goo blog サービス終了のお知らせ 

医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

安倍首相をカット、美容室は違法?

2015-03-04 22:53:50 | 社会問題・生活
岩盤規制は、いたるところに

日本経済新聞 電子版 2015年3月4日 配信

 安倍晋三首相はほぼ毎月、東京・渋谷の美容室に通っている。妻の昭恵さんから勧められたのがきっかけだ。カットの後のヘッドスパがお気に入り。ただ、美容師が首相の髪を切るのは「厳密に言うと法律違反の疑いがある」(厚生労働省幹部)。
■ほしい人雇えず
 1978年、厚生省(当時)は局長通知で美容師が髪を切るのは女性客との法解釈を示した。男性客のカットができるのはパーマなど「美容行為の一環」の場合だけだ。
 男性カットは多くの地域で黙認されるようになったが、今も高知市の美容室には時々、保健所が「メニューを見せてください」と抜き打ち検査に来る。男性カットがあれば是正を求める。規制対策で前髪だけパーマをかける店もある。
 同市の保健所には以前、理容組合の幹部が「美容師の男性カットを放置するな」と抗議に来た。「おかしなルールでも法律は法律。違反があると言われれば指導せざるをえない」(保健所幹部)。境界線は他にもある。
 「今回は理容師を雇えなくなりました」。格安カット大手「QBハウス」を展開するキュービーネットの採用担当者は、新店を出すたび、応募者におわびする。美容師の応募者が多ければ美容室として届け出るため、理容師は雇えないことが多い。美容師と理容師が同じ店で働くことは業法で禁止されているためだ。
 「人手が足りないのに雇えない。応募者も働けない」(北野泰男社長)
 理容室と美容室を分ける法律は終戦後の47年にできた。引き揚げ者らがハサミ一つで開業する「青空床屋」が続出し、店同士の争いが絶えなかった時代だ。その後、議員立法で細かい規制が入り、縄張りが固まった。
 なぜ形骸化した規制を残すのか。所管する厚労省の答えは「議員立法は手をつけにくい」(幹部)。いったん導入した規制は、存在意義を失っても続いてしまう。
■試験は現実離れ
 「燃やしてみましょう」。昨秋、福島県でクリーニング師の国家資格試験を受けた原田順一さん(48)は試験官からライターと灰皿を手渡され、戸惑った。燃え方の速さで繊維の種類の見分けがつくという。「お客さんの服を燃やせるわけないのに」(原田さん)
 実技試験では半世紀前の電気アイロンが登場した。温度調整機能はなく、霧吹きをあてたときの「ジュッ」という音を頼りに温度を確かめる。勤め先のクリーニング会社で練習した原田さんは合格がかなわなかった。
 なぜ実際に使う技能を問わないのか。試験問題をつくる福島県庁の担当者は「ベテランのクリーニング師が問題を変えることに反対する」という。
 人手不足なのに新規参入を制限する理美容やクリーニング業の姿はサービス業全体の映し絵にも見える。日本のサービス業の労働生産性は米欧より低い。古い縄張りをなくし意欲ある人が参入すれば、需要を生む技術革新も加速するだろう。
 3年目に入ったアベノミクス。岩盤規制を崩すには、法律の看板を直すだけでは足りない。細部に潜み旧態を維持するワナをあぶり出せるか。その成否は日本経済の構造改革の試金石となる。

川崎中1殺害「ここが犯人の自宅らしいよ」実名さらしネット中継

2015-03-04 22:33:38 | 社会問題・生活
川崎中1殺害「ここが犯人の自宅らしいよ」実名さらしネット中継、どんな問題がある?
弁護士ドットコム 3月4日(水)13時35分配信



生中継の様子
「ここが犯人の自宅らしいよ」。2月に少年3人が殺人容疑で逮捕された川崎市の中学1年生殺害事件で、逮捕された少年の自宅前とみられる場所から、ニコニコ生放送のユーザーが、ネット中継している動画が話題になっている。

このユーザーは、逮捕された少年の自宅前とみられる場所でネット中継を行い、マスコミの取材陣が集まっている様子や、親族とみられる人たちが出入りする様子を生中継していた。表札を映して、「犯人の本名は●●、下の名前は●●」と個人名を口にしたり、「人を殺しているからね。まあしょうがないね」と取材陣が殺到していることについてコメントしていた。

この動画に対して、ネットユーザーからは「お前の行動力に脱帽した」「個人情報出すな、訴えられるぞ」「これが冤罪だったらどうするよ」など、さまざまなコメントが寄せられた。

最近の犯罪では、犯罪の容疑者の情報をネットでさらして、社会的な制裁を加える「私刑」が問題になっているが、今回のケースにはどんな法的問題があるのだろうか。元裁判官の田沢剛弁護士に聞いた。

●社会的利益がある報道は認められる

「法治国家においては、原則として『私刑』は禁止されています。これを認めてしまえば、裁判所も警察も関係ない、無法状態となってしまうからです」

田沢弁護士はこのように切り出した。では、今回のようなケースが、具体的にはどういった法的問題があるのだろうか。

「人には、『私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利』があります。次の3つの要件に当てはまるような情報を公開されると、プライバシーの侵害として、民事上の責任が生じます。

(1)一般人にまだ知られていない、

(2)公表されると、私生活上の事実または、事実らしく受け取られるおそれがある

(3)一般人の感受性を基準にして、公開を欲しない。

公開された人物の社会的評価を低下させるような場合には、名誉毀損に該当し、刑事罰の対象となることもあるでしょう」

対象が犯罪の容疑者であっても、同じ扱いなのだろうか。

「マスコミによる犯罪の報道については、プライバシーを侵害するような内容であっても、これを報道すべき社会的利益が上回る場合には、違法になりません」

実名であることも「社会的利益がある」と言えるのだろうか。

「実名を挙げて報道すると、読者や視聴者に対する事実の訴求力が異なります。また、政治家の汚職事件など、実名での報道が権力の追及につながることもあるでしょう。

こうした理由から、マスコミには基本的に実名報道の原則があるようです」

●違法となる可能性が高い?

