釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

低所得者の生活が厳しくなって来ている

2012-08-23 19:18:14 | 文化
暑い日が続く。西の空には積乱雲が立ち上る夏空だ。職場の裏山では日中ミンミンゼミが鳴く。セミの声が尚暑さを感じさせる。これから1週間の予報でも最高気温が30度を超える日が続いている。昨日は釜石より北になる内陸の盛岡や二戸で35度を超えたようだ。夏の花の百日紅の花があちこちで見られるようになった。芙蓉の花も今が真っ盛りだ。庭の紫陽花の木ではほとんどの花が終わりかけているが、まだこれから咲こうとしている2~3輪の花もある。日よけのない職場の駐車場に停めた車に昼休みに乗ろうとすると中の熱気が酷い。それでも四国や愛知県よりはいいが。 現在日本は長くデフレと景気の低迷状態に陥っているが、総務省統計局の消費者物価指数を良く見てみると二分化している。生活に必要な食料や光熱費関係の物価は上昇している。それら以外が大きく下がっているために全体としてはマイナスになっている。年収200万以下の世帯も増え続けている。1985年のプラザ合意で日本は円高になるのを恐れて、積極的な経済・金融政策をとったためにバブルを招くと言う失敗を犯した。それがトラウマとなって今のような中途半端な政策に留まっていることが円の高止まりに繋がっている。円高がおさまらないため多くの大企業が生産を海外へ移転しており、国内の工場が閉鎖され、人員が削減され続けている。シャープなどはいよいよ経営状態も悪化して来ているようだ。年収が下がる一方で、生活に密着したものの物価が上がっている。地方の生活には欠かせない車の燃料も下がって来ない。所得の低い世帯ほど生活はますます厳しくなっている。背景には世界的な新興国の食料や燃料の大きな需要増があることは確かだ。日本は食料も燃料も輸入に頼る構造になっているので、世界的な食料や燃料の高騰の影響を受けやすく、それはまともに低所得者を直撃する。米国は景気の低下を避けるため市中にドルを流し続けている。中国も元が高くなることを避けるため、ドル買いを大量に行っており、買われたドルを補うためにもさらに米国はドルを供給し続けている。米国も中国も自国通貨を安く誘導するために積極的だ。日本の円だけが中途半端な政策のためにいつまでも高止まりから抜け出せないでいる。その間に競争力を維持しなければならない企業は生産拠点を海外へ移転させて行く。経済成長を導き、一刻も早くデフレから脱却しなければならない時に、消費税の増税などという景気にさらにブレーキをかけるような政策にこだわってしまった。中国にはすでに自動車会社が500社もあり、家電では韓国にも追い抜かれて来ている。これまで日本が頼みとしていた自動車や家電はアジアの国々にいずれ世界の需要を奪われて行くだろう。自動車や家電以外のあらたな成長産業を生み出して行かなければならない。どう見ても今の政府にはそうした新産業育成の姿勢は感じられない。既得権に守られた企業の保護だけに汲々としているとしか思えない。こうした状態が尚続いて行けば、低所得者たちの生活はますます厳しくなって行くだろう。経済成長がなく、景気の悪化から脱することが出来なければ国の税収は落ち込んで行くだけであり、社会保障はますます削られて行くだろう。TTPは小泉政権以来急速に押し進められて来た市場原理主義のだめ押しであり、小さな政府と内外の企業のやりたい放題を許す制度であり、経済的な強者と弱者の格差をますます広げて行くだろう。1億総中流と言われた日本は過去のものとなって来ている。
立ち上る夏の雲