲子川沿いでもう浜茄子が咲いていた。個人の庭先では蛍袋や石南花も咲いている。甲子川でもオオヨシキリが鳴くようになった。職場の建物の周辺の山からは相変わらずウグイスの声が聞こえて来る。 今年3月20日、任期に満たず退任した白川方明氏に替わって財務省出身の黒田東彦氏が日本銀行総裁に就任するや、「アベノミックス」を遂行するために量的緩和策を即時に実行した。そのため、円安が進み、株価も上昇した。メディアはこぞって「アベノミックス」の成功を匂わす記事を載せた。自動車の輸出も増加したと報じられた。それらだけを見せられると、報道通り、「アベノミックス」が功を奏している、と受け取る人が多いだろう。しかし、日本のメディアは要注意だ。何を報道して、何を報道していないか、に常に注意しておかなければならない。日本のメディアは政府の嫌う記事は書かない。財務省のホームページには「国債金利情報」が公開されている。今日現在は昨日までの5月の国債金利が日を追って掲載されている。5月10日前後を境にすべての国債の金利が上昇し始めた。5月1日の金利は5年物が0.235、10年物が0.591、20年物が1.468、30年物が1.611であった。これらは昨日15日にはそれぞれ0.431、0.868、1.655、1.787へと上昇して来ている。日本の国債の購入者の9割は国内だ。国内銀行などはこれまで安定した購入者として国の指導に従って来た。しかし、わずか1割であっても外国投資家は国の思惑通りには動いてくれない。むしろ、外国投資家たちは日本銀行の巨大な金融緩和による国債の暴落を恐れている。日本銀行が円の発行を年間15兆円から70兆円まで一気に拡大し、その円で日本国債の買い支えを行なった。買い手がいるわけだから本来ならば国債の金利は下がるか、安定しているはずである。それが上昇に転じている。これは買い手がいないため金利という利得を上げることで買い手が付くようになるという国債の仕組みからすれば、日本の国債の価値が下がっていることを意味する。ギリシャの財政危機なども国債金利の上昇がその端緒になっている。アベノミックスはインフレ目標を2%としたが、仮に、それが達成されると、国債金利は3%に上昇すると言われる。そうなると、政府の財政収入の8割は国債の利払いに回さなければならなくなる。もうこれだけで財政破綻は免れなくなって来る。ほとんどのメディアは株価の上昇を報じても国債金利の上昇については触れない。これは途方も無い深淵を覗き込むことになる。それを見たくないためなのか。今日のある大手紙は『米財務省、対デフォルト非常措置を発動へ』という見出しで米国の国債の債務不履行(デフォルト)に陥る恐れについて報じている。他国の国債問題には触れても膝元の国債の抱える問題には目をつむっている。
この家の石南花はとてもきれいな色合いの花だ