草加市議・佐藤のりかず公式ブログ

公正・共生・多様性による「じぞくまちプロジェクト」推進中!
草加の「知りたい」が分かるブログを目指します

シェアサイクル:草加市が直面する課題と広がる可能性

2024年07月04日 | 市政・議会・活動など

草加市議会6月定例会で、シェアサイクル事業について質問しました。

市民の税金で購入した公有地を事業者に無償貸付していることへの疑問や、事業の持続可能性を確保するための提言などをおこないました。

 

■シェアサイクルの経緯

草加市では2021年1月に、シェアサイクル事業者と協定書を締結し、シェアサイクルの実証実験をはじめました。この協定書は、公共交通の補完や、災害等における移動手段の確保など、シェアサイクルの有効性や課題等を検証するために、事業者と協働で行う実証実験に関して必要な事項を定めたものです。

【協定書の概要】

  • 市の役割:公有地の提供や実証実験の周知等を行う
  • 事業者の役割:シェアサイクルの利用に必要なアプリの提供や、民有地でのサイクルポート確保・設置、自転車のメンテナンス等を行う
  • 使用料:公有地の使用料は無償提供(ゼロ円)
  • 維持管理費等:全額事業者の負担
  • 協定期限:2023年3月31日まで

 

その後、2023年4月1日に協定内容が次の通り変更されました。

  1. 実証実験を2026年3月31日まで延長
  2. 実施場所を谷塚地区から草加市内全域に拡大
  3. 事業拡充のためシェアサイクル事業者を1者追加

 

サイクルポートの設置数は当初、公有地6カ所でスタートしました。年々拡大し、現状では公有地17カ所を含む41カ所に増えています。

【サイクルポートの設置数】

  • 導入時:設置場所6ヶ所、80台(すべて公有地)
  • 現 状:設置場所41ヶ所、330台(うち公有地は17ヶ所、140台)※2024年4月15日現在

 

■持続可能性に向けた利用分析

シェアサイクル事業は、市民にとって便利な移動手段となる可能性を秘めていますが、同時に、採算性などによる事業の持続可能性への懸念もあります。草加市によると、事業の有効性を検証するため、利用データの分析やアンケート調査などを継続的に行っているとのことです。その主な検証状況です。

  • 事業者から提供された時間帯別や曜日別の利用回数などの様々な利用データを分析
  • 駅周辺にあるサイクルポートからの利用が多く、公共交通を補完する役割を担っている
  • バス停から少し距離のあるサイクルポートの利用も多く、駅から離れた郊外への設置要望がある
  • 市民にとって利便性のある移動手段になりつつある

さらに、草加市は「2021年10月に発生した地震による電車遅延の際、シェアサイクルの利用が一時的に伸びたことから、災害時の移動手段にもなりうる」との見解も示しました。

 

■無償貸付の妥当性

草加市は現在、シェアサイクル事業の実証実験の一環として、公有地を事業者に無償貸付しています。しかし、議会で次の点について指摘しました。

  • 公平性の観点: 自動販売機や駐車場など、他の公有地貸付では収入を得ているのに、シェアサイクル事業ではなぜ無償なのか?
  • 競争の公平性: 無償貸付は、事業者にとって優遇措置となり、競争の公平性を損なうのではないか?
  • 将来的な見通し: 今後、事業が本格化すれば、公有地の利用料を徴収すべきではないのか?

公平性の観点について、草加市が保有する公有地は、自動販売機や駐車場などで貸し付けている土地があります。その土地貸付収入について、2022年度は自動販売機が約1143万円、駐車場が249万円の収入(※)となっています。

公有地は市民の税金で購入した市民の財産です。なぜシェアサイクル用に無償で貸し付けているのか?質問しました。この疑問は、導入当初から市に投げかけてきました。

質問に対して市は、「公共交通の補完や交通利便性の向上等を目的として、シェアサイクル事業の実証実験を行っていることから、無償で提供することとした」とし、無償貸付が妥当であると説明しました。

ただし、今回の質問で有償化の協議は可能との認識を初めて示しました。現在の協定において有償化を含めた協議が可能なのか質問したところ、市は「協定書に基づき、協議を行うことは可能であると考えている」と説明しました。

(※)自動販売機は、主に行政財産使用許可(基本料+電気料)、賃貸借契約及び公園施設設置許可(基本料+電気料+売上変動分)の2パターンで70台(48施設)貸し付け。駐車場は、1台当たりの賃借料に基づき貸し付け。

 

■いつから本格実施に移行?

