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草加市の財政状況-財政力判断を”維持”から”厳しい”に修正

2024年02月06日 | 市政・議会・活動など

草加市議会2023年12月定例会で、草加市の財政について質問しました。

草加市の2022年度決算は、実質収支が57億5千万円の黒字でした。新型コロナウイルス感染症の拡大前である2019年度決算の32億3千万円から黒字額が増加しています。一見すると財政状況は良くなっているかのように見えます。しかし、予算編成時における財政余力や財政指標などは財政構造が厳しさを増している状況を物語っています。

 

■貯金の全体額は減少

草加市の基金残高(貯金)について、新型コロナウイルス感染症拡大前と現状を確認しました。

特別会計も含めた草加市の基金残高は、2019年度が169億円で、2022年度は132億円と減少しています。減少理由について草加市は、「公共施設整備基金が年々減少し、2024年度当初予算の段階では、ほぼ全額を使い切ることが想定」されているとし、「基金が枯渇すると施設整備や老朽化した施設の修繕などを全て一般財源で対応しなければならず、今後の予算編成においても非常に厳しい状況となる」と説明しました。

なお、使い道が自由な財政調整基金は、2019年度が59億円、2022年度が74億円に増加しています。

 

 

■貯金取り崩し予算

毎年度の予算編成をおこなう際に、支出に対して収入が不足する場合は、主に借金(市債の発行)をするか貯金(基金)を取り崩して予算を確保することになります。貯金の取り崩しが増えれば、それだけ予算段階での収支バランスの均衡が崩れていることになります。

草加市の予算編成における基金の取り崩し状況を確認しました。

草加市によると、10年前の2013年度は約10億4千万円の財政調整基金(貯金)を取り崩して予算が組まれました。新型コロナ拡大前の2019年度は約30億3千万円を取り崩し、2023年度は54億6千万円を取り崩しているとのことです。

総合政策部長は「近年、各年度の歳入で歳出を賄えておらず財政調整基金からの繰り入れに頼った予算となっている状況」として、「健全な財政を維持していくためには、歳入歳出の両面からあらゆる方策を全庁的に見直し、予算の構造を見直していく必要がある」との認識を示しました。

 

 

■借金残高と返済額のピーク見通し

草加市の市債残高(借金残高)と公債費(各年度の返済額)のピークについて確認しました。

2022年9月定例会で確認した際、市債残高のピークは2022年度末で約671億円、公債費のピークは2023年度で約66億円との見通しが示されていました。

2023年12月議会で改めて見通しを確認しました。草加市によると、年間50億円を借り入れる前提条件で試算した結果、「市債残高のピークは2023年度末で約684億円」「公債費のピークは2028年度で約70億円」と説明しました。両方ともピークが後ろにずれました。

今後も市民温水プールや市北東部のスポーツ施設整備などが続く見込みであることから、「市債残高は増加し、公債費のピークも後年度にスライドする」可能性があるとしています。

 

■財政構造の硬直化

自治体財政では、災害時などの突発的な対応や自由な財政運営ができる弾力性を確保しておく必要があります。それを測る指標が経常収支比率です。

草加市の場合、家計の生活費にあたる経常経費が、地方税や交付税などの経常的な収入の96.3%(2022年度、経常収支比率)を占めています。経常収支比率が高い=財源に余裕がない状況で、財政構造の弾力性が低い「硬直化」していると言えます。

現状を確認したところ、草加市は「人口や産業構造が似通っている類似団体の平均から見ても近年かなり高くなっており、2022年度決算は埼玉県内で高い方から4番目となっている」とした上で、「財政の硬直化が進んでいる」と説明しました。

※詳細➨ 佐藤のりかず公式ブログ「【草加市財政】経常収支の硬直化と50年(2023年11月29日)」

 

■自主財源の水準はコロナ前に戻らず

草加市が自ら徴収・収納する自主財源の状況を草加市に確認しました。

近年、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなうワクチン接種や国の支援などにより、依存財源が大きく増えて、自主財源がどの程度の比率を占めているかの実態が見えにくくなっています。そこで、自主財源と依存財源の割合について、コロナ関連や物価高騰関連の給付金等を除いた数値を確認しました。

草加市によると、新型コロナ拡大前の2019年度は自主財源が58.5%、依存財源が41.5%でした。

2022年度は、自主財源53.4%に対して依存財源が46.6%で、自主財源の比率が低下しています。しかし、ここからコロナ関連等の影響を除いた場合、自主財源56.3%に対して依存財源は43.7%だったとのことです。この点について草加市は、「おおむね感染症拡大前に近い割合になりますが、依然として(新型コロナ拡大前の)2019年度の水準までは戻っていない状況」と説明し、「自主財源の確保等が課題である」との認識を示しました。

 

 

■財政力の判断を「維持」から「厳しい」に修正

2022年9月定例会で財政力に対する草加市の認識を確認した際、新型コロナによる税収への影響は「当初予算積算時(2021年度)の想定よりも軽微だった」と説明。財政力については、「近年非常に厳しい財政状況となっている」としながら、「一定の健全な状態は維持している」との認識を示していました。

2023年12月議会で改めて認識を確認しました。新型コロナによる税収への影響について草加市は、前回の答弁と同様に「想定よりも限定的で軽微なもの」としました。しかし、財政力については「経常経費比率の高止まりや自主財源比率の低下など、財政の硬直化が進んでおり、独自の施策や臨時の支出に対応することが難しい状況になっている」と答弁。財政力の維持が厳しい状況であるとの認識に修正しました。

 

 

これら財政状況を踏まえながら、予算の精度をより高める取り組みや事業課の認識共有、年度末の駆け込み消化への対応など議会で議論しました。

 

これまでの草加市の財政状況は、予算編成のための財政が厳しさを増してきた一方、草加市がもつ財政力は維持され、その財政力をどう活かしていくが主眼でした。昨今は、その財政力も厳しさを増してきた状況にあります。

財政運営に責任をもつ市長をはじめとする執行部、そして議会がともに議論し、力を合わせて乗り越えていくことが求められています。財政削減一辺倒の議論に陥らないことも重要です。次世代に課題を先送りせず、必要な公共施設の維持更新や市民サービスを展開させていく、そのバランスある財政運営を進めていかなければなりません。

また、厳しい財政状況を乗り越えていく過程を通して、職員の意識改革や職員の力を養っていく。そのような財政運営をこれからも目指していきます。

 

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・コンサル頼みの政策立案から脱却を!草加市議会で提案(2024年01月09日)


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