だが、今回は容疑者は18歳の少年ということで、事情が異なるのではないか。

「20歳未満の少年による犯罪の場合は、少年法61条が実名報道、推知報道を禁止しています。条文には、次のように規定されています。

『家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない』

これは、仮に罪を犯しても、いまだ成長途上にある少年の健全育成を援助することが社会の責任だ、という考え方が背景にあります。

実名報道など少年のプライバシー等を侵害するものは、その健全育成を阻害しかねません。そのため、そうした報道を規制する必要があるとの趣旨で設けられました。

少年法の規定があるため、未成年者の実名や容貌の報道が控えられているのが通常です」

今回、生中継をして情報を発信していたのは報道機関ではなく、個人だ。その点はどう見ればいいのだろうか。

「少年法の規定の趣旨からすれば、マスコミではない個人が興味本位に、容疑者とみられる少年の自宅前で中継行為を行うことは、まさに個人のプライバシーを侵害するものです。

また、容疑者の実名を公開することも名誉毀損罪に該当し、違法とされる可能性が高いです。慎むことが賢明でしょう」

田沢弁護士はこのように述べていた。

個人的な名刺をつくる

2015-03-04 09:12:55 | 社会問題・生活
個人的な名刺を取手のキャノンの傍の交差点の角地に店を構えるいる業者に依頼した。
100枚3700円は高いと思ったが、地元の業者を利用してみた。
白山通りは典型的なシャッター通りとなり寂れる一方なのだ。
データ渡しなので、FAXでの校正の時は文字のバランスだけに注目した。
家人がキャノンのパートの掃除の仕事の帰り、注文し受け取ってきた。
自分で行ってもよかったが家から3.5㌔の距離なので家人に頼んだのだ。
ところが、まさかの間違いで、「医科歯科通信」が「医学歯科通信」になっていた。
データ渡しなのに、先方の業者は入力したそうだ。
信じられないことだ。
当然、校正の時に気づかない当方も悪かった。
印刷代は前払いであったが家人は、その名刺を持参して交渉に行く。
当方が交渉行くとこじれると思ったのだ。
結局、無料で印刷してくれたので地元業者を見直す。

















学術会議が不正対応策

2015-03-03 12:45:48 | 社会問題・生活
実験データ10年保存を原則 

共同通信社 2015年3月2日(月 )配信

 STAP論文問題など研究不正が続発していることを受け、日本学術会議は27日、実験データは10年間、標本などの試料は5年間の保存を原則とする対応策をまとめた。文部科学省の研究不正に関するガイドラインの運用に際し、基本的な考え方となる見通し。
 対応策は、データの保存と開示は研究者の責務と指摘した。研究者が異動する際は、資料のバックアップを保存するよう求めた。
 論文の著者となるためには「論文の最終版を承認し、内容について説明できること」が必要と明記。論文の二重投稿や、著者の扱いについては、研究分野ごとに規定を定めて公表するべきだとしている。
 研究機関は、全ての研究者を対象に、研究倫理教育を少なくとも5年ごとに定期的に受講させることが必要とした。

子どもの成長を社会全体で支え喜び合いましょう

2015-03-01 05:29:52 | 社会問題・生活
文部科学省は子育てについて「子どもの成長を社会全体で支え喜び合いましょう」と呼び掛けている。
だが、その呼びかけが虚しく聞こえるのだ。
13歳の少年が殺されて事件の報道にやるせなさを感じるばかりだ。
社会全体で何ができたのであろうか?
周囲の人たちの無神経さや鈍感さつまり人間の感性の問題ではなかったのだろうか?
目や顔が腫れている少年の姿をみたらただ事ではないはずだ。
少年は「殺されるかもしれない」と友人に漏らしていたのである。
つまりSOSを発していたのだ。
家族や学校もその間、どこもまで真剣にあるいか危機感をもって対応してきたのであろうか。
本人にはたして直接接触した教師はいたのだろうか?
社会全体で支え合う「本当の意味」が改めて問われる事件であった。

『後藤浩輝の戯言』

2015-02-28 11:37:11 | 社会問題・生活


お馬の寺子屋番外編 2004年8月の日記

■ 2004/08/25(水) 『後藤浩輝の戯言』、『意外に大変。』を読んで①
 “後藤浩輝”というジョッキーのことを、もっと早く知るべきだった。先日、彼が執筆・編集を行った一冊の単行本『後藤浩輝の戯言(たわごと)』(東邦出版)を手に取った。同書は、現役ジョッキーである彼が、レース中の騎手の駆け引きや戦術、レースのアヤなどをイラストつきで解説するという画期的な内容。ローエングリンとゴーステディとで激しくやりあい、物議を醸し出した昨年の秋の天皇賞などについて語っている。目に見えないジョッキー心理や独特なレースの見方は、毎週毎週レースを見ている競馬ファンであっても参考になる。むしろヘビーな競馬ファンほど一読すべき大変面白い内容だ。

 それ以上に感心したのは、次章につづられている彼の自伝である。物語は、彼が2年前に出版した自伝『意外に大変。』(東邦出版)の続き。中央のGⅠ初制覇となったアドマイヤコジーンの安田記念のことから書かれている。
 彼には自信があった。アドマイヤコジーンという馬は、「1200mのあとに1600mを使うといいリズムで走れる」という記述は興味深かった。だから「本番の距離には全く不安はなかった」と。無我夢中で追いまくった最後の直線、本能のままのガッツポーズ。涙で顔をグシャグシャにしたまま検量室前に現れた彼の姿は今でも印象に残っている。
 余談になるが、同馬のオーナーである近藤利一氏は当時を振り返り、ある雑誌でこう述べていた(確かこんなニュアンスであった)。「彼(後藤浩輝)がこれまで中央のGⅠが未勝利だとは知らなかった。知っていたら乗せなかったかもなぁ(笑)」「でも、あんなに喜んでくれて、こちらももらい泣きしそうになったよ」。本人が聞いたら苦笑いしてしまいそうなコメントだが、いずれにしても02年の安田記念は非常にエピソードが詰まったレースであった。
 その他には、伊藤正徳調教師が管理するローエングリンとのこと、外国・地方ジョッキーが押し寄せる現在のこと、今後の自分自身のあり方─。普段はパフォーマンスなどでおちゃらけているイメージもあるが、彼は真剣に競馬のことを考えている。そして、「もうパフォーマンスはやめたい」とも。
 本書の文中に一つ非常に気になるキーワードがあった。それは「伊藤正徳調教師との確執と和解」という言葉だ。前述したローエングリンとのことにも起因しているのだが、恥ずかしながら自分はその内容について全く知らなかった。いや、内容どころかその事実も曖昧なものだった。実は自分は、彼が書いた本を読むのは初めてであり、前作の『意外に大変。』を読んでいなかった。後藤浩輝と伊藤正徳調教師の間にいったい何があったのか? それが知りたくて、翌日すぐさま前作『意外に大変。』を購入した。

 一気に一晩で読破した。競馬サークルの人間であるならば、おそらく全員が知っている事実であろう。後藤浩輝は伊藤正徳厩舎所属の騎手としてデビューした。が、2年後に早々とフリーに転身。すぐさまアメリカに単身武者修行。良い悪いはともかく、デビューして間もなく、実績もない見習い騎手がやる行動ではない。前例がないし、誰がどう見てもおかしいと映ったはずだ。その原因は、師匠と確執、決別だった。詳しい内容は本書で、ということにするが、とにかく伊藤正徳調教師は非常に厳しい方であったようだ。仕事から私生活までありとあらゆる面で。弟子とはいえ、勝ち負けできる馬をポンポンと与えてくれたりはしなかった。だから彼は自厩舎の馬での勝ち星はほとんどなかった。もっとも、当時はまだ彼自身の腕が未熟であったこともある。同時に、若き日の彼は、日本の競馬サークルのシステムそのものが理不尽で相容れないものであるということにも気づいてしまう。