当初の協定では「2023年3月31日まで」だった実証実験が、協定変更により「2026年3月31日まで」に延長されています。2023年4月からは本格実施に移り、他事業との公平性の観点からも有償化されるかと思っていました。しかし、無償貸付の根拠としている実証実験が延長され、現在に至っています。

結局、いつから本格実施に移行するのか?市に質問しました。

この点について市は、「事業の有効性を見極めるとともに、他自治体の動向も踏まえた上で、本格実施の時期を検討したい」と答弁し、明言を避けました。再延長の可能性を否定しませんでした。

 

 

■有償化に向けた協議を市長に提案

シェアサイクルは新たな移動手段としての、今後も広げていくべき施策です。そのためには、公平・公正なルールや、市、事業者、市民・利用者、みんなにとってメリットとなる事業に発展させていくことが大切です。公有地貸付の有償化に向けた協議をおこなうよう市長に求めました。

提案に対して、山川百合子草加市長は以下のように答弁しました。

「近年の高齢化の進展や、慢性的な運転士不足等により、現状の公共交通サービスの維持・確保は困難な状況となっており、公共交通を取り巻く環境は厳しいものとなっております。一方、シェアサイクルの利用回数は、年々、増加傾向にございます。このような状況の中、本市といたしましては、鉄道やバスが利用しづらい地域において、シェアサイクルは公共交通を補完する新しい移動手段の一つになりうると認識してございます。公有地を有償で貸し出すことにつきましては、他自治体の事例及び動向を踏まえるとともに、近隣自治体とも調整したうえで、事業者と協議を行ってまいりたいと考えております。」

 

■まとめ

今後、草加市は、データ分析や市民との意見交換を積極的に行いながら、公有地利用のあり方、事業採算性の確保、ルール整備などについて取り組んでいく必要があります。市、市民、事業者が協力し、これらの課題を克服することで、草加市のシェアサイクル事業は、真に持続可能なものとなり、市民の生活に貢献していくことができるでしょう。

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草加市サタデースクール:現状と課題、これからの展望

2024年07月02日 | 子育て・教育

草加市の小中学校でおこなわれているサタデースクール(土曜授業)について、現状と課題、そして在り方の再検討を6月議会で草加市教育委員会に求めました。

■導入の目的

サタデースクールは、2016年度(平成28年度)に草加市で導入された制度です。

導入の目的は、主に①授業時数のより十分な確保を図ること、②土曜日等における児童・生徒の有意義な過ごし方を支援すること、③開かれた学校づくりをより一層推進することで、年間5回実施されていました。

導入時は”学力向上”が議論の主眼でした。

■時代と共に変化

しかしながら、年々授業内容が変わり、現状では地域主催の避難所運営市民防災訓練や学校公開などがおこなわれています。目的の3番目だった”開かれた学校づくり”が、1番の目的になっていると言えます。

2021年度には、町会やPTA、社会教育団体などの代表で組織する土曜日等の教育活動検討委員会から、教職員の負担軽減や働き方改革等を踏まえた実施回数の見直しについて提言が示されました。この提言を受けて、2022年度から実施回数が年3回に減りました。

また、今年1月13日のサタデースクールと英検(実用英語技能検定)の準会場試験が重なってしまいました。草加市が受験料補助金制度をつくって後押ししている英検日程に、サタデースクールが重なったことに対して、保護者から疑問の声なども寄せられました。サタデースクールをおこなっている草加市ならではの課題でもあります。

こうした状況について草加市教育委員会に確認したところ、効果や課題として次のような認識を示しました。

効果

  • 授業時数の確保による教育課程のゆとり・学力向上
  • 学校・家庭・地域連携の広がり(体験活動、公開授業等)

