ぽぉぽぉたんのお部屋

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「バクラウ」

2021-04-12 | 映画のお話


久々に面白い映画を観た・・・ブラジル映画だ。
ブラジルの新鋭クレベール・メンドンサ・フィリオ監督
私にはブラジルの映画ははじめてかもしれない。
有名な作品で活躍していた俳優や女優もいるようだが、ブラジル人の俳優がほとんどのようだ。

舞台はブラジル、ペルナンブコ州西部にある村「バクラウ」
「バクラウ」は夜行性の鳥の名前、「よたか」のようだが、この辺りも意味深だ。

白人もアフリカ系黒人も老人も若者も子供たちも、娼婦も普通に暮らしている
歌いながらの葬列のシーンは実際の村人かと見まがうほどだ。
葬式の後で蛇がくねるような男女の踊り、「カポエイラ」を踊るシーンが印象的だ。

冒頭で「今から数年後……」と示されたのがずっと不可解なまま観すすめる。
今はいつなのか・・・
何もない村なのかと思いきやスマホなど文明の機器はそろっているようだが違和感がのこる。

土地は乾いていて、畑も水も無いようすだ。
隔離された村はブラジルの歴史の象徴なのだろうか。
棺桶もそのひとつだ。

祖母の死で村に帰る若い娘が乗せてもらっているトラックは村に貴重な水を運んでいる。
何度も何かを引きこわしながら進むトラック。その先で見た事故の様子あたりからどうも不穏だった。

突然、村はインターネットの地図上から姿を消す。
上空には宇宙船のような飛行物体が現れ人々を惑わす。
村に貴重な水を運ぶ給水車のタンクに銃弾が撃ち込まれ、村外れの牧場では住人たちが血まみれの死体となって発見される。
地図から消えた村をよそ者の男女のバイカーが訪れるがどうも怪しい。
村人は博物館を勧めるが見向きもしない。

以前「グリーン・ライ エコの嘘」という映画を観た時、パームヤシの闇と共に
私の知らなかったいろいろなことが炙りだされた。
その時、ブラジルの村が消えていることを知った。
先住民たちが殺され、彼らの土地が奪われ、いくつもの村がなくなっているという事実だ。

だから、この作品はそんな話で、かなり暗く、つらいのではないかと覚悟はしていたのだ。
作品は重苦しく不穏な展開のまま進み、私の不安は的中したと思った。

村人が殺され、
電波がはいらなくなり、スマホもネットも使えない。
遊んでいた子供が殺され、ついに電気が消えた。
いったい彼らがどうなるのだろう。何か策があるのか?

それからの予想だにしなかった展開。
だんだんと不敵な笑い声がもれてしまった。
ふふふ、首切り族だったのね。と、ほくそ笑んだ。
痛快だった。
やられてなんかいない
前からこうやって生き延びてきたのだ、この村人たちはと知った。

音楽がいい。
胸が高鳴る。

人を殺したくて仕方がない連中はアメリカからやってきた。
二人の男女のブラジル人は南部の富裕層の人種だから自分たちを彼らと同じブラジル人とは思っていない。
仲間割れこそするが、彼らがブラジル人、原住民を馬鹿にする様子もあからさまだ。
撃ちたくてうずうずしている連中、
ストレス解消とばかりに普通に暮らしている村人を殺しに来たのだ

殺し屋のウド・キアが魅力的だったけど・・・
1944生まれだから70代半ばかしら
結構素敵だったけど、最後はちょっとカッコ悪すぎてがっかりしてしまった。

コロナもこんな風にぶっとばしてやりたいなあ

馬鹿みたいに能天気そうな市長が一番の極悪人だったとはね。

オバマ元アメリカ大統領の2020年ベスト映像作品リストに『バクラウ』が挙がっていたという。
彼のご先祖はアフリカだもの。不思議ではないのかもしれないけど・・・

多様なブラジルの現実を内に秘めた作品だが痛快で晴れ晴れした気分だった。
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