 時は進み、例の木刀事件が起きた。その詳細については触れていなかったが、当時の彼の心境についてはうかがい知ることができた。ちなみに、事件当時はまだ彼と伊藤正徳調教師との関係は修復されていなかった。絶縁状態である。「騎手免許を剥奪されてしまうかもしれない…」。そう思い悩んでいた彼だったが、結局4ヶ月の騎乗停止処分を受け渡された。騎乗停止期間としては最も重い処分だったが、最悪の事態だけは免れた。そして、彼はJRAの裁定期間中に師匠がとった行動を、別の人から聞いて絶句する。師匠は、決して弟子を見捨ててはいなかったのだ。涙もののエピソードである。
 それを機に、彼と師匠との仲は修復された。これからはお互いに協力して生きていくことを誓い合った。「お前がうちの馬に乗って海外のGⅠを勝つことが夢だ」。伊藤正徳調教師は、そう彼に言った。

 ずいぶん時間がかかってしまったが、自分はようやく分かった。03年の中山記念、彼は1番人気のローエングリンに騎乗し、鮮やかな逃げ切り勝ちを演じたのだが、ゴール後に何故あんな派手なガッツポーズをしたのかを。自厩舎の馬での初重賞制覇─。12年間閉ざされた重い扉を開けた貴重な一勝であったに違いない。
 同年の9月、彼はローエングリンとのコンビでフランスのムーランドロンシャン賞に参戦。結果は惜しくも2着だったが、師匠に最高の恩返しができるところまでようたくたどり着いた。
《つづく》
■ 2004/08/26(木) 『後藤浩輝の戯言』、『意外に大変。』を読んで②
 ジョッキー“後藤浩輝”を強く意識したのは、アドマイヤボスで参戦した01年の産経大阪杯だった。当時、無敵の強さを誇ったテイエムオペラオーの年明け緒戦である。休み明けとはいえ、断然の1番人気。後藤は4コーナー手前から激しく仕掛け、テイエムオペラオーを外から被せにかかった。テイエムオペラオーにとっては非常に厳しいレース展開となり、4着に敗退。前年からの8連勝が途絶えた瞬間だった。勝ったのは伏兵トーホウシデン、2着はエアシャカール。今になってみれば展開のアヤで生じた結果だ。仕掛けたアドマイヤボスは、ある誤算が生じ、強引にオペラオーを潰しにいった形となり3着に敗れてしまう。自分は確かアドマイヤボスから馬券を買っていたと思う。敗れはしたが、テイエムオペラオーに対して勝ちいった姿勢には感心した。面白いレースを観たと思った。

 彼は「意外に大変。」の中で、同レースのことについても言及している。要約するとこんな趣旨である。「あのメンバーの中で、テイエムオペラオーの力が一番強いのは間違いない。自分の馬(アドマイヤボス)の能力を100%引き出せても、オペラオーに100%の力を出されたら間違いなく負けてしまう。そして、あのレースの道中、このまま流れで進めば100%の力を出されてしまうと察知した。他の騎手は誰も動かない。ならば自分が動くしかない。そこであのような騎乗になったのだが、そこである誤算が生じた」。
 断然人気で4着に沈んだオペラオー陣営はカンカンだった。岩元調教師らは、彼の騎乗ぶりを批判した。たしか竹園オーナーも怒りをあわらにした発言をしていたはずだ。しかし、一ファンの立場から言わせてもらえば、そんな批判を相手ジョッキーに浴びせるのはお門違いである。レースに勝ちにいくのは当然のこと。そのためにライバルを負かしいくことも当然の手段だ。アドマイヤボスの騎乗方法がどんなに荒っぽく見えても、インターフェア(妨害)と指摘されていない以上、公に非難することなどできない。

 リーディングで上位を張るようなジョッキーは、みんなやっている。武豊、蛯名正義、アンカツ、外人・地方ジョッキー…。性格的に柴田善臣ぐらいだろうか、あまり目立たないのは。先月の七夕賞にしても、後藤はカゼニフカレテで強引なマクリをかけていた。それによって結果にも影響を及ぼした。自分の馬券だって…、また外れた。結果的には、カゼニフカレテは勝てなかったからあのような騎乗がベストとは言えないだろう。01年の大阪杯の結果について彼は、「オペラオーを負かすことが目的ではない。ただ、オペラオーを負かせば1着になれると思った。オペラオーに先着することはできたが、3着では何の意味もない。僕らジョッキーにとっては、1着以外は何着でも同じ。どんなレースでも勝つことしか考えていない」と語っている。
 当時自分は、竹園オーナーの発言に対してひどく憤慨した。「そんなこと言っているからジョッキーが皆横並びになる。ぬるま湯体質のレースなんかいらない」のだと。

 大阪杯後、アドマイヤボスを管理する橋田満調教師、近藤利一オーナーは後藤浩輝を同馬からすぐに降ろすようなことはしなかった。結果はでなかったが、彼のあの騎乗方法に対し、尊重の意を示した。それがなかったら翌年の安田記念制覇はきっと叶わなかったはずだ。「いつでも全力で勝ちに行く」という、基本的なプロフェッショナルの姿勢が、後藤浩輝に見えた瞬間だった。
《つづく》
■ 2004/08/28(土) 『後藤浩輝の戯言』、『意外に大変。』を読んで③
 「あれは生涯最高のレース。ゴール100m前までは…」。後藤浩輝が「思い出したくもない」と憂鬱に語るレースは、01年の京都大賞典である。彼はステイゴールドに騎乗していた。レースの内容・結果は競馬ファンならば誰でも知っているだろう。ステイゴールドは、現役最強馬テイエムオペラオーを内からすくい、直線抜けだして勝利目前のところで悲劇は起きた。ステイゴールドは突然左にヨレ、ナリタトップロードに騎乗していた渡辺薫彦騎手を落馬させてしまったのだ。ステイゴールドは完全に1頭抜け出していた。あのまま真っ直ぐ走っていれば間違いなく先頭でゴールを駆け抜けていたはずだ。GⅡとはいえ、格上であるテイエムオペラオー、ナリタトップロードを破っていれば金星と評価されるレースだった。

 レース前、後藤浩輝は神妙な面持ちに駆られていた。「ステイゴールドの真実を知りたい」と。ステイゴールドという馬は、非常に難しい馬であったらしい。彼以外に騎乗したことがあるジョッキーも皆、口を揃えて「どこまで本気で走っているのかがわからない」と言っていたらしい。京都大賞典では、彼はテン乗りではなかったが、同様のイメージを持っていた。過去何度か騎乗していたが、勝利をあげていなかった。
 だが、ステイゴールドの主戦である武豊は違った。同年のドバイシーマクラシックでエミレーツの王者・ファンタスティックライトを破る大金星をあげた。さらに遡れば、2年8ヶ月にわたって勝ち星に見放されていた同馬に目黒記念(初重賞制覇)をプレゼントしたのも武豊であった。

