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いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

< 郷土料理 > 石川 えびす / べろべろ

2025-06-03 08:27:45 | 郷土料理

 「えびす / べろべろ」

 主な伝承地域 県内全域

 主な使用食材 寒天、卵

 歴史・由来・関連行事
 「えびす」は、とき卵の寒天寄せ。祭りや祝いごとに欠かせない行事食である。江戸時代の料理書「江戸料理通」や「料理百珍」に記される「たまご寒天」にルーツがあるとされている。当時、貴重品だった卵と砂糖をごちそうに仕立てたものである。おせち料理の定番品目で数の子や紅白かまぼことともに一の重におさめられた。
 地域によってさまざまな呼び名があるのも特徴。つるつるした見た目から「べろべろ」とも呼ばれる。また、「はやべし」とも呼ばれ、その呼称は輪島市の郷土菓子「柚餅子」(ゆべし)に由来があるとされる。「柚餅子」は、柚子の果肉ともち米粉を練って蒸しあげるが、「えびす」は寒天と卵だけで簡単につくることができる。このことから「早ゆべし」となり、転じて「はやべし」と呼ばれるようになったといわれている。
 旧加賀藩が置かれた富山県には「べっこう」の名で伝わっている。金沢や能登では砂糖と醤油が味付けのベースになるため、べっこう色の見た目をしている。小松、加賀地区では砂糖と塩で味付けするため、白っぽい見た目になる。
 甘じょっぱい味であるため、地元民の間では「おかずかお菓子かわからない」という声も挙がる。

 食習の機会や時季
 冠婚葬祭やお正月などのハレの日に食べられ、卵で描く友禅流しのようにつくる。昔は、砂糖をたっぷり入れた「えびす」を子どものおやつにする家庭も多かった。
 シンプルな料理だけに、家庭ごとに仕上がりや味に個性が現れる。箸をはじくような弾力のものから、箸でつまむとちぎれてしまうような柔らかいものまで、幅広い。しょうが汁を加えるケースもある。

 飲食方法
 煮溶かした寒天に、とき卵と砂糖、醤油を入れて固められている。四角や三角など一口大にして切って提供される。
 卵のとき加減や流しこみ方によって切ったときの断面の美しさも変化する。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 スーパーマーケットなどで通年販売されている。近年は甘さひかえめに調味され、総菜として提供されることが多い。いまでも祭りや正月には欠かせないものとして家庭でもつくられている。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ebisu_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 いしる鍋

2025-06-02 08:12:26 | 郷土料理

 「いしる鍋」

 主な伝承地域 能登地域

 主な使用食材 いしる、各種魚介、各種野菜など

 歴史・由来・関連行事
 「いしる」とは、能登地方に伝わる魚醤のこと。「魚汁(うおしる)」が訛ったものとされ「いしり」や「よしる」とも呼ぶ地域もある。定説はないが、少なくとも1700年代にはつくられていたとされる。また、一説によると、発祥は弥生期、古墳期にさかのぼるともいわれる。
 いしるは、スルメイカの内臓をおもな原料にするほか、地域によってはマイワシやウルメイワシ、サバ、アジなどが使われる。自然塩を加え、塩漬けにしたあと、数年ほど発酵・熟成させていく。どの地域も地元の魚醤が一番だと言い張るほど、個性が現れる調味料である。ひと昔前の流通網が行き届いていない時代、山村地域では入手しにくい魚の代わりにその旨味を加えるため、いしるを求め、米と交換したという。
 独特のクセとにおいが特徴で、魚介による旨味が溶けこんでいる。刺身や一夜干し、煮物など用途は多彩。旬の魚介と野菜を煮た「いしる鍋」や「いしるの貝焼き」は地元の冬の定番である。大根やなす、かぶをいしるに漬けこんだ「べん漬け」も有名な郷土料理である。
 秋田県の「しょっつる」、香川県の「いかなご醤油」と並ぶ「日本三大魚醤」の一つである。

 食習の機会や時季
 現在でも、各地の事業者がいしるを生産。ビンやペットボトル容器などで供給され、スーパーマーケットなどで気軽に購入できる。「いしる鍋」は調理にそれほど手間がかからないため、現在でも冬の鍋メニューの選択肢の一つになっている。