課題

  • 土曜日に学校があり、振替がないことによる教職員や児童生徒の負担
  • 翌月曜日の児童生徒の疲労感
  • 児童生徒の習い事や家族との用事と重なってしまう

課題については、導入当初から懸念されていた点です。

■サタスクの在り方再検討を

導入当初からの目的が移り変わっていくなかで、サタデースクールの在り方を再検討するよう草加市教育委員会に求めました。

例えば、①一律の土曜授業実施は廃止し、②地域に開かれた土曜授業の実施などは保護者等と共有しながら学校権限でおこなえるようにする、②実施した際は必ず振替休日を設ける、といった制度への転換を提案しました。現場が必要と判断した時だけ実施できるカタチです。

提案に対して、草加市教育委員会は次の認識を示しました。

  • サタデースクールの導入時は、授業時数を十分に確保することがよしとされ、大きな成果につなげてきた
  • しかし、2023年9月に、学校における働き方改革の一環として、中教審の「教師を取り巻く環境整備」に係る提言を踏まえ、文部科学省より、標準授業時数を大幅に上回り教育課程を編成することのないよう時数削減を含めた見直しの方向性が示された
  • このような変化を受け、今後の土曜授業等の在り方についての協議を始めている
  • 土曜日等の教育活動検討委員会における協議や各学校の状況等も踏まえ、今後の在り方についてさらに検討を進める

サタデースクールは、教育効果や教職員・児童生徒・家庭の負担など様々な側面を持つ複雑な事業です。回数や授業内容の変更も大事ですが、広く関係者の意見やニーズに合致するような柔軟な制度設計が求められます。引き続き、議論を進めていきます。

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【2025年度】草加市立中学校の修学旅行日程-北辰テストと重なる可能性も

2024年06月28日 | 子育て・教育

2025年度に予定している草加市立中学校11校の修学旅行の日程をまとめました。現在(2024年度)の中学2年生が、来年度行く修学旅行の予定です。

関東地区(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉)の公立中学校が実施する修学旅行の列車調整などをおこなう関東地区公立中学校修学旅行委員会のデータをもとに作成しました。

 

■2025年度:中学校の修学旅行出発日(計画)

  • 9月2日(火)~:松江中学校
  • 9月4日(木)~:草加中学校
  • 9月15日(月)~:川柳中学校、瀬崎中学校
  • 9月16日(火)~:花栗中学校
  • 9月19日(金)~:新田中学校
  • 9月22日(月)~:両新田中学校
  • 9月25日(木)~:新栄中学校
  • 9月26日(金)~:栄中学校、青柳中学校
  • 9月28日(日)~:谷塚中学校

 

■北辰テストとの重複の懸念

例年、秋の第5回北辰テストは10月の月初めに実施されていました。しかし、2024年度は9月末に実施されたため、草加市内の中学校2校が北辰テストと重なってしまいました。仮に、2025年度も例年と異なり9月末に実施されると、栄中学校と青柳中学校、谷塚中学校の3校が、北辰テストと修学旅行が重なる可能性があります。埼玉県内では草加市内の3校と、越谷市立中央中学校(9月27日~)、八潮市立八條中学校(9月28日~)の合計5校が重複するかもしれません。

 

 

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【中学教育の課題】修学旅行と北辰テストの重複、どう考える?

2024年06月27日 | 子育て・教育

2024年度、草加市内の中学校で修学旅行と北辰テストの日程が重なるケースが生じ、生徒や保護者から苦しい声が寄せられています。

草加市議会6月定例会で、この問題の課題と改善策を求める一般質問をおこないました。

 

■はじめに

今年度が始まってすぐ、中学校の保護者から「うちの学校の修学旅行と北辰テストの日程が重なってしまった。なんとかできないでしょうか」といったご相談が寄せられました。

親友や仲間たちと一緒に泊まり、多くの体験ができる修学旅行。

埼玉県の中学生にとって、高校受験のための非常に重要な存在である北辰テスト。

この二つが重なり、受験前の秋の時期にどちらかを選ばなければならない。生徒だけでなく、保護者・家族にとっても難しい選択だと思います。うちも息子が中学1年ですが、3年生で同じ状況になったらと思うと…その苦しい声が寄せられました。

修学旅行と北辰テストは、どちらも生徒にとって重要なイベントです。しかし、日程が重なってしまうと、どちらか一方を選ぶしかなく、生徒や保護者にとって大きな負担となります。特に、高校受験前の秋に実施される北辰テストと重なる場合、学習面や私立入試などへの影響も懸念されます。

 

 