 自分が勝たせることができなかった馬に、別のジョッキーが乗って勝つ。その逆でもいい。勝っていた馬に自分が乗ることになったものの、勝たせることができなかった。ジョッキーにとってみてば、これほど悔しいことはないはずだ。比較対象が、自分より上手な武豊であってもだ。だから、後藤浩輝は思っていた。「ステイゴールドを勝たせることができるのは、武豊しかできないのか?」と。
 このままでは本気になったステイゴールド強さは、武豊しか知らないことになる。武豊は何をして同馬の力を引き出したのか? 同馬は武豊の何を感じとって走っていたのか?後藤浩輝は、「ステイゴールドの隠された力を知りたい」という一心にかられた。そこで彼がとった作戦は『武豊になる』ということだった。
 このあたりのことは騎乗している本人にしかわからないことだろう。ましてやジョッキーではない、一般のファンには理解なかなかできないことだ。
 「それは同じジョッキーとしてプライドを捨てることかもしれない。それでも結果を出してしまえば、自分の結果になる。感情、性格、緊張感、そして自信─。武豊だったらこうするだろうな。すべて武豊になり切ろうと思った」と彼は語っていた。
 だから、この強力メンバーの中でも彼は本気で勝てると信じていたに違いない。今まで勝ったことがない現役最強馬が相手であってもだ。そして、おそらく彼の意とするすべてが、あの日のステイゴールドに伝わったのだ。

 ステイゴールドにはもともとヨレる癖があった。だが、あのような結果になってしまったのは彼の騎乗ミスによるものだと、本人も認めている。落馬させてしまったトップロード陣営、渡辺ジョッキー、失格にさせてしまったステイゴールド陣営、そしてファンに対する罪悪感は想像を絶するものであった。レース後は、巨大な喪失感に襲われた。「もう死にたい…。自分には騎手の資格はない」。本気でそう思う日々が続いた。
 周囲の声は否応無しに聞こえてくる。当時、オペラオーの竹園オーナーも批判の声をあげていた。今度ばかりは、それも甘受しなければならない立場であった。なかには「レースにはそういうものもつきものだよ」と慰めてくれる人もいた。だが、この失格はそんな言葉で片付けられるものではなかった。それは、本当ならベストレースになるはずものが、ワーストレースになってしまったからだ。自分が大切にしていたもの、最高になるはずものをすべて台無しにしまったからだ。
 ひどい罪悪感に苛まれていた彼を救ったのは、ナリタトップロードを管理する沖芳夫調教師の言葉だった。「そうやって後藤くんが落ち込んでいるのを喜ぶ人はいないよ」。幸いにもトップロード自身は、ケガを負わずに済んだこともよかったのかもしれない。それと、あのあと渡辺ジョッキーが無事にレースに復帰できたことも。

 その年の暮れ、ステイゴールドは武豊騎乗で香港国際ヴァーズを勝った。それも勝ち方が凄まじかった。絶望的と思える位置取りから驚異的なの末脚を発揮しての差し切り勝ちだった。そして、引退レースが初GⅠ制覇という、劇的な勝利だった。今思えば、後藤浩輝がステイゴールドの真実を知りたいと思った理由がわかるような気がする。あの馬のどこにあんな力が眠っているのかと。相手云々という問題は確かにある。だが、あの勝利は自分も本当に素晴らしいと思った。
 ステイゴールドの最後の勇姿は、「僕の心の負担を取り払ってくれた」と彼は語っている。残念ながら、後藤浩輝自身の手ではステイゴールドに勝利をプレゼントすることができなかった。だが、あの京都大賞典で見せた脚は紛れもない真実であったと思う。勝利の喜びという形には結びつけることはできなかったが、きっと彼の心の中では、「自分にも感じた。ステイゴールドの力を引き出すことができた」という自信と誇りはあるに違いない。ステイゴールドの真実を知っているのは、「武豊騎手と自分しかいない─」のだと。
《つづく》

■ 2004/09/02(木) 『後藤浩輝の戯言』、『意外に大変。』を読んで④
 自伝『意外に大変。』の中で、後藤浩輝はプライベートなことについても赤裸々に語っている。果たしてこんなところまでカミングアウトしていいものなのだろうか? それは、読み手にそう思わせるほど衝撃的な内容であった。
 彼が小学4年生の時、両親は離婚してしまう。当時、彼には姉がいたが、これがきっかけで離れ離れに過ごすことになる。母親は姉を引き取り、彼は父親に引き取られることになる。両親が離婚に至った原因については書かれていなかったが、おそらく父親にとっては本意ではなかったと思われる。離婚後まもなく、母親は別の男と再婚している。しかし、彼にとってはたった一人の母親だ。家族がバラバラになっても、母親への思いは変わらない。

 息子と二人きりで暮らすことになった父親の生活は荒み、心身ともに衰弱。ついには首をつって自らの命を絶とうと決意する。だが、父親の自殺行為は未遂に終わる。父親の行為を目の当たりにした後藤浩輝は、激しい衝撃に襲われた。涙を流しながら父親に哀願する。「自殺なんて考えないでくれ」と、彼はひたすら泣き続けた。
 父親は反省し、普段の生活を取り戻しかけたかにみえた。だが、父親の精神状態は治まらなかった。ある晩、父親は寝ている息子の首に手をかけてしまうのである。後藤浩輝は睡眠中に突然、息苦しさを覚えた。だが、恐怖で身体が動かない。あの一件があったので、彼は父親が何をしようとしているのかとっさにわかった。あの時、父親が思いとどまっていなかったら…彼は今、この世にいなかった。
 言葉が出ない─。

 一命はとりとめたが、もう元に戻ることはできなかった。実の父親に殺されかけたのだから無理もない。その後、彼は母親に引き取られることになった。だが、それで万事解決とはいかなかった。そこには受け入れ難い事実が待っていた。家の玄関の表札が『後藤』ではなくなっている。そして、自分が知らない男が、父親になっていたからだ。彼はグレた。一般的には反抗期の一歩手前の時期であるかもしれないが、グレるには事欠かない材料があまりにも多すぎた。
 その後も紆余曲折あった。ここでは書き切れないほどの出来事があった。新しい父親との決別、異父弟の誕生、前の父親と母親の復縁、別居…。幼い後藤少年にとっては、あまりにも重過ぎるつらい現実が次々と重なった。
 この思いは一生消えることはない。とりわけ10歳年下の弟に対する気持ちは複雑だ。母親は同じとはいえ、自分が一度も馴染む事ができなかった父親との幻影が脳裏に浮かぶ。後藤浩輝が競馬学校に入学したということもあり、どこか他人のような感覚はなかなか拭うことはできなかった。それに、弟は後藤家の真実を知らない。おそらく弟は彼のこの著書によって、すべてをはじめて知ることになるのだろう。

 人の性格や価値観、考え方を形成するのは身の回りの環境によるところが大きい。とりわけ幼少時代の家庭環境によって植えつけられたものは、その後の人格形成に大きな影響を及ぼす。この時期のコミュニティーの場は、“家族・家庭”が大部分を占めている。そして人間関係というものを学ぶのは自分の両親、つまりは夫婦仲ということになる。
 後藤浩輝は特殊な家庭環境で育った。それによって、彼は心の傷を抱えたまま生きなければならなくなった。もしも彼が人並みの家族の温かさを実感することができていれば、違う人生が送れたかもしれない。そういった思いがコンプレックスとなり、今の彼を支えている。家庭のことだけではない。身体が小さいということも昔からのコンプレックスの一つであった。身体が小さかったからジョッキーになれたのだが、競馬場から出ればただの男。彼は、今でも身体的なことに関しては重荷に感じている面があるようだ。

