人形と動物の文学論

人形表象による内面表現を切り口に、新しい文学論の構築を目指す。研究と日常、わんことの生活、そしてブックレビュー。

本が出ます:『恋愛しない私でも『源氏物語』は楽しめますか』(春秋社、2024年9月3日)

2024-08-06 12:56:56 | 研究・発表・イベント等情報
1年ほど前からずっと書いていた一般向けの本が、無事校了しました。発売は9月3日の予定です。
版元ドットコムではすでに注文できるようになっています。
まあ、タイトルのとおりなのですが、恋愛しない人でも『源氏物語』って楽しいし、恋愛だけの物語じゃないよ、という本です。


装画はカシワイさん、装幀は高木達樹さんです。

前にも一度『源氏物語』の新書(『『源氏物語』女三の宮の〈内面〉』新典社、2017年)は出しているのですが、前の本は博論の一部を切り出して分かりやすく書き改めるかたちで出したので、基本的には大学院の中でいた頃に考えていたことが元になっています。
今回の本は、その後、大学院を出て、仕事が何だかうまく飲み込めなかったり、私の研究は実存とか自分の生きづらさとかが原動力になっているので、研究を仕事にすることに抵抗があったり、というような苦しさが元になっています。仕事って何だろう、プライヴェートって何だろう、という部分が、恋愛がよく分からないとマジョリティがプライヴェートだと思っているものがよく分からず、一方で研究は自分の実存につながっているので・・・。そういった息苦しさを、近代とは異なる世界の物語を読むことでどうにかできないかな、というコンセプトの本です。
一見、細かい言葉の問題に突っ込んでいるように見える部分がありますが、単なる言葉の問題ではなく、言葉は、私たちがどういう風に世界を腑分けしているのかという認識を形作っていくものです。ちょっと難しいな、と思う部分があるかもしれませんが、前半の『逃げ恥』とか『恋せぬふたり』とか『ダルちゃん』について書いている部分を導きとして、読んでいただけると良いな、と思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。