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中国の修士論文にモルモン教関連のテーマ

2009-11-24 00:03:25 | モルモン教関連
 2004年中国の東北師範大学(吉林省長春市)に、「ユタ州モル
モン教に対する米国政府の政策分析(1847-1896)」と題する修士
論文が提出されていた。著者は世界近代史を専門とする安秀芬
(アンシウフェン)で董小川(ドンシアオチュアン)が指導教官
を務めている。

 以下、中国の検索ページからたどって得た要約から紹介する。 

 三部からなるこの論文は、第一部で教会発祥の歴史的背景、基
本的な教義を紹介し、東部各州を移動する間に排斥・迫害を受け
るに至った原因を分析している。第二部でユタ州において迫害を
受けた原因を政治、経済、宗教面、移民政策などの点から論じ、
政治・経済面で連邦政府と衝突が生じたことを具体的に取り上げ
る。連邦政府が一連の立法と行政手段により反多妻制度の名目の
もとにモルモン教会のユタ州における政治・経済力を剥奪してい
った経緯をたどっている。このようにしてユタ州域に確立してい
た神権政体を終結させ半世紀に及ぶ連邦政府とモルモン教会の闘
争がモルモン教会の失敗をもって終りを告げた、と述べる。
 
 この間双方に巨大な損失が生じていたが、米国は連邦政府の権
威を改めて樹立し、憲法を維持し立憲政体を確立した。また、モ
ルモン教会もこの闘争の過程で人材と物質面で巨大な損失を被っ
ていた。

 論文の最後の部分は、その後のモルモン教会が政治を離れ教会
そのものの発展に重点をおいた結果、経済的に巨大な成功を収め
るに至り依然としてユタ州では相当な勢力を保っていること、過
去の経歴の記憶から政治に関わることを避け、主流の社会との関
係に留意して時に応じ柔軟かつ不断に米国主流社会に適応して今
日のモルモン教会の発展につながっている、と簡単に紹介して終
わっている。 

Source: http://lunwen.dic123.com/detail-7003

 [付記] 中国がキリスト教、モルモン教に対してどのように考
えているかを見る一つの方法は、中国で刊行されている宗教関係
の研究誌に当たることである。定期刊行物の揃った公立図書館、
あるいは大学図書館を訪れて目次から当たってみたいと希望して
いる。刊行物には次のようなものがある。「宗教研究」「世界宗
教研究」「宗教学研究」「新世紀宗教研究」「当代宗教研究」
「金陵神学志」「中国宗教」「中国天主教」「東方宗教研究」
「宗教」「宗教哲学研究」「宗教与世界」「世界宗教文化」など。

 この分野は各省の社会科学院が担当していて、宗教研究所を設
けているところもある。

[付記 2] 中国の検索サイトで摩児門教を入力するとかなり酷評
されている印象(「邪教」などの言葉が並ぶ)を受けたが、図書
館で見かけた代表的と思われる反邪教書籍に意外にもモルモン教
がリストにあがっていないことに気がついた。
 それは「反邪教工作手冊」(中国反邪教協会編、2001年)と
「破訳迷信-- 一份関与現代迷信的報告」(於洪生編、2000年)
で、オウム真理教、統一教会、などがあがっていて末日聖徒イエ
ス・キリスト教会はあがっていなかった。
 ただ、邪教の特徴の一つに両書とも末法思想をあげていて、末
日の文字が並んでいる。他に法輪功を非難した「現代謊言」にも
末世論を唱えていることを真っ先に挙げている。このことから教
会が中国語と韓国語の名前から末世、末日を除いて後期と変えた
背景には、中国のこういった視点に配慮した可能性があるのでは
ないかと思われた。(この付記は限られた資料から現時点で記す
私的なメモである。)

 


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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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中国は広い! (ワサッチ)
2009-11-24 13:00:26
以前、モルモンを研究している学者が日本にもいることに驚きましたが、中国にも注目する方がいるのですね。しかもNJさんの要約を読むと多数のモルモン(私も含めて)よりもずっと正確に教会歴史を理解されているようで驚きました。

>米国主流社会に適応して

新しい「福音の原則」のテキストからモルモン独特の教義が削られたことも適応なのでしょう。多妻婚中止に始まる流れのように思えますが独自色が薄れるほどアイデンティティの危機になるのではないでしょうか?その場しのぎの適応は宗教として無責任ですし自己否定の行為にも見えてしまいます。モルモンはアメリカの信仰復興運動の残滓のような宗教になってしまうのでしょうか・・・。
返信する
中国でのlds評価の参考になる? (NJWindow)
2009-11-26 01:33:00
コメントをありがとうございます。宗教が時代と環境に適応して存続していくことについては、私はもう少し寛容な見方を持つに至っています(マリンズの「日本生まれのキリスト教」を読んで)が、安秀芬が鋭敏な洞察力を持っていることに同意します。

今回の書き込みに2つ目の[付記]を書きくわえますのでご覧ください。
返信する
末日にそんな意味が (ワサッチ)
2009-11-27 21:30:49
中国では「末日」にそんな否定的なイメージがあることには驚きました。

>もう少し寛容な見方

教会に反骨精神を期待してしまうのですよね。
モルモンはユタ以外ではカウンターカルチャー
なのですから。
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