原発国会事故調、最終報告 「規制当局と東電の立場逆転」より転載
産経新聞 7月6日(金)7時55分配信

東京電力福島第1原発の事故を「人災」と断定した国会事故調の報告書は、規制当局と事業者の立場が逆転し、「原子力安全の監視・監督機能が崩壊した」ことを事故の根本的な原因と指摘。規制当局は規制の先送りを許し、東電など事業者の「虜」になっていたと厳しく批判した。
「能力や専門性、安全への徹底的なこだわりという点で、国民の安全を守るにはほど遠いレベルだった」
報告書は、経済産業省原子力安全・保安院などの規制当局の問題点を列挙した。一つの例が、平成18年の耐震設計審査指針の改定に伴い実施された、既存の原発の安全性を見直す「耐震バックチェック」だ。
東電の報告期限は当初は21年6月だったが、28年1月に先送り。1~3号機の耐震工事は実施されず、保安院は遅れを黙認した。
20年には、米中枢同時テロをきっかけに策定された米国の原発のテロ対策計画「B5b」について、保安院は米原子力規制委員会(NRC)から説明を受けていたものの、国内の安全規制に反映しなかった。
報告書は、原発推進の経産省の一部だった保安院の組織優先の姿勢や専門性の欠如が、既存の原発の稼働を維持したいという事業者の主張を「後押し」したと分析。「規制当局や東電経営陣が意図的な先送りを行うことで、安全対策が取られないまま3・11を迎えた」ことが事故の「人災」の原因だったと言及した。
既存の規制当局は再編され、9月までに原子力規制委員会が発足する予定だ。ただ、報告書は「組織形態を変えるだけでは、国民の安全は守れない」と注文をつける。「常に安全の向上に向けて自ら変革を続けていく組織への転換を」との提言を、規制委はどこまで実現できるか。わが国の原子力への信頼回復の試金石となっている。
産経新聞 7月6日(金)7時55分配信

東京電力福島第1原発の事故を「人災」と断定した国会事故調の報告書は、規制当局と事業者の立場が逆転し、「原子力安全の監視・監督機能が崩壊した」ことを事故の根本的な原因と指摘。規制当局は規制の先送りを許し、東電など事業者の「虜」になっていたと厳しく批判した。
「能力や専門性、安全への徹底的なこだわりという点で、国民の安全を守るにはほど遠いレベルだった」
報告書は、経済産業省原子力安全・保安院などの規制当局の問題点を列挙した。一つの例が、平成18年の耐震設計審査指針の改定に伴い実施された、既存の原発の安全性を見直す「耐震バックチェック」だ。
東電の報告期限は当初は21年6月だったが、28年1月に先送り。1~3号機の耐震工事は実施されず、保安院は遅れを黙認した。
20年には、米中枢同時テロをきっかけに策定された米国の原発のテロ対策計画「B5b」について、保安院は米原子力規制委員会(NRC)から説明を受けていたものの、国内の安全規制に反映しなかった。
報告書は、原発推進の経産省の一部だった保安院の組織優先の姿勢や専門性の欠如が、既存の原発の稼働を維持したいという事業者の主張を「後押し」したと分析。「規制当局や東電経営陣が意図的な先送りを行うことで、安全対策が取られないまま3・11を迎えた」ことが事故の「人災」の原因だったと言及した。
既存の規制当局は再編され、9月までに原子力規制委員会が発足する予定だ。ただ、報告書は「組織形態を変えるだけでは、国民の安全は守れない」と注文をつける。「常に安全の向上に向けて自ら変革を続けていく組織への転換を」との提言を、規制委はどこまで実現できるか。わが国の原子力への信頼回復の試金石となっている。