第43代紫組要領次第

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渋谷を歩きながら-正気と狂気

2006-02-24 12:42:40 | Weblog
 正気を保つというのは大変難しい。普段何も意識せずに保てているうちが花。告白するが、自分は一ヶ月のうちの何夜かは、突然布団から跳ね起き、いそいそと何かに追われるように、それでいて走らずに、電気も点いていない真っ暗な狭い部屋をぐるぐる歩き回りながら、叫ぶ。そういう奇行に及ぶ。叫ぶ言葉は「そんなばかなっ!」「そりゃーねーだろっ!」などであり、なにか抗うことのできないものに対して、文句をぶつけたいらしいが、自分でも対象が何なのかをはっきりと掴むことは困難である。掴めたら幾分か和らぐのだろうが、兎も角もそういう異常な不安感を自分で自分の中に創り出して勝手に自滅する夜が、ごく稀だが、しかし確実に、定期的に起こる。そうして、数秒間狭い部屋をぐるぐる回った後、でも仕方ないか、などと思いながら布団にもぐりこむ。そして朝まで寝る。やってるときは大真面目だが、やはり思い返してみると、他の人が見ていたら、狂気に憑かれていると思うだろうと思う。
 
 渋谷を歩きながら斯くの如く考えた。濁流のごとく流れるこの膨大な人間のうち、いったい何人が正気を保っているのであろうか?人生は自然長ゼロのばねのようなもので、ぐいぐい伸びていって、能力を伸ばしたり、やり甲斐を積んだり、お金を稼いだりしても、終わっちまえばすべてゼロに戻っちまう。人生を書き物に比喩し、死後も何かが遺ると考える中高生時代のポジティヴさはいつの間にやら消え失せちまって、こうなってくるとなにかにつけて、やる気というものをキープするのが厳しくなる。我輩は斯くの如き神経衰弱に苦しまされているのに、しかるに、周囲をこれ見よがしに歩く膨大な人間はどこか行くべき方向を定めてせっせと歩いているように見える。なにを目標物にして歩いているのか。聞いてみたいがそれもできぬ。

 渋谷に行くまでの話をしよう。
 その日は、訳も分からず家を出てむやみやたらにうろついた。一度位は都電に乗ってみようと、町屋駅から都電のホームへ向かう。ホームにある所要時間表を眺めたら、大塚駅までものすごい時間がかかるということを知り、千代田線で西日暮里に行ってから山の手線に乗り換えたほうが断然速いなぁ、などと考えながら、とりあえず乗り込んだ。別に電車に乗ることが好きなわけではないが、なんとなく乗ってみただけ。どこで降りるかという当てもなく乗ってしまったので、うまい表現が見当たらないが、とりあえず困った。終点まで乗り続けても大した遠くへ行ってしまうわけでも無いから、ここら辺で降りよう、という意欲が湧かない。周囲を眺めながら、ああ、この駅の人は最寄の鉄道が無いから、都電を使っているのだななどと、窓の外をだらだらと流れる、住宅やら住民の方々を眺めた。
 乗るときに大塚駅のことを考えたので、少しばかり縁があるということにして、大塚駅で降りた。

 特にネタも無いが、せっかくここまで書いたのだから、ブログに載せてみようと思う。当然続編は無い。

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