■修学旅行の日程の決定方法

草加市教育委員会によると、中学3年生の修学旅行は、その学年が中学1年生の時に、学校が新幹線の計画輸送について関東地区公立中学校修学旅行委員会に申し込みます。 その後、関東地区公立中学校修学旅行委員会から計画が示され、学校はそれに沿って宿泊先を手配します。 最終的には、おおむね中学1年生の2月ごろまでに日程が決定します。

 

■重複した場合の出欠席扱い

学旅行の日に北辰テストを優先した場合の出欠席の取り扱いについて教育委員会の見解を確認しました。教育委員会によると、北辰テストを優先するなど病気以外の理由で修学旅行を欠席する場合、生徒の実情に合わせて登校の仕方や過ごし方などを提示し、おおむね出席扱いとなるよう配慮していると説明しました。

 

北辰テストと修学旅行の日程重複状況

例年、秋の第5回北辰テストは10月の月初めに実施されています。そのため、2023年度は、草加市内小中学校で北辰テストと修学旅行が重なるケースはありませんでした。

しかし、2024年度は、第5回目の北辰テストが9月末になり、草加市内の新栄中学校と栄中学校の2校が重なってしまいました。埼玉県内で日程が重なった中学校は、草加市内の2校と、志木市内の1校の計3校のみです。

 

■生徒や保護者への情報共有の徹底を

修学旅行と北辰テストの日程決定の経緯や、日程調整の状況について、生徒や保護者の立場に立って分かりやすく説明する必要があります。まずは、修学旅行の日程が決定した段階で周知するよう教育長に求めました。山本好一郎教育長も「生徒や保護者にとって、実施の時期を早めに周知する意義はある」との認識を示しました。

 

■中学校進路指導における業者テストに関する県の見解

中学校進路指導における業者テストについて、県からどのように示されているのかを確認しました。教育委員会によると、2015年(平成27年)に「生徒・保護者から信頼される進路指導・キャリア教育の充実について」の文書が示されました。この文書では、業者テストの偏差値等を高等学校へ提供しないこと、中学校が業者テストの実施に関与しないことなどが求められています。目的は、業者テストの偏差値のみに頼った進路指導とならないようにするためとされています。

 

■長期的な視点に立った改善策を

北辰テストのようないわゆる業者テストは、必ずしも受験に必須ではありません。しかしながら、特に埼玉県の高校入試において、北辰テストは非常に重要な役割を担っています。また、修学旅行と北辰テストの日程調整も単純ですが簡単な問題ではありません。より早い段階から日程調整を行う必要があります。民間テスト機関との協議も必要です。修学旅行と北辰テストの日程調整は重要な課題の一つであり、関係機関が協力し、生徒や保護者の声を反映しながら、長期的な視点に立って改善に取り組んでいくことが求められます。引き続き、解決策を見出せるよう当事者として取り組んでいきます。

 

⇓来年度の修学旅行予定はコチラ

【2025年度】草加市立中学校の修学旅行日程-北辰テストと重なる可能性も(佐藤憲和公式ブログ)

 

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【草加市】動物との共生へ! 新たな動物愛護条例の内容とポイント

2024年06月26日 | 市政・議会・活動など

草加市議会は、6月定例会で可決・成立した「草加市動物の愛護及び管理に関する条例」の内容と主なポイントを条文にそってまとめました。この条例に込めた想いです。

 

 

草加市動物の愛護及び管理に関する条例

(目的)
第1条 この条例は、市、市民及び飼い主等の責務を明らかにし、動物の愛護に関し必要な事項を定めることにより、動物愛護精神の高揚を図るとともに、動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止し、人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の推進に寄与することによって、人と動物に優しいまちをつくることを目的とする。

  • 草加市議会で策定した動物愛護条例は、理念としての位置づけで、飼い主への啓発活動や動物虐待防止に向けた取り組みを推進していくことが目的です。

  • しかし、法令で都道府県知事の権限とされている事業者への立入調査などについて、草加市は権限委譲を受けていないため市条例では行使することができません。(中核市の川口市や越谷市は権限を行使できます)

  • そのため、条例では補足しきれない部分や権限不足、実効性の担保といった課題がありますが、動物愛護に関する理念の共有、啓発活動の強化、動物虐待の防止、関係機関との連携強化、犬猫殺処分ゼロ目標達成への貢献など、多くの期待が寄せられています。 権限を持つ関係機関と連携しながら、飼い主への啓発活動や動物虐待の防止に向けた取り組みなど、具体的な施策をみんなで連携して推進していくことが重要となります。