 完璧な人間なんてそういるものではない。誰しも不安を抱えたり、コンプレックスを感じたり、他人に嫉妬したりする。そこでどうするかは人それぞれだ。妥協したり諦めたり、押しつぶされたりすることもあるかもしれない。しかし、コンプレックスがあるからこそ、頑張らなければという強い意志も生まれる。
 後藤浩輝は騎手である以上、リーディングジョッキーを目指し日々努力をする。そのためには、自分に障害となるものは排除にしなければならないという意識も働く。例の木刀事件※が起きたきっかけは、おそらく彼のそういった潜在意識がもたらしたものであったのであろう。悪く言えば、自己中心的。見方を変えれば、それが後藤浩輝の人間的な強さなのかもしれない。
※レース前の輪乗り中に自分の馬に蹴りを入れた吉田豊に怒り、美浦の騎手寮で木刀で殴った事件。4か月間の騎乗停止処分を受けた。

 彼は武豊ら、日本を代表するトップジョッキーの実力を認めている。一方で、自分には「武豊のような才能はない」ということも認めている。いわば器の違いと言うものなのだろうか。自分が一生懸命やってもできないことを、サラリとやってのける他人を見た時、悲しいかな資質の違いというものを否応無しに痛感させられる。だが、それでも人は何かをしなくてはならない。自分に足りないものが永久に埋められないかもしれないとわかっていても…。
 
 なんだかずいぶん長くなってしまったようだ。こうして書いてみようと思ったのは、非常に共感できる部分が多かったからだ。色々な面で自分を駆りたてた。自分と彼との年齢は一つしか違わない。お互い全く違う世界に生きているが、同世代の人間の生き様を知ることは素晴らしいと思った。
 元来、アスリートというものは現役時代に自分の多くを語ることは少ない。そんな中、これほどまで語って(書いて)くれた彼には感謝したい(文章・表現方法も上手)。単なる目立ちたがり屋なのかもしれないが、競馬ファン、ひいては自分にとって貴重な存在であることは間違いない。
《おわり》

アイスランドの地熱利用

2015-02-27 23:00:48 | 社会問題・生活
地域暖房9割
電力の3割が地熱のアイスランド
火山の島アイスランドで地熱利用の歴史は長い。
20世紀前半から温室や暖房に使われてきた。ただ、地熱発電を含む本格的な開発のきっかけは1973年の石油危機だ。
石油に代わるエネルギー源として政府が主導、基金を通じて開発に乗り出す企業を支援した ...
湯気のかなたに、白い蒸気を吐く建物がかすんで見える。
スバルツエンギ地熱発電所(7.6万キロワット)。
地中2000メートルから噴き出す蒸気と熱水のうち、蒸気が発電機のタービンを回し、分離された熱水が「ブルーラグーン」の泉源となっている。
「熱水は近所の家庭暖房や温水プールにも利用されています」と、発電所を運営するHSオルカ社の現場責任者ソルズル・アンデルソンが説明した。

アイスランドは2008年、金融危機の影響で経済が破綻(はたん)状態に追い込まれ、それまで目指していた「金融立国」からの路線転換を迫られた。国の再建のキーワードとなったのが「天然資源」「環境」「観光」。ブルーラグーンは、その象徴的な存在となっている。

現地の地熱発電所は、三菱重工、富士電機、東芝
地熱発電設備の世界シェアは日本企業がトップを誇る。
なぜ、日本で地熱利用が進まないのか?

国会議員の4割が女性

2015-02-27 22:54:09 | 社会問題・生活
アイスランド男女の格差が少ない
スイスの研究機関が行った世界各国の社会的な男女間の格差に関する調査で、日本は女性の国会議員や企業経営者が少ないことなどから142か国中104位にとどまり、主要な先進国では最低の順位となっています。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース


世界の政界や経済界のリーダーが集まる「ダボス会議」を主催するスイスの研究機関「世界経済フォーラム」は、経済、教育、政治、健康の4つの分野のデータを基に世界各国の男女の格差について毎年、調査していて、28日、ことしの調査結果を発表しました。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース

それによりますと、対象となった142か国のうち、男女格差が最も少ないとされたのは、6年連続でアイスランドで、2位がフィンランド、3位がノルウェーと、北欧諸国が上位を占めました。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース



一方、日本は、前の年より順位を1つ上げたものの、104位にとどまりました。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース

探して追加|アップロード
これは、主要な先進国では最も低い順位で、給与水準の格差はいくぶん改善したものの、管理職への登用の面で格差が依然大きいことや、国会議員や企業経営者に女性の割合が低いことなどが主な要因となっています。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース

探して追加|アップロード
アジアで最も順位が高かったのは9位のフィリピンで、中国は87位、韓国は給与水準の格差が大きいことなどから、日本よりも低い117位でした。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース

探して追加|アップロード

1位がアイスランド、2位がフィンランド、3位がノルウェー、4位がスウェーデン、5位がデンマーク、6位がニカラグア、7位がルワンダ、8位がアイルランド、9位がフィリピン、10位がベルギー。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース

探して追加|アップロード
また、ドイツが12位、アメリカが20位、イギリスが26位、ロシアが75位、中国が87位、韓国が117位で、格差が最も大きいとされたのは9年連続でイエメンでした。
出典男女間格差 日本は主要先進国で最低104位 NHKニュース



WEFは女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析する。
出典男女平等指数、日本は142カ国中104位  :日本経済新聞

探して追加|アップロード
日本は女性の労働参加率や管理職が少なく経済で102位
出典男女平等指数、日本は142カ国中104位  :日本経済新聞

探して追加|アップロード
政治も議員の少なさが響いて129位
出典男女平等指数、日本は142カ国中104位  :日本経済新聞

探して追加|アップロード
教育では93位
出典男女平等指数、日本は142カ国中104位  :日本経済新聞

探して追加|アップロード
大学以上への進学が105位
出典男女平等指数、日本は142カ国中104位  :日本経済新聞



★消える街の本屋さん

2015-02-27 22:42:58 | 社会問題・生活
町の本屋さんがどんどん消えている

全国の書店数は1万3736店(昨年11月末時点)で、調査を開始した00年以降で過去最低を更新
出典Yahoo!ニュース - <書店空白>新刊買えない332市町村 1日1店消滅の割合 (毎日新聞)

探して追加|アップロード
1999年は全国に2万2296軒あった書店数は、2014年の11月には1万3736軒にまで減少している
出典新刊を扱う「本屋のない市町村」が全自治体の1/5に!小規模書店の淘汰が進む - IRORIO(イロリオ)

探して追加|アップロード
昨年同期比だと298店減と、1日1店近くが姿を消している計算になる
出典書店3分の2に減少…ここ1年は1日1店姿消す : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

探して追加|アップロード
■本屋さんが無い市町村もチラホラ
新刊本を扱う書店が地元にない自治体数が、全国で4市を含む332市町村に上り、全体の5分の1に上る
出典書店のない自治体が332市町村に : 社会風刺

