沼津西高校サッカー部

沼津西サッカー部の活動を報告します

いいチームこそ意見をよく交換する

2019年05月11日 | 日記
流通経済大学柏高校 本田監督の記事より

ポジティブな言い合いは選手同士に必要なことです。味方に対して言いたいことがあれば、しっかり言わなければいけません。私は、意見のぶつかり合いは、深い絆を生み出すと感じています。大前元紀選手がいた07年度のチームは、全国高校選手権を制しました。当時の選手たちは、意見をよく交換していました。流通経済大柏のクラブハウスには、学年ごとのロッカールームがあるのですが、壁の上部が仕切られていません。選手たちの声が通りやすいのです。07年度を振り返れば、選手たちの声がよく聞こえていました。そういう上級生たちのやり取りは下級生にもいい影響を与えてくれます。意見をぶつけあった後に素早く切り替えて握手できるようなチームは、結束力が強いですし、戦術の浸透度も高いものです。

-意見を言うことが「チームの和を乱す行為」ではなく「チームの和を高める行為」と考えるべきなのですね。-

最終ラインの選手は、自分より前にいる選手をしっかりと動かさなければいけないと私は思っており、ディフェンダーに対して「『口』で守備をしなさい。自分が『1対1の苦しい状況を抑える』のではなく、『1対1になる前』に味方を動かしたりして対応させ、そのこぼれ球を拾ったりするのが、優れたディフェンダーだよ」といったことをよく言います。もちろん、状況によってはコーチング通りに動いてくれないこともあるでしょう。しかし、それを放置すべきではありません。試合後にでも、「なぜ、動いてくれなかったの?」と聞いて、「あの状況はこうだったから動けなかった」などの答えを引き出し、「でも、俺はこう思った」といった意見交換をするべきです。それが強化につながります。

-高校生ですから、自己中心的な物言いになってしまう選手もいそうです。-

そういった選手に対しては指導者がしっかりコントロールしてあげるべきだと思います。
指導方法の一つに「褒めて伸ばす」があります。私もその効用を理解して用いることもありますが、「褒められすぎではないか」と感じるケースもあります。過剰に褒められると、選手は自己中心的になったり、人の話を聞けなくなったりします。バランスが必要だと思うのです。褒められてばかり育った選手は、褒められることが当たり前となり、「褒められてうれしい」と思えなくなります。しかもそういう選手は、叱られた時に叱られた理由を考えずに拒絶反応を起こし、問題から逃げようとします。それでは困難を乗り越えられません。また、そういう選手はチームを移ったりして指導者が変わったときに順応しづらいとも感じています。「褒められた前の指導者が良かった」という思いを引きずり、内省したり、自分を変えたりすることができないからです。それは、選手として、人としての成長を阻害するので、とてももったいない振る舞いです。

-人の話を聞けない選手は、「指導者の指摘=叱られた」と解釈しそうな気もします。-

そういう選手は、意見せずに不服そうな表情を浮かべます。私が言いたいのは、言うことを聞けということではなく、人の意見に耳を傾ける姿勢を持ち、聞いた上で反応してほしいということです。サッカーをプレーしていれば、いい時も悪い時もあるはずです。うまくいかないときこそ、人の意見に耳を傾けたり、別の方法を探すために人に聞いたりすることが求められるのです。それがサッカーの理解を深め、選手としての成長を促すと考えています。
私にとって良い選手の条件は「聞く力」と「話す力」を持っていることです。聞く力があるからこそ、「なぜ、こう言われたのか」、「自分はどう返事をすべきか」を徐々に考えられるようになります。そして、話す力があるからこそ、「次はこう言えるようになる」となり、行動の仕方も変わるのです。この繰り返しが成長を促進させるのです。それは、時代が変わっても変わらないでしょう。