 飲食方法
 旬の魚介や野菜などを出汁といしるとともに鍋で煮て食べる。旨味のあるいしるは水と割って煮こむだけでも美味である。昆布出汁にすると、さらに美味しい。
 ホタテ貝を鍋代わりにする「ホタテの貝焼き」も広く知られている。これは北海道と大阪を結ぶ商船群・北前船によってもたらされた食べ方とされている。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 大豆でつくる現在の醤油が普及するにつれて、いしるの消費量は減少傾向にある。また、生産者の高齢化も問題になっている。そういった経緯から、地元生産者や商工会などが「能登のいしり・いしる生産者協議会」を設立。いしるの歴史やいしるを使ったレシピなどを発信している。そのほか、地元飲食店がいしるを使った新たなメニューを開発する動きも起こっている。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ishirunabe_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 ひねずし

2025-06-01 06:06:09 | 郷土料理

 「ひねずし」

 主な伝承地域 能登地域

 主な使用食材 魚介(アジ、サバなど)、米、赤唐辛子、山椒の葉など

 歴史・由来・関連行事
 「ひねずし」は、塩漬けした魚を米とともに漬け込み熟成させた発酵食品。輪島市、穴水町、能登町といった奥能登の地域が主な産地になっている。奥能登地方の山村地域は古くから穀倉地帯になっており、「ひねずし」に必要な米が栽培されていた。さらに地域を流れる河川からは、アユやウグイなどの川魚がとれる。交通インフラが行き届かない山村地域にとって、「ひねずし」は保存食としてだけでなく、貴重なたんぱく源でもあった。地域によっては、「すす」の名称で呼ばれる場合もある。
 いつごろから食べられてきたのかは定かではないが、江戸時代に編纂された「諸国献上物集」のなかに、その存在を伺い知る記述が見られる。当時は高価な品として、冠婚葬祭やお祭りのときに客に振る舞われていたとされる。塩漬けの具合と熟成期間によって旨味が変化し、その独特の味わいから、“すしの元祖”ともいわれている。
 近年は、昔ほど川魚がとれなくなってきており、保存食もつくる必要性もない。そのため、新鮮な海産魚を使った「ひねずし」が一般的である。アジやサバやハチメ(メバル)などの魚介が使われるが、アジやサバが最も主流である。

 食習の機会や時季
 お祝いごとのほか、夏祭り、秋祭りなどに食べられていた。春先にとって塩漬けにしておいたアジをごはん、山椒の葉、赤唐辛子などと専用のずんどう桶に詰めて、熟成させる。祭りの時期にあわせて、1、2か月ほど熟成させたら発酵も進み美味しく食べられる。
 いまでは家庭でつくる機会も減ってきているが、スーパーマーケットやお土産屋などで販売されている。

 飲食方法
 各家庭によってさまざまなつくり方が伝わっており、統一されていない。食べる直前の落としぶたを開ける瞬間まで、桶のなかを確認することはできない。また、発酵食品ということもあり、同じ人が漬けても塩加減や気候によって味が変わるという。
 熟成が進んだころに桶から取り出して、食べやすい大きさに切り、そのまま食べる。発酵食独特のにおいとクセがあるが、食べ馴れるとやみつきになる人も多い。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 スーパーマーケットの総菜売り場などで販売されるほか、伝統製法にならった味を提供する飲食店もある。
民宿でも提供しているところがある。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/hinezushi_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 大根ずし

2025-05-31 17:06:42 | 郷土料理

 「大根ずし」

 主な伝承地域 県内全域

 主な使用食材 大根、身欠ニシン、人参など

 歴史・由来・関連行事
 「かぶらずし」と並ぶ、加賀を代表する伝統的発酵食品。身欠ニシンと大根を、米と麹でつくる甘酒で漬けた発酵食品である。
 「大根ずし」が根づいた背景には、藩政期から交流のある北前船が大きく影響している。北前船は日本海を経由して、北海道から江戸、大阪へと米や魚を運ぶ商船群。航海途中の拠点だった能登には、全国各地の物品が多く運びこまれた。ニシンは特に供給量が多く、庶民でも調達しやすい魚介の一つだったのだ。
 港町には大量のニシンを保管する「にしん蔵」という倉庫がいたるところに点在していたという。身欠ニシンとは、水揚げしたニシンから内臓や卵巣(数の子)を取り去って干したもの。冬は「大根ずし」に使われるほか、四季を通して煮物などに使われていた。
 県内の広い範囲に渡って、定着している郷土料理である。漬け方には地域性があり、金沢市では拍子切りの大根に小切れのニシン、人参などを甘酒に漬けこむ。雪の多い地域では酸っぱくなりやすい甘酒ではなく、麹を使う。肉質が柔らかく甘みがある、加賀野菜の源助だいこんが良く合う。