探して追加|アップロード
都道府県別では、(1)北海道47市町村(2)長野35町村(3)福島22町村--の順に「書店空白地域」が多かった
出典Yahoo!ニュース - <書店空白>新刊買えない332市町村 1日1店消滅の割合 (毎日新聞)

探して追加|アップロード
昔は本屋として営業していたけど、今は店舗としては営業せず、近辺の小学校や中学校に教科書のみを収めているというケースがあります
出典書店数の推移 1999年~2014年:【 FAX DM、FAX送信の日本著者販促センター 】

探して追加|アップロード
■なぜ本屋さんは淘汰されたのか
書店数の推移 1999年~2014年
【年度】  【書店数】
1999年   22,296 店
2000年   21,495 店
2001年   20,939 店
2002年   19,946 店
2003年   19,179 店
2004年   18,156 店
2005年   17,839 店
2006年   17,582 店
2007年   17,098 店
2008年   16,342 店
2009年   15,765 店
2010年   15,314 店
2011年   15,061 店
2012年   14,696 店
2013年   14,241 店
2014年   13,943 店 ※2014年5月1日現在

■振り込み型減り増える郵送

2015-02-26 22:14:28 | 社会問題・生活
被害また増加 振り込め詐欺はなぜ減らない?
(1/3ページ) 2013/1/19付 記事保存

有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。


 「振り込め詐欺の被害がまた増えているそうですね」。不安げな男性が事務所を訪れた。「手口が報じられ、警察も頑張っているのに減らないなんて」。郷里の母親が心配だという。「私が調べましょう」。探偵、深津明日香が立ち上がった。




 警察庁のデータを見た明日香は顔をしかめた。振り込め詐欺とは、オレオレ詐欺や、医療費を払い戻すなどと偽る還付金詐欺などの総称。昨年1~11月の被害額138億9000万円超はすでに前年を上回っている。「減っていたのに、再び増え始めているわ」

■正確な個人情報、手口を巧妙化

 実態を知ろうと「おばあちゃんの原宿」として名高い東京・巣鴨にある巣鴨信用金庫(東京都豊島区)本店に向かった。建物の正面に大きく「その振り込み、お待ちください!」と振り込め詐欺撲滅のスローガンが描かれている。

 被害防止に当たるお客様サービス課副長の市原敦さん(50)が「お金の使い道などを聞くと怒るお客さんもいますが、被害を防ぐためです」と説明した。様子がおかしい人にはお茶を出し「息子さんから携帯の番号が変わったと連絡がありませんでしたか」など、怪しい点がないか聞く。

 3件の被害を防いだ外回り営業の川村永さん(28)は「犯人は本当のことを私たちに話さないよう言い含めているので、見抜くのは容易ではありません」と明かす。家族のかかりつけの病院名や仕事の内容まで正確に話す例もある。ポストの郵便物などを盗み見て情報を集めているらしい。

 明日香は「想像以上に巧妙だわ」と息をのんだ。警視庁の被害者アンケートでも79%は「自分は大丈夫だと思っていた」と答えている。被害者の66%は警官が「判断力や記憶力に問題なし」と感じた人だ。

明日香は日本総合研究所上席主任研究員の武山尚道さん(60)を訪ねた。武山さんは被害防止の方法を探る国の委託研究に参加。研究では磁気共鳴画像装置(MRI)で脳の活動を調べたり、経済実験をしたり神経経済学などの知見を応用して、被害者がだまされる心理的な仕組みを調べた。

■抑止のカギは犯人側のコスト増やすこと

 「人は、じっくり考える“熟慮処理系”と、直感で判断する“自動処理系”を組み合わせて意思決定します」。恐怖や時間的切迫などストレスが加わると、自動処理系による判断が優先され、だまされやすくなる。

 実験では、特に50歳以上の女性で、判断時間が短くなると誤った結論を下す割合が高まることが分かった。警察庁データでも、オレオレ詐欺被害者の82%がこの層にあたる。犯人は「今日中にお金がないと間に合わない」とせかして、判断力を鈍らせる。「人は情報の7~8割を視覚から得ており、電話の声だけで相手を識別するのは難しいのです」と武山さん。

 「防ぐ手立てなんてあるのかしら」。事務所で困っていると所長が助け舟を出した。「犯人は会社のように組織的にやっているそうだ。犯罪を“ビジネス”ととらえたらどうだろう?」

 明日香は経営コンサルタントの竹内謙礼さん(42)に意見を聞いてみた。竹内さんは「私は経営を助けるのが仕事ですが、“ビジネスの潰し方”を考えればヒントが見えるような気がします」と応じてくれた。

 実は竹内さんの母親も昨年末に被害に遭った。「母は過去に2度、オレオレ詐欺を見抜きました。犯人側は研究を重ね、手口を進化させていました」。警戒にも限界があるという。「むしろ犯人側の事業コストを引き上げ、割に合わないビジネスにした方が効果的かもしれません」

 たとえば「電話会社がすぐ携帯電話の発信元を特定できる仕組みをつくり、片っ端から使えなくすればいい」。今は「法律上、難しい」(電話会社)というが、実現すれば犯人は仕事がしにくくなる。「犯罪に使う携帯や口座、協力者を安く手に入れられない環境をつくればいいのね」

■振り込み型減り増える郵送

 明日香が全国銀行協会を訪ねると「簡単に口座を開設できなくしています」と企画部次長の諸江博明さんが説明した。本人確認の手続きを厳格にし、支店から居住地が遠い人や、その銀行に口座を持っている人は原則断るようになったという。警察も口座を転売した人の摘発を強化している。「犯罪に使われたらすぐ凍結する仕組みも作り、実は銀行口座に振り込ませる手口は減っていますよ」

 「“振り込め”詐欺なのに?」。警察庁に問い合わせると、確かに2011年1~6月に54%を占めた「振り込み」型は12年1~6月には46%と半分を割り込んでいた。代わりに親族の同僚や友人を装って直接受け取ったり、郵便局の「エクスパック」などで送らせる手口が増えている。

 調べると、経済産業省も、お金を郵送させる手口に悪用される「私設私書箱」や郵便物転送サービスの規制を強め「4月にも、業者に顧客の利用目的や職業を確認させるなど法律を厳しくする」(商取引監督課長の苗村公嗣さん)という。

 「犯人は手ごわい。社会全体で対策を練る必要があるな」。報告を聞いた所長が携帯電話を手に取ったのを見て夫人の円子がくぎを刺した。「資金繰りが厳しいからといって、実家に無心しないでくださいね」



















特殊詐欺なぜ減らないのか?