 

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
⑴ 動物 人が飼養(保管を含む。以下同じ。)する動物で、哺乳類、鳥類及び爬虫類に属するものをいう。
⑵ 飼い主 動物の所有者(所有者以外の者が飼養する場合は、その者を含む。)をいう。
⑶ 動物取扱業者 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)第12条第1項第4号に規定する第一種動物取扱業者又は法第24条の3第1項に規定する第二種動物取扱業者をいう。

 

(基本理念)
第3条 人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
⑴ 動物は命あるものであることに鑑み、みだりに排除してはならないものであるとともに、動物が人の生活環境内に存在しているという認識の下に行われること。
⑵ 人と動物との関わりから生ずる諸問題の多くが人の生活様式に起因するものであることに鑑み、人が自らの問題としてこれらの諸問題の発生に関する予防その他の方策が必要であるという認識の下に行われること。
⑶ 動物の生態、習性、生理及び疾病並びに人と動物とに共通する感染症に関する正しい知識の普及及び公衆衛生の確保のための方策が必要であるという認識の下に行われること。
⑷ 豊かな情操を育てることに資するものであるという認識の下に行われること。


(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、この条例の目的を達成するために必要な施策を講ずるとともに、動物の愛護について実践する市民、市民団体等との連携に努めること。
2 市は、法第25条第7項の規定に基づく協力要請があった場合においては、県と協力し事態の解決に努めること。

  • 条例の目的達成のためには、動物愛護に取り組まれている市民や市民団体への支援・連携が必要不可欠であることから、(市の責務)でその旨を明記しました。そのことによって、一方向的に市民へ責務を求めるのではなく、市も明確に責務を負っていることを表現しました。市議会がつくる条例らしさがここにあります。
  • 2項で埼玉県との協力についても明記しました。


(市民の責務)
第5条 市民は、人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の推進に向けて、動物の愛護について、市が行う施策に協力するよう努めること。


(飼い主になろうとする者の責務)
第6条 飼い主になろうとする者は、動物の飼養に先立ち、当該動物の習性、生理、生態等に関する知識の習得に努めるとともに、飼養する動物を選択する際には、飼養の目的、現在及び将来にわたる生活環境等を考慮し、終生飼養できる動物を選択するよう努めること。

  • 飼い主に対する責務だけでなく、(飼い主になろうとする者の責務)も設けました。


(飼い主の責務)
第7条 飼い主は、命ある動物の飼い主としての責任を自覚し、動物を適正に飼養するよう努めるとともに、自らが飼養する動物に起因して生ずる事案について責任を負う者であるとの自覚を持たなければならない。


(動物取扱業者の責務)
第8条 動物取扱業者は、埼玉県動物の愛護及び管理に関する条例(平成10年埼玉県条例第19号)第4条の2に基づき、社会において果たすべき自らの役割を認識して、関係法令を遵守することはもとより、動物に関する最新の知識の習得及び情報の発信に主体的に取り組むとともに、市が行う施策に協力するよう努めること。

  • 他自治体の理念条例にはあまり設けられていない(動物取扱業者の責務)を設け、埼玉県条例について触れるとともに、市が行う施策への協力を明記しました。


(飼い主の遵守事項)
第9条 飼い主は、飼養する動物について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
⑴ 動物の種類、習性等を理解し、飼養する動物の健康及び安全を保持するとともに、適切なしつけをすること。
⑵ 動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するよう努めること。
⑶ 動物の鳴き声、悪臭、羽毛等により人に迷惑をかけないよう飼養環境を整備し、周辺の生活環境の保全に努めること。
⑷ 動物がその命を終えるまで愛情をもって飼養するよう努めること。ただし、やむを得ず継続して飼養することができなくなったときは、適切に飼養することができる者に譲渡する等し、決して放置しないよう努めること。
⑸ 飼養する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖を抑制するための適切な措置を講ずるよう努めること。
⑹ 動物によって健康を害する者がいることにも十分配慮するよう努めること。
⑺ 動物の逸走の防止のための措置を講ずるとともに、逸走したときは、自らの責任において捜索し、捕獲するよう努めること。