 食習の機会や時季
 正月などのハレの日に提供される「かぶらずし」に対して、「大根ずし」は原料になる大根とニシンが手に入れやすいため、家庭でも日常的につくられる。

 飲食方法
 桶から取り出して、麹がついたまま食べる。粗雑な見た目から敬遠する人も少なくないが、大根と脂がのった魚の甘み、発酵による酸味が調和した味わいを好む人も多い。大根のシャキシャキとした食感も魅力の一つである。骨まで食べられるので、お酒の肴にも良く合う。
 源助だいこんが手にはいらないときは、青首大根も良く使われる。地域によっては輪切りの大根に塩サバや、サケを挟んで漬けるところもある。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 母から子へ、子から孫へ継承される家庭料理で、戦前は漬物と同じように多くの家庭で漬けられていた。昔ほどつくる家庭は減ったが、いまでも料理教室などでつくり方がレクチャーされる。販売するスーパーマーケットや惣菜店も多い。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/daikonzushi_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 かぶらずし

2025-05-30 08:40:36 | 郷土料理

 「かぶらずし」

 主な伝承地域 県内全域

 主な使用食材 かぶら(かぶ)、ブリ、人参、柚子皮など

 歴史・由来・関連行事
 塩漬けしたかぶらに塩漬けしたブリを挟んだ、石川県を代表する伝統的発酵食品。従来の酢飯を使うすしとは異なる、漬物に近い「なれずし」の一つである。
 起源については、諸説ある。金沢市金石町の漁師が豊漁祈願・安全祈願で正月の行事食として食べはじめたという説や前田藩主が湯治で訪れた地元の温泉宿で振る舞われたといった説が伝わっているが、定かではない。少なくとも江戸時代には食べられていたという。魚屋や八百屋が年末、得意先に通い帳の入れ替えとごあいさつのために手づくりの「かぶらずし」を手土産にしたことから広がった。
 ブリは能登地方を代表する食材の一つ。脂ののった寒ブリは刺身にしても煮ても焼いても美味しく食べられる。江戸時代、とれたての「御用ブリ」は、城下に出まわる前にまず藩主へ献上された。「ブリ一本、米一俵」といわれるほどの高級食材で、質素倹約を強いられていた庶民が口にすることは滅多になかったという。どうにかしてブリを食べるために、かぶらで挟んで食べたことが「かぶらずし」のはじまりという説もある。

 食習の機会や時季
 初冬、北陸地方には「ブリおこし」と呼ばれる雷が雷鳴を響かせる。ブリおこしが鳴り響くと、ブリの定置網漁が本番を迎える。石川県漁協では、この時期にとれる7kg以上のブリを「天然能登寒ぶり」としてブランディングを進めている。
 「コゾクラ」、「フクラギ」、「ガンド」と大きさによって名前を変えるブリは、古来より縁起物で、加賀藩から徳川将軍家にも贈答されていた。
 数あるブリ料理のなかでも、高級品とされるのが「かぶらずし」である。「かぶらずしがないと正月が始まらない」という地元民もいるほど定着しており、年の暮れが近づくとスーパーマーケットやデパートなどで売り出される。風味や口あたりはかぶらの種類や熟成加減、塩の加減によって千差万別。つくるのには、気温に左右され、経験と技術が求められるという。
 現在でもブリは高級食材のため、一般家庭ではニシンと大根で手軽につくれる「大根ずし」が浸透している。

 飲食方法
 ブリの塩漬けをかぶらの塩漬けで挟み、糀でつくった甘酒をのせて1週間から10日ほど漬け込んでつくられる。熟成が進んだものを、なにもつけずにそのまま食べる。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 正月が近づくと、地元の生産者やスーパーマーケットなどが販売をはじめる。また、クッキングスクールや体験教室で「かぶらずし」がつくられることも多い。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kaburazushi_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 押しずし

