「余目ねぎ-あまるめねぎ」
【生産地】宮城県仙台市、大崎市
【形状】土のかかった部分は白く、軟白の中ほどから大きく曲がる。
【食味】軟白部は軟らかく、甘味をもつ。
【来歴】明治42年(1909)に、余目の住人の永野一氏がネギの優良品穐の導入と育成、さらに軟白技術の改良を試みている過程で、「立ちネギ」を横倒しにしてネギの上から上をかける「やとい」という技術によって、「曲がりネギ」をつくり出した。「やとい」によって土のかかった部分は白くなる。仙台市岩切の余目地区が発祥の地で、余目で栽培している曲がりネギは「余目(よめ)ねぎ」ともいわれる。
横倒しにして栽培するため、本来は真直ぐに立ちあがろうとする性質があるので、軟白の中ほどから大きく曲がる。このような栽培方法により「曲がりネギ」が誕生した。湾曲した軟自部分の外側にしわができるのが余目ねぎの特徴でもある。余目地区は仙台北部の七北田川流域に位置し、古くからの野菜の産地である。しかし、周辺が水田で地下水位が高く、立ちネギ栽培を行う軟白ネギの栽培が難しかったことから、横倒しの栽培という方法によって「曲がりネギ」が誕生した。
【収穫時期】秋~冬に収穫。4月に直立に仮植を行い、8月の定植までに生体の生長を完成させておく。あまり高くない畝をつくり、水平に近い角度にネギを寝かせて植え、上をかける作業をし、秋から冬にかけて収穫する。
*https://tradveggie.or.jp/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e4%bc%9d%e7%b5%b1%e9%87%8e%e8%8f%9c%ef%bc%8d%e5%ae%ae%e5%9f%8e/#i-9 より
仙台のねぎといえば「曲がりねぎ」。一般的なまっすぐの「一本立ねぎ」とは違く、大きく曲がった形が特長です。辛味が強く、香りが良い曲がりねぎは加熱・料理すると甘みとコクがまし、柔らかくさらにおいしくなります。
ねぎ作りには適さなかった土壌
曲がりねぎの発祥は明治時代の岩切の余目地区に遡ります。岩切は七北田川の流域に位置していることから、土質は砂壌土。野菜の作付に適しており、古くから仙台地域を代表する野菜の供給地域として有名でした。
しかし、この地域は地下水が地上近くにあるため、水はけが悪く土の湿度が高い特徴があり、一般的な「一本立ちねぎ」の生産には適していませんでした。
湿害を克服した知恵と努力
このような土壌環境を克服したのが「やとい」という栽培技術です。明治の末、仙台岩切の余目地区に住む永野一氏によって考案された「やとい」は、ある程度育ったねぎを一度抜き取り、30度の傾斜を付けた土の上に寝かせ土をかけるという栽培方法です。数か月すると土を被った部分は白くなり、寝ていたねぎは自分の体を太陽に向けて起き上がろうとし、曲がって成長していきます。このときに受けるストレスにより、白い部分が多く、そして太いものになると3センチほどの太さの肉厚なネギに育ちます。
みやぎのココがプレミアム
明治時代から八十余年引き継がれる伝統野菜
すべてを手作業で行う手間ひまかかる生産
強い香りと、口に入れたときのやわらかでとろけるような舌触り、甘み、深いコク
生産者の紹介
先人の技を継承
曲がりねぎ生産者
佐藤 俊郎さん
仙台市岩切で農業を営む佐藤俊郎さんは伝統野菜「仙台曲がりねぎ」の継承者の一人です。代々伝わる「仙台曲がりねぎ」栽培の技を引き継ぎ播種、定植、土寄せやとい、収穫、調整作業をすべて手作業で行い昔ながらの技を継承されております。
あえて手間をかけて育てています
「あえて手間をかけている。今販売されている品種はあらゆる病気に強く、作りやすいが、仙台曲がりねぎのような柔らかさ、甘さ、姿の美しさはだせない」と語る佐藤さん。 現在では沢山ある選択肢のなかから伝統野菜を選びこだわって育て続けています。
岩切の自然があってこその「仙台曲がりねぎ」
また、栽培技術や手間だけでは、この美味しさはだせないとも教えてくれました。「仙台曲がりねぎ発祥の歴史が語るように、この岩切の地域土壌(土質、気候など)という独特のものがあってこそ「仙台まがりねぎ」を作りだせるものなのです」
地域風土に根ざした生産
曲がりねぎの生産は、この岩切の風土として様々な役割を果たしているそうです。 「収穫したねぎは家族のみならず、近隣の住人も加わり皮むきなどの調整作業を行うのが地域の習慣です。お茶やお菓子を持ちより小休止。地域婦人の大切な交流の場ですね」これも昔から継承してきた地域風土でとのことでした。 さらに佐藤さんは次の世代にも地域風土を継承していきたいと、非常勤教員として地元小学生へ曲がりねぎの生産体験の授業も食育の一環として受け持っています。
*https://premiya.pref.miyagi.jp/lineup/01/index.html より