一日一トライ~”その記憶の記録”

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Ⓘ-7.短編小説”最後の授業”から(3/3)~教科書から消えたわけはー

2022-11-25 07:00:00 | Ⓘ-ものの見方・考え方
 アルザス地方の学校では、「フランス語」を日常的に話したり書いている国語!としてでなく、外国語(日本では、英語を学ぶようにー)のヒトコマとして教えられていたという現実があったのです。このことがわかると、この本の評価は、かなり変わったものになります。


 旧市街は、大きな中洲なような場所に位置しています。


 マチの真ん中でカヤックカヌーができるとはー。

 アメル先生は、アルザス語を母語とするアルザス人に対し、フランス語を「自分たちの言葉」=「国語」として押しつける立場にあったのです。歴史的なことや地域の実態を知らずにこの作品を読むと、アルザス地方に住むフランス人に、外国語であるドイツ語を話すドイツの占領軍に押しつけられるかのように読み取ることになります。 


 このようなドイツ風の建物がたくさんあります。

 すなわち、この作品は、アルザスをドイツにとられたフランス側の政治的な意味の込められたフィクションということになります。作品は作品としての価値を認めたとしても、事実や実態に反する内容では、やはり批判の対象になります。調べてみると、言語学者の田中克彦氏や蓮實重彦氏の著書に「国語イデオロギーによって言語的多様性を否定する側面を持つ政治的作品である」と。これらの指摘や批判に国や出版社が応え、この教材を採用しなくなったのでないかと思います。


 この建物は典型的なドイツでよくみられる光景です。

 先生は、「フランス語は世界で一番美しく、一番明晰な言葉です。そしてある民族が奴隸となっても、その自国の言語を保っている限り、牢獄の鍵を握っているようなものなのです」ーとの一節から考えてーこの本の見方としては、たとえドイツに土地を占領されても”言語”さえ 守れば自分たちの”アイデンティティ”を失うことはないという。ま、「自国の言語を保っている限り、牢獄の鍵を握っているようなもは、ある程度解釈することできますが、チョッと大げさな文言かな!?、と思いながらも、この作品は、国語愛の感情を引き出すために学校教育で利用された役割は大きかったものと思います。また母国語を奪われそうになる人々の悲しみと、それを失われまいとする姿、自分たちの言語への愛着を描き出しているといった評価もできます。過去の歴史の中には、このような苦渋の体験をした民族・国がたくさんあったことですがー。


 赤色砂岩の「ノートルダム大聖堂」;尖塔の高さは142m。


ノートルダム大聖堂内の天文時計~からくり人形付きです。

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