2025-05-29 07:31:04 | 郷土料理

 「押しずし」

 主な伝承地域 金沢市周辺・加賀地域

 主な使用食材 米(酢飯)、旬の魚など

 歴史・由来・関連行事
 石川県では祭りや祝いごとのハレの日に「押しずし」が食べられる。金沢市では、酢でしめた魚、すし飯、紺のりを木枠に重ね入れ、一晩押して寝かせたものが食べられている。一夜かけて重しをすることで、魚とすし飯が互いの旨味を引き出して調和するという。ほど良い酸味も食欲をかきたてる。春ならタイやイワシ、アジ、秋はサバ、シイラといった具合に季節や行事によって使う魚介も異なり、木の芽やきんかんなどの彩りがそえられる。
 加賀では、「押しずし」の一種である「笹ずし」や「柿の葉ずし」が食べられている。「笹ずし」は熊笹で包んだすし飯や魚を一晩押し寝かしたもの。米一升で50人前ほどがつくれる。ひと昔前は、近くの山から笹を調達して何十人分もの「笹ずし」を一家総出でこしらえたという。家で食べる分は簡易的な方法でつくられる、「おけらずし」を食べたという。魚が手に入りにくい地域は、油揚げや塩くじらを使った。
 「柿の葉ずし」も柿の葉をすし飯、魚を重ね寝かせた「押しずし」。柿の葉は7月から8月ごろにとれるものが、緑が濃く香り高いといわれている。この時期に大量に収穫したものを冷凍し、1年分を保存する家庭もある。魚をすし飯の下にし、上に紺のりと桜エビをのせるのが本来のつくり方とされる。

 食習の機会や時季
 正月や冠婚葬祭のほか、春祭りや秋祭りのときに食べられている。ひと昔前は、行事の前になると家族で大量につくり、当日近所におすそわけするのがお決まりだった。すし飯を敷く、魚を乗せる、ふたをして抑える、といった各工程を子どもと大人で分担して、流れ作業で進めたという。

 飲食方法
 1日ほど寝かしたのち、そのまま食べる。お祝いごとのときは、九谷焼の大皿に贅沢に盛りつけられ祝宴に彩りをそえる。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 家庭でつくることは減ったが、今でも地元のスーパーマーケットや惣菜店で販売されている。「押しずし」の有名店では一日数万個を製造することもあるという。
 地元有志で設立された「加賀おしずし研究会」は、石川県の押しずし文化の普及・促進。伝統製法にならった「押しずし」を祭事やイベントで提供するほか、新たな具材を使ったレシピ開発にも取り組んでいる。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/oshizushi_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 真子の煮つけ

2025-05-28 09:56:33 | 郷土料理

 「真子の煮つけ」

 主な伝承地域 県内全域

 主な使用食材 真子(タラの子)

 歴史・由来・関連行事
 石川県で「タラ」といえば、スケトウダラではなくマダラのことを指すのが一般的である。寒さが厳しくなるころに産卵期を迎え、この時期のタラは特に美味とされている。地元民の間では「すてるところがない」ともいわれ、頭から内臓までさまざまな部位が料理に使われる。刺身を昆布じめにしたり、白子を酢の物にしたり、正月料理には干物にした棒ダラも食べられている。
 漁業が盛んな能登では、12月から2月にかけてタラ漁が最盛期を迎える。その味は古くから評判で、民謡でも「能登のタラは日本一」とうたわれるほど。能登の七尾市では「ごっつおまつり(たら祭り)」も開催される。
 「真子の煮つけ」は能登に伝わる代表的な調理法の一つ。真子とは卵のこと。江戸時代から食べられており、細かくほぐした卵を刺身にまぶす「たらの子つけ」も有名だが、シンプルに醤油とみりんで煮付けにもされる。現在は珍味として、広い地域で知られている。
 全長が1mを越え、重さが10kg以上にもなるマダラの真子は、30cm近い大きさになる。黒い皮につつまれており、スケトウダラの卵よりも見た目のインパクトが大きい。

 食習の機会や時季
 産卵期を迎える冬頃に食べられている。時期になると鮮魚店やスーパーマーケットで真子が売られており、家庭で調理される。
 能登地域の港町では、2月11日の旧正月に「起舟祭(きしゅうさい)」が開催され、地元の飲食店や宿泊施設で「たら御膳」や「起舟御膳」が振る舞われる。「たら御膳」はたら料理尽くしのフルコースで、定番の「たらの煮つけ」をはじめ、真子を使った料理が並ぶ。

