先週、大連市に送ったマスクが昨日、無事届けられたと連絡があった。中国でも、日本でも、米国でもマスクが不足している。実際には、ウイルス感染には効果がなくとも、それを知らなかったり、藁をも掴む思いで、マスクに頼っているのだろう。今日も釜石の家の近所の方がマスクをして、「本当に今のウイルスは怖いですよね」と声をかけられた。敢えて、「そうですね」と簡単に答えて、通り過ぎた。メディアが毎日、新型コロナウイルスの広がりを伝えていれば、釜石のような、地元の人自体が「陸の孤島」と呼ぶような地域ですら、今にも感染するかも知れない、と言う気持ちにさせてしまうのだろう。1月20日〜26日の1週間でさえ、岩手県では1218人のインフルエンザ感染者が報告されている。無論、新型コロナウイルス感染はゼロだ。交通機関が制限され、食料も思うように手に入らない、今の中国の様子を見ていると、つい、震災当時を思い出す。暖房が途絶えると、建物の中でさえ、とても寒く、十分な食糧がないために、なお、寒さが厳しく感じられた。そんな時に、高速道が不通のために、一般道を何時間もかけて東京から食料を運んでくれた人たちがいた。個人で出来る支援を申し出てくれる人たちがいた。日本のメディアではあまり報じられていない時、世界で最も古く、フランスでは最大の通信社AFPは2日に、「日本からの支援物資に書かれた8字、中国で感動呼ぶ」と題する記事を載せている。中国語の検定試験などを行っている日本のHSKの日本事務局が、湖北省武漢市に支援物資として、マスク2万枚と赤外線体温計などを贈った。しかも、段ボール箱に貼られた送り状の最下段に「山川異域 風月同天(別の場所に暮らしていても、自然の風物は変わらない)」なる漢詩が添えられていた。これが、日本のTwitterとFacebookを合わせたような、中国では著名な、新浪微博(ウェイボー、Weibo)で多くの人たちから「絶賛を浴びた」と言う。奈良の唐招提寺は、唐のの高僧鑑真が建立したとされ、鑑真像が祀られてもいる。その鑑真について書かれた伝記「唐大和上東征伝」に、日本の長屋王が、中国に1000枚の僧侶の衣服である袈裟(けさ)を贈ったことが書かれており、その袈裟には「「山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁(国は異なるが天は同じ。袈裟を僧侶に寄進し縁を結ぼう)」と言う文字が刺繍されていた。鑑真はこの漢詩に心を打たれて、日本へ行くことを決心した。AFPには、「2月1日午前11時現在、新浪微博には31万5000の「いいね」と7000件を超えるコメントが付けられている。」とある。「新型コロナウイルスの感染による肺炎の影響で、現在中国の多くの地域でマスクや体温計、防護服など医療物資が不足している。日本の各界から支援物資が贈られていることに、中国のネットユーザーからは「雪中に炭を送ってくれた」と称賛のコメントが寄せられており、日本の温かい支援に感動するユーザーが多く、日本への友好の気持ちを伝えるものも多い。」。子供の頃の唯一の贅沢は、映画を見ることであった。父親にねだっては、休日に映画館へ連れて行ってもらった。以来、映画が好きで、中学、高校では、定期試験が終わった日は、必ず映画館へ駆け込んだ。レンタルビデオの時代には、そのレンタルで。現在は、ネットを通じてパソコンで映画を見る。欧米の映画もたくさん見て来たが、釜石へ来てからは、アジアの映画を見ることも多くなった。これまで、本当にたくさんの映画を見たが、映画を見る限り、人間は人種や国を超えて、変わらない。何人であろうと、喜び、悲しみは同じであり、情愛も変わらない。まして、困窮時に差し出された手には、誰もが心打たれる。


今日は少しだけ雪が積もった