のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケールマシン(スケール号の冒険)

2019-07-04 | 5次元宇宙に生きる(神)

 スケール号は原子よりも小さな素粒子より、もっと小さな体になっている。そう、スケール号は今、素粒子の上に着陸できるほどの大きさなのだ。

そこから見る 原子は宇宙に浮かぶ太陽のようだ。自分の大きさを変えることで同じ物でも全くちがった世界に見える。この不思議な出来事もスケール号の乗組員達にはもう慣れっこになった。

その太陽原子が、次々と揺らめいて素粒子を手放し、空は、好き勝手に飛び交う素粒子で大混乱が起こっていた。一瞬たりとも気は抜けない。

  スケール号はゆっくりと光の川に近づいた。無数の光の球が同じ方向に飛んでいる。まさに大きな川だ。  スケール号はその川の真上に来た。

  「よし、あの粒にしがみつけ。」

  「ゴロニャーン」

  スケール号は川の流れに沿って進みながら、流れてくる球体に目標を定めて近づき、両腕を広げて抱え込んだ。子猫が毛玉にじゃれ付くような感じだ。

 つかまれた光の球は、迷惑がりもせず、進路も変えずに仲間とともに流れていく。  スケール号はまるで川の上に浮かんで、流されて行くように見えた。

 「ひえー、ジェットコースターみたいでヤす」

 「らくちんだスな」

 「光になったみたいです」

 窓を見ながら、みな口々に感想を言っている。誰も聞いていないし、言っている本人もそんなことは気にしていない。みなその光景に心奪われているのだ。

 「すごい圧力です、博士、スケール号は大丈夫でしょうか」

 「心配いらない。スケール号は艦長の意識とともにあるのだからね。不安を持たずに、前を向いていればいい」

 こうしてスケール号は原子の宇宙を移動し始めた。

 原子宇宙の空は、何連発もの花火を見るように華々しい光の洪水だった。あの光の数だけ、この宇宙に新しい物質が生み出されているのだ。そう考えると、それは何か命の誕生を祝うお祭りのようにも思われた。スケール号の乗組員達は、その美しい光景にただ見入るばかりだった。

 ただスケール号だけが、必死で光の玉を抱えている。

 「ふるにゃゴ~」

 気の毒に、周りを観察するゆとりなどなかったのだ。

 やがて光の川は、お祭り騒ぎの空間から、静かな、ほとんど何もない空間に出た。真っ暗な空間がどこまでも続いて、ときおり星のような原子の姿がちらほらと視界に入って来る。その他には雲ひとつない闇の空間だ。 

 「やっとブラックホールから脱出したぞ。」博士が喜びの声を上げた。

 「でも、まだここはブラックホールみたいですけど、博士。」

 「そうだス。にぎやかな空ではないだスが、真っ暗だス。何も見えまないだスよ。こっちの方がブラックホールみたいだス。」

 「博士、本当にブラックホールから抜け出たんですか。」艦長が聞いた。

  「間違いない。ここは通常の宇宙空間だよ。」

 「でもここが宇宙だったら、もっと星が一面に見えていませんか。」ぴょんたは、まだ納得しない。

 「スケール号は今、原子より小さな体になっているのを忘れてはいけないよ。」

 「というと・・・」

 「ああ、そうでしたでヤすね。でも、ここは土の中のように何も見えないでヤすよ・・・」

 モグラのもこりんにしたら、真っ暗で何も見えないのは土の中だ。でもその時には体の周りにしっかりと土の香りがしているものだ。真っ暗で、見渡す限り何もない世界なんて、見たこともなかった。スケール号は何もない真っ暗な空間にポツリと浮かんでいるのだ。