 飲食方法
 輪切りにした真子を醤油とみりんとともに煮こんでから食べる。味付けがしっかりしているので、ごはんのおかずやお酒の肴にも良く合う。小さく切ると、バラバラになってしまい、花が咲いたように仕上がるため、包丁を入れずに大きなまま煮てから切ると良い。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 いまでも能登では家庭でよく食べられている。また、「真子の煮つけ」を缶詰にした加工品もスーパーマーケットなどで流通している。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/makononitsuke_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 たらの子つけ

2025-05-27 16:49:11 | 郷土料理

 「たらの子つけ」

 主な伝承地域 能登地域、金沢市周辺

 主な使用食材 タラ、真子(タラの子)

 歴史・由来・関連行事
 タラは石川県では欠かせない冬の味覚の一つ。県内で食べられているタラは、スケトウダラよりもマダラを指すことが多い。
 古くから港町として栄える七尾市は寒ブリが有名だが、地元民にとっては、タラのほうがより馴染みのある食材である。七尾湾は入り組んだ地形のため、産卵期を迎えたタラが良くとれた。昭和20年代(1940年後半)には“タラが湧く”ほどとれたとなつかしがる地元民も少なくない。それを裏づけるように、七尾のタラを唄った民謡が残っているほか、毎年2月には「ごっつおまつり(たら祭り)」が開催される。
 「すてるところがない」といわれるように、アラは味噌汁や煮物に、胃や内臓は塩辛に、「たらちり」や「たら汁」には身だけでなく、七つ道具といわれる内臓一式も使われる。ひと昔前は、季節が冬にさしかかると家々の軒先に干しダラが下がるのがお馴染みの風景だったという。
 本来、鮮度が落ちるのが早いタラは、火を通して食べるのが一般的である。しかし、新鮮なタラが調達できる能登地域では刺身で食べることができる。さらに刺身に真子(タラの子)をまぶした、「たらの子つけ」は地域内外に広く伝わっており、とくに金沢市では定番の郷土料理として根づいている。

 食習の機会や時季
 能登地域の港町では、2月11日の旧正月に豊漁・安全祈願のための起舟祭(きしゅうさい)がおこなわれる。漁船には大漁旗が飾り立てられ、榊と御神酒を供えられる。この日のために、用意されるごちそうが「たら御膳」「起舟御膳」。「たらの煮つけ」、「白子の酢の物」、「真子の醤油漬け」、「たらの子つけ」などを一度に楽しめるフルコースで、漁師の親方が部下たちを家に招き、振る舞わうのが習わしとして残っている。

 飲食方法
 酒と塩でうす味に味つけした真子のいり煮がまぶされており、いり酒(酒と梅干し)で食べられる。カツオ出汁と醤油を混ぜた土佐醤油で食べても良い。
 スケトウダラと比べ、マダラの真子は巨大で倍以上の大きさになることもある。黒い皮で覆われており、インパクトのある見た目だが、淡白でモチモチとした食感が楽しめる。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 真子は地元のスーパーマーケットや鮮魚店で調達できる。起舟祭のシーズンになると、地元の飲食店や宿泊施設でタラ料理を楽しめる。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/taranokotsuke_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 なすのオランダ煮

2025-05-26 09:04:49 | 郷土料理

 「なすのオランダ煮」

 主な伝承地域 金沢市周辺

 主な使用食材 なす

 歴史・由来・関連行事
 金沢市では、地元で伝統的に栽培されてきた野菜を「加賀野菜」としてブランディングし、普及促進に努めている。ブランディングにあたり、昭和20年(1945年)以前から栽培されていること、現在も金沢近郊で栽培されていることを定義にしている。現在は15品目がブランド認定されており、加賀太きゅうりや源助だいこん、赤ずいき、金時草、甘栗かぼちゃなど見た目も味も個性豊かな野菜が揃う。
 加賀野菜の一つ、へた紫なすはその名のとおり、あざやかな紫色のへたと卵のような個性的なかたちが特徴。色つやの良い皮はうすく、身は柔らかく甘みがある。日持ちが良いともされている。
 栽培がはじまったのは明治20年(1945年)ごろ。市内の有松地区、泉地区で栽培されていた小木という系統から発展したとされている。昭和初期に、現在の金城地区や崎浦地区などが主な産地になっている。
 なすの収穫期になると食卓に上がるのが、「なすのオランダ煮」である。揚げたり、炒めたなすを甘辛く煮こんだシンプルな料理で、なすが丸ごと使われることが多い。ひと昔前は、もて余すほど大量にとれるなすの処理方法として農家で良く食べられていたという。へた紫なすを使うとあまり煮崩れしないため、なす本来の味を充分堪能できる。
 長崎県を経由して伝わった西洋の調理法が「オランダ煮」の名の由来だといわれている。