2015-02-26 22:08:40 | 社会問題・生活
いわゆる「振り込め詐欺」(※1)の被害が減りません。警察庁によれば、2013年上半期の振り込め詐欺を含む「特殊詐欺」(※2)の被害総額が211億7000万円と過去最高だそうです。年間最多だった2012年を30%以上も上回るペースで増えている。振り込め詐欺の上半期の被害額は72億8000万円。ブルネイの国王が振り込め詐欺の被害にあったり、米国などでも被害者が増えていて、こうした詐欺の増加傾向は世界的らしい。反面、検挙数が上がっているのにもかかわらず、主犯格の摘発数は低いままです。逮捕者は受け取り役などの年少者がほとんどで、詐欺グループの核心をつぶすまでにはいたっていません。


もちろん、加害者が一方的に悪いのは確かですが、これほどまで犯罪の手口や被害が社会に広く認知されている詐欺犯罪なのに、どうして被害が減らないんでしょうか。銀行振り込みなどから手渡しにするなど、犯人側が巧妙になっているのもあるでしょう。被害者は100人200人に一人か二人、といわれるように、電話やネットなど、不特定多数から罠にかかりやすい相手を物色する技術的な手段が発達してきたこともあります。また、核家族化が進み、身内がバラバラに住んでいて頻繁に連絡をとっていないこともあるかもしれません。

しかし、身内の不祥事をなんとかしたい、という親心や家族の心情を逆手に取った詐欺がなくならならず、日本に限らず世界的にも増えている、というのはどこか象徴的です。単に被害者が「愚か」だから、というのではない理由があるのでしょう。

犯人たちは人間という「社会的な生き物」の弱点を的確に狙い撃ってきます。振り込め詐欺の犯人たちは、孫や子ども、夫などが、会社の金を落としたとか、横領がバレそうになったとか、痴漢をしたとか、交通事故を起こした、といった不祥事を被害者に伝え、心理的なパニックに誘導します。多くのケースで身内を騙った犯人は、自分の不祥事を揉み消したい、と訴える。すると、祖父母や親、妻などの被害者の中には、不祥事を公にはしたくない、不祥事を起こした相手をかばいたい、といった気持ちが生まれます。

もしも仮に不祥事を起こしたのなら、それに対して社会的な責任をとるよう相手を説得するのが祖父母や親、妻がすべきことなのにもかかわらず、不祥事を穏便にすませ、できればなかったことにし、なんとか責任を回避したい、という心情が起きてくる。犯人はそこにつけこみ、一種の「共犯関係」を被害者との間に構築します。そして、被害者の多くは、窮地に陥った身内を助けたい一心で金を用意し、犯人に渡してしまうのです。実際、犯人からの電話に対し、身内になりすました相手を諭し、弁護士や警察官を騙った犯人に身内が犯した過ちは自分で責任を取らせるような態度を取った場合、犯人たちはすぐに犯行をあきらめるそうです。

こうした振り込め詐欺の被害者の多くは高齢者です。一方、犯人グループには若者が多いようです。暴力団などの反社会的組織による犯行より、暴力団と距離を置いた「反グレ」と呼ばれる犯罪集団によるものが増えている。彼らは、振り込め詐欺のコンサルタント役から指導されたり「指南書」を読んだりして短期的に荒っぽく犯行を重ね、捜査がおよんできそうになると手を引き、詐欺で稼いだ金で起業したりしているそうです。振り込め詐欺がなくならない背景には、不祥事を隠したい身内の心情があることもさることながら、お年寄りから金をだまし取ることに後ろめたさや罪悪感を感じない若者たちの存在がある。これもまた社会の写し絵のような気がします。

こちらは警視庁サイトの「母さん助けて詐欺への啓発ページです。呼び方について、オレオレ詐欺とか振り込め詐欺とかいろいろある。表題ブログでは、英語の表現から「母さん助けて詐欺」という言葉について考えています。

上級英語への道
「母さん助けて詐欺」はどこへ行った? (bank transfer scam)

※1. 振り込め詐欺とは、特殊詐欺のうち、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金等詐欺を総称したもの。

※2. 特殊詐欺とは、面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振込みその他の方法により、現金等をだまし取る詐欺をいい、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺、金融商品等取引名目の特殊詐欺、ギャンブル必勝情報提供名目の特殊詐欺、異性の交際あっせん名目の特殊詐欺及びその他の特殊詐欺を総称したもの。

























マイナンバー制度 開始に向け広報活動の強化を

2015-02-26 19:44:52 | 社会問題・生活
公明新聞:2015年2月25日(水)付


社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度が、来年1月から実施される。内閣府が先月行った世論調査の回答で「制度内容を知らない」が70%を超えた。情報漏えいの不安を訴える回答も約30%あった。

内容を知らない国民が多い中で、10月からのマイナンバー通知を行えば、行政への問い合わせが殺到し制度運用に支障を来す恐れもある。制度を円滑に始めるために、生活の利便性向上につながる点を広報し、その意義を国民に理解してもらう努力が必要だ。

マイナンバー制度は全国民に12桁の数字を付与し、年金や雇用保険の給付手続き、所得税の確定申告などの作業を簡素化するための仕組みである。これで書類チェックに膨大な人と時間を費やす行政事務の負担を軽減し、待ち時間をなくすといった効率化を促すこともできる。

また、乳幼児が受けた予防接種や成人の健診履歴を医療機関が確認し、健康管理に生かすことも可能である。

特に、強調すべきなのは、社会保障と税などの情報を誤差なく把握・管理することができる点である。持続可能な社会保障制度を構築するためには、負担と給付の均衡を確保することが必要だが、介護サービス費の支給漏れや過払いなどが後を絶たない。納税実績、社会保障給付などの情報を制度ごとに複数の機関が別々に管理するためだ。

マイナンバー制度で個人情報を集約化することで事務処理の煩雑さを解消すれば“消えた年金”のような問題も防止でき、社会保障制度の信頼感を高めることにもなる。

一方、個人情報の漏えいや不正利用の防止は、第三者機関の「特定個人情報保護委員会」が当たる。情報の取り扱い状況を監視・監督し、関係機関への立ち入り検査権限も持つ。制度の信頼性を保つ上で同委員会の果たすべき役割は重い。万が一、悪用が疑われる場合には厳正な対処を行うことが求められよう。

情報は専用のネット回線を通じて自治体などの公的機関で使う。回線の安全性は確保されているが、安全を脅かすような技術的問題が起きないか、常時点検すべきだ。

制度開始に向け万全の態勢を整えるべきである。
































道徳の教科化の課題 公明新聞

2015-02-26 19:41:01 | 社会問題・生活
2015年2月25日(水)付


心の“評価”は、なじまず
体験学習や良書の活用を


<問い>

小・中学校における道徳が「特別の教科」になると報じられています。公明党の考えを教えてください。(東京 M・Y)

党文部科学部会長 浮島 智子 衆院議員

昨年10月、中央教育審議会(中教審、文部科学相の諮問機関)は、義務教育で教科外活動として位置付けている「道徳」について、学校全体で取り組み、数値評価しない「特別の教科」として扱うことを答申しました。

公明党は、子どもの豊かな心を育てるための道徳教育の重要性を踏まえた上で、道徳教育が特定の思想や価値観の押し付けにならないよう一貫して訴えています。

文科省は中教審の答申を受けて、文章による評価も含めて検討を進めていますが、これまでの党内議論では評価については慎重な対応を求める意見が出ています。

道徳は他教科のように、試験で客観的な理解度を測ることはできませんが、評価することになった場合、進学や就職時の選考資料となる調査書(内申書)に文章でも記載されることになります。これは児童・生徒の心の管理につながる危険性があると考えています。例えば、少しでも良い評価をもらおうと、教員や教科書に合わせようとする児童・生徒が出る可能性があります。

