
そのとき私の胸には、どうだ、俺は悪い人間ではないだろうという驕慢な昂ぶりがやってきていた。そしてそれを誇示するためにわざと体を大きく開き、左右にねじってブレザーの背中の間にまで係官の手を誘い込んだ。
チェックが済むと。私は25番ゲートを探した。そしてそのゲートの表示はすぐに目の中に飛び込んできた。私はようやく確信と安心を得て、うまくやれたという思いを乗せて闊歩してゲートに向うのだった。私は自分がとてもいい格好で歩いていると思いながら。
ところがふと、手荷物のことが気にかかってきた。私は改札を通過するわずか数分の間を、ボディチェックがそうであったように、ほとんど直感的に判断していた。入り口で荷物をベルトコンベアーに載せられて、それがトンネルに入っていくと、咄嗟にこの荷物は搭乗口まで運ばれて行くのだと思い込んだ。搭乗口にはかつて到着ロビーで見たような円形のコンベアーがあって、そこで荷物を取ればいいと思ったのである。



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