 食習の機会や時季
 なすが旬をむかえる夏から中秋にかけて、食卓に上がる。あっさりした風味なので、夏バテで食欲がないときでも食べやすい。「なすのオランダ煮」は、なすとそうめんを煮こんだ「なすそうめん」と並ぶ、夏の味覚として親しまれている。冷たくして食べることが多い。

 飲食方法
 へたの部分を切ったなすに切れ込みをいれて、沸騰させたお湯でアク抜きする。アクの出た汁はすべて捨てて、新たにだし汁を火にかけて醤油と砂糖とともになすを煮つめる。なすに充分味が染みたのを確認してから食べる。仕上げにおろししょうがや唐辛子をかける場合もある。
 素朴でやさしい味わいで、柔らかい身と張りのある皮の、二つの食感が楽しめる。
 塩漬けやぬか漬けにしてから丸煮する、「つけオランダ」もある。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 現在も家庭の味として継承されている。仕上げにごま油をたらすなど、家庭によってさまざまなアレンジがされている。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nasunoorandani_ishikawa.html より

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< 郷土料理 > 石川 鯛の唐蒸し

2025-05-25 08:53:56 | 郷土料理

 「鯛の唐蒸し」

 主な伝承地域 金沢市周辺 

 主な使用食材 タイ、おから、人参、ごぼうなど

 歴史・由来・関連行事
 尾頭つきのタイを背開きにし、人参、ごぼう、きくらげなどを入れて煮た五目おからを詰めて蒸した定番の加賀料理。武家文化の名残りを色濃く残す郷土料理の一つである。二匹のタイを腹合わせにした盛りつけが主流となっている。
 祝いごと、とくに婚礼時の際に食べられている。中華料理に由来をもつ長崎の卓袱(しっぽく)料理が、蘭学修養の加賀藩士を通じて伝来されたともいわれている。
 タイは唐蒸し以外にも、昆布じめ、あら炊き、タイ皮の和え物などさまざまな料理に活用される。

 食習の機会や時季
 婚礼の際に、嫁方は嫁入り道具とともにお酒、大ダイを持参する。それを婿方で唐蒸しにする。宴たけなわのころを見計らって、「鯛の唐蒸し」を披露。客人たちに振る舞われ、宴は一層の盛り上がりを見せる。上身のみを客人に取り分け、骨の下身は下働きをしてくれた人や近所の人に振る舞い、労をねぎらった。
 二匹のタイを腹合わせに盛り付けるのが習わしで、これを「にらみ鯛」や「鶴亀鯛」という。腹開きではなく、背開きにしたのは切腹を連想させ縁起が悪いからである。このあたりに、武家文化の名残りを見ることができる。タイのおなかにはちきれんばかりに、おからを詰めるのは子宝に恵まれるように、と願ってのことである。
 一般家庭の祝いごとや祭礼にも食べられており、現在は季節を問わず祝宴に登場する。伝統を重んじる商家などでは、12月の祭礼「恵比寿講」にて商売繁盛を祈願する。このとき、えびす様に供えたおさがりのタイを使って、唐蒸しをつくった。

 飲食方法
 タイのおなかに詰まったおからは、人参、ごぼう、れんこん、しいたけ、ぎんなん、きくらげとともに炒められている。出汁、醤油、砂糖などで味付けされており、ほんのりと甘い。おからをタイに詰めて40分から50分ほど、大ダイでは1.5時間以上蒸すと、おからにもタイの旨味がうつり美味しく食べられる。
 色あざやかな九谷焼の大皿に盛り付けられることが多く、祝宴に花をそえる。

 保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
 手間がかかることから、昔とちがって一般家庭でつくられることはほとんどない。いまでは格式ある料亭やレストランなどで催されるお祝いに提供されることが多いが、その際は予約が必要である。演出として、仲居が「鯛の唐蒸し」をもって客席をまわって披露する飲食店もあるという。

*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tainokaramushi_ishikawa.html より

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