 「宇宙空間を原子の世界から見るとこうなっているのだよ。何もないのじゃない。これが宇宙の本当の姿なのだ。」

 「本当の・・・ですか」

 「宇宙の基本形とでもいえばいいかな。」

 「基本形だスか・・・」

 「わからなくてもいいから、覚えておきなさい。すべてのものは、この空間がつくっているのだ。さあ艦長、もういちど星の大きさに戻ろう。ピンクの銀河だ。」

  「それでは博士、スケール号をもう一度星の大きさに戻します。」

  「ゴロニャーン!」

  スケール号は急速に大きくなり、ブラックホールに飲み込まれる前の大きになった。見慣れた宇宙が戻って来た。爆発した星の周辺には幾つかの明るい星が生まれていた。しかし辺りをくまなく見渡しても、あのパルサー星は見当たらなかった。やはりブラックホールに落ちこんだのだろう。

 「チュウスケもブラックホールに落ちたのでしょうか。」

  「さあ、どうだろうな。」

 「もしそうなら、もう二度と悪いことは出来ないでヤすかね。」

 「分からないだスよ。チュウスケの事だスからね。」

 「さあ、チュウスケの事はもういいだろう。それよりこの眺めをよく見ておくんだ。」博士はみんなに言った。

 「ハハ~ハハハハ~ハハハハ~ハハ~ハハハハ」

 突然スケール号のスピーカーから奇妙な声が聞こえて来た。笑っているのか、叫んでいるのか、歌っているのか、分からない、悲しいような、楽しいような響きがひとしきり続いた。

 「何でヤすか、この声は。まさかチュウスケではないでヤすか?」

 「いや、そうじゃない。危害を与えるような悪い感じじゃないよ。悲しんでいるような声に気こえる。」艦長が言った。

 「ハハハハハッハハッハッハハッハハハッハッハハハ」

 「星の死は、とてつもなく大きな出来事だったが、それ以上に大きな宇宙の意志がどこかにあのかもしれない。」

 「どういうことですか博士。」

 「星の死に対してか、なにか別のことかもしれない。宇宙から何らかのメッセージが発せられているのだ。それがスケール号にまで届いているのだろう。」

 博士はこの神秘的な宇宙の歌声に耳を傾けながら言った。

  「なんだか母親の子守歌のように聞こえます。」ぴょんたが言った。

  「子供の死を悲しんでいるようだス。」

  「友達を呼ぶ声に聞こえるでヤす。」

  「ハハ~ハハハハ~ハハハハ~ハハハハ~」

  切ないような、甘いような。冷たいような、暖かいような不思議な声は次第に小さくなってやがて消えた。

  「今のは何だったのだスかね。」

  「気味が悪いような、懐かしいような、夢を見ているような。」ぴょんたがしんみりして言った。

  「宇宙は分からない事だらけだ、考えて立ち止まるよりも、進もうじゃないか。」艦長が言った。

 「分かりました。」

  「分かったでヤす。」

  「分かりましただス。」

  「よし、スケール号、ピンクの銀河に向かって出発する。」

  「ゴロニャーン」

  スケール号は再び光速航行を始めた。全天の星がスケール号の前方に集まり白い光の束になった。

 

 

つづく

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宇宙の小径 2019.7.4

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 宇宙

 

宇宙とは何かという問いは

自分とは何かという問いと同じだ

 

人は誰も二面性を持っている

自分という事と

宇宙

 

一番深いところに宇宙があって

その上に自分がつくられる

よりよく自分を生きたい

そう思うのは当然のことだ

 

けれど人は誰だって

明暗を繰り返す

露とおち 露と消えにし 我が身かな 難波のことも 夢のまた夢

天下人秀吉の辞世の句

良い時だけではない

死はどんな人にもにも やってくるのだ

人生は苦なり

釈迦の言葉だという

 

思うに

より良い自分とは

宇宙とつながった自分ではないか

そう思える時がある

それは至福の感覚が訪れた時

その時決まって自分は宇宙になっているからだ

絵画と己が宇宙で出会っている

 

素粒子の宇宙

地球の宇宙

それが自分を中心軸にして宇宙とまっすぐにつながる

それは喜びとなる

そこでは

死さえ宇宙に生まれ出る 

一つの契機に過ぎない

そう思わせてくれる

五次元の

智慧

吾は空なり

太閤さんなら

 露とおち 露と消えにし 我が身かな 難波のことも 楽し夢夢

と詠んだかもしれない

安らかに夢を楽しみたい

 


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