また、道徳の教員免許はない上、大学の教職課程における道徳の必修単位は2単位にすぎません。必ずしも十分とは言えない教員養成制度の下での評価は教員に大きな負担になります。一方、国際調査でも多忙とされている日本の教育現場で児童・生徒と向き合う時間をどう確保するかや、発達障がいなどがある児童・生徒の評価をどうするかなどの課題も残ったままです。実質的に道徳の評価はなじまないと考えます。

文科省は現在、2018年度以降の道徳の学習指導要領案を公表し、パブリックコメント(国民からの意見)を受け付けています。指導要領は各出版社が教科書をつくる時の基準になります。特定の思想や考え方を押し付ける内容であってはいけません。

06年12月施行の改正教育基本法では、公明党の強い主張により愛国心をめぐる表記については、教育の目標の一つとして「我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と盛り込み、「国家」というよりも「郷土」といった意味合いの強い表現とし、国家主義の懸念を払しょくしました。今回の道徳の指導要領は、改正教育基本法にのっとった表現を使用すべきだと考えています。

いじめには地域挙げて対応

公明党はかねてから、子どもの豊かな心を育むために、体験学習や良書を活用した教育の重要性を指摘してきました。また、いじめの対応では学校運営に地域住民らが参加することで教育の安定性を高め、子どもの個性に応じた教育を進めることも訴えてきました。児童・生徒の心の中を管理するのではなく、人を慈しむ思いやりの心など内面を引き出す教育こそが、道徳教育においては大切です。




























道徳の教科化 

2015-02-26 19:32:20 | 社会問題・生活
「問われるのは指導力」と産読 朝毎東は「価値観の押しつけ」

特攻隊員の遺書を題材に、親への感謝と命の大切さを教える川村真弘教諭。遺書を読み聞かせると、いつもはざわつく教室が静まりかえったという=4月10日、高知市立南海中学校
 中央教育審議会が10月21日、「道徳教育の教科化」を下村博文文部科学相に答申した。現在は正式な教科ではない小中学校の「道徳の時間」を、数値評価を行わない「特別の教科」に格上げし、検定教科書を導入する。文科省は学習指導要領を改定し、早ければ平成30年度からの教科化を目指すという。

 別表の通り、5紙が答申を受けて社説を掲載した(読売は8月の社説から引いた)。

 産経は「規範意識や公共心を育む教育がより必要なときである。教科化の意義は大きい」と歓迎し、読売も「教科化を契機に、道徳教育を充実させることが大切である」と支持した。

 教科化が望まれる背景についてはともに、道徳が正式な教科とされなかったためにおざなりに扱われたり、授業が別の教科に流用されたりする問題があったことを指摘している。

 対して教科化を強く批判したのが朝日、毎日、東京の3紙だった。「教科にすることで多様な価値観が育つのか。かえって逆効果になりはしないか。その懸念をぬぐえない」(朝日)、「何のための教科化か」「道徳は、押しつけ的な『規格化』や、一定の価値観などが物差しになりがちな『評価』はなじまない」「つい『いい子』度合いを尺度にしてしまう懸念はないか」(毎日)、「国が一律の物差しを作れば、自由かつ多様であるべき価値観や思想信条を統制することになりかねない」(東京)-。どれも、道徳の教科化が「価値観の押しつけ」につながるとの認識だ。

 これら「価値観の押しつけ」論を、読売は「的外れと言うほかない」と一蹴した。産経も、答申は価値観の押しつけを明確に否定しているとし、「道徳の授業には、立場の違いによって価値判断が異なることなど、物事を多角的に考え、判断する力を養う意味がある」と道徳の意義を強調した。

 教科書の検定についても朝日と東京は異口同音に「『愛国心』を盛り込んだ教育基本法の目標に照らして重大な欠陥があると判断されると、不合格になる」(朝日)とし、「運用次第では、かつての国定教科書に近づきかねない」(朝日)、「やはり戦前をほうふつさせる」(東京)と懸念を表した。

 しかし産経は、検定はむしろ「バランスのとれた内容かどうかをみる」ものだと反論し、教科書を作るにあたっては民間出版社などが特徴のある教科書を出すよう求め、「すでに教育委員会などが故郷の先人の物語などを入れた教材を使っている。ぜひ活用し、さらに内容を充実すべきだ」との提言も添えた。

 読売は「民間の教科書会社の創意工夫を生かすのは大事だが、政治的中立性など記述のバランスに目配りした基準作りは欠かせない」と論じた。

 もっとも、いくら優れた教材を作っても、現場の教師がそれを十分に生かし、子供の興味を引くような授業をしなくては、教科化の意味も薄れよう。

 日経は「教科化ありきで結論が出たことは残念だ」と非難をにじませたが、「学校現場では萎縮することなく、いじめなどを防ぐ『心の教育』に伸びやかに取り組んでもらいたい」と道徳教育の成果に期待を寄せる。一方で「道徳は決してしゃくし定規には教えられない」と指導の難しさにも言及した。
産経は「道徳授業は何より教師の指導力が問われる。子供たちの心を捉える指導内容に工夫を凝らしてほしい」と注文し、読売も「教師が教科書を読み上げるだけの授業では、子供たちの心には響くまい」と説く。

 「言葉で教えにくくても懸命に生きた人物などを通し教師と子供たちが考える意義は大きい」(昨年11月20日付産経「主張」)。ここに紹介した一枚の写真が何より、そのことを如実に物語っているのではあるまいか。(清湖口敏)




























ほだしのゲン アラビ語に

2015-02-26 19:30:01 | 社会問題・生活
「はだしのゲン」を初はじめてアラビア語ごに翻訳ほんやくする

[NHK 2月25日 11時30分]
漫画まんが「はだしのゲン」は、原子爆弾げんしばくだんが落おとされた広島ひろしまで一生懸命いっしょうけんめいに強つよく生いきていく男おとこの子この話はなしです。作者さくしゃの中沢なかざわ啓治けいじさんは、子こどものとき広島ひろしまで原爆げんばくの被害ひがいを受うけた経験けいけんがあります。

「はだしのゲン」は、世界せかいの20以上のことばに翻訳ほんやくされています。全部ぜんぶで10冊さつあるこの漫画まんがの1冊さつ目めが、エジプトで初はじめてアラビア語ごに翻訳ほんやくされました。

カイロ大学だいがくで日本語にほんごを教おしえているマーヘル・シリビーニさんが翻訳ほんやくしました。シリビーニさんは、広島ひろしまに留学りゅうがくしたことがあります。原爆げんばくの被害ひがいを多おおくの人ひとに伝つたえたいと思おもって「はだしのゲン」を翻訳ほんやくしようと決きめました。これから2年ねんぐらいで全部ぜんぶ翻訳ほんやくすることにしています。

シリビーニさんは「若わかい人ひとたちが読よんで、平和へいわについて考かんがえてほしいです」と話はなしていました。