(犬の飼い主の遵守事項)
第10条 犬の飼い主は、飼養する犬について、狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)及び草加市ポイ捨て及び飼い犬のふんの放置の防止に関する条例(平成18年条例第21号)を遵守するとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
⑴ 譲渡する場合は、出生後8週間は当該犬とその親を共に飼養してから譲渡するよう努めること。
⑵ 他人へのかみつき、とびかかりその他の危害行為を予防するとともに、飼養施設の内外を常に清潔に管理するよう努めること。
⑶ 飼養状況に適した頭数を把握し、みだりに繁殖することを防止するため、不妊手術、去勢手術その他の適切な措置を講ずるよう努めること。

  • パブリックコメントで寄せられたご意見をもとに、(2)の記載を「他人へのかみつき、とびかかりその他の危害行為」と具体例を提示しました。


(猫の飼い主の遵守事項)
第11条 猫の飼い主は、飼養する猫について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
⑴ 譲渡する場合は、出生後8週間は当該猫とその親を共に飼養してから譲渡するよう努めること。
⑵ 疾病への感染及び不慮の事故を防止し、周辺の生活環境を保全するため、屋内で飼養するよう努めること。
⑶ 飼い主の飼養環境から逸走するおそれがある場合は、不妊手術、去勢手術その他繁殖を制限するための措置を講ずるよう努めること。
⑷ 首輪、名札等により自己の所有を明らかにするための措置を講ずるよう努めること。

  • (3)について、パブリックコメントのご意見をもとに協議を重ねた結果、原文では屋内飼養できないケースを記載していましたが、逆に屋外飼育の根拠とも捉えられかねない懸念等を踏まえて、逸走させないための措置に限定した条文に改めました。


(飼い主のいない猫との関わり)
第12条 飼い主のいない猫に対し、繰り返し餌を与える者は、当該猫の繁殖を防止するために必要な措置を講じた上で、適切な給餌及びふん尿の処理に努めること。

  • 無責任な餌やり等の行為と、地域猫活動や保護猫活動等との違いを明確にしました。また、第4条の市の責務として「動物の愛護について実践する市民、市民団体等との連携に努めること」と規定することなどにより、動物愛護活動の発展を目指しています。


(災害時等の対応)
第13条 市及び飼い主は、台風、大雨、地震等自然災害に加え、火災等の非常災害が発生した場合(以下この条において「災害時」という。)に備え、及び災害時に対応するため、次に掲げる事項を行うよう努めるものとする。
⑴ 市は、災害時において、市民と相互に協力し、避難所における飼養する動物との同行避難等の動物を保護するために必要な措置を講ずるとともに、日常からの啓発活動等をすること。
⑵ 市は、被災動物の支援のために、支援団体等との災害時における協力関係を築くこと。
⑶ 飼い主は、日常から災害時における動物の適切な飼養のための準備をすること。
⑷ 飼い主は、災害時における同行避難等に当たっては、動物が苦手な者や動物によって健康を害する者、他の避難者にも配慮するとともに、避難所の決められたルールに従うこと。
⑸ 飼い主は、避難所において、飼養する動物が自己の所有であることを明示すること。

  • 飼い主からの関心が高いペットの同行避難をはじめとする災害時の対応を具体的に記しました。

  • ワーキンググループで埼玉県から聞き取り調査を実施した際、「市町村にお願いしたいこと」として、担当者から「災害発生時にペットを飼う人が安全に避難できるよう、あらかじめ避難所におけるペット飼育スペースや受付手順を決めるなど、ペット受け入れ体制の整備を進めていただきたい」といったご意見が寄せられました。当条例の制定により、こうした取り組みの推進に繋げていきたいです。

 

(国等との連携)
第14条 市は、人と動物とが共生し調和のとれた地域社会の実現に向け、効果的に施策を展開するために国、埼玉県その他の地方公共団体との連携を図るよう努めるものとする。

  • 殺処分ゼロの取り組みや多頭飼育をはじめ各種課題について、県など関係機関との情報共有や連携に改善の余地があることがワーキンググループの調査で浮き彫りになったことを踏まえて、(国等との連携)を設けました。


(その他)
第15条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

附 則
 この条例は、令和6年8月1日から施行する。

 

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