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「今夜札幌から夜行列車で流氷を見に行きませんか。」
以前里依子の手紙に、流氷を見に行きたいというこを書いていたことを覚えていた私が、咄嗟に思いついたことだったが、あるいは彼女も賛成するかもしれないと思ったのだ。
ところが彼女はだめだと言った。次の日に会社の祝賀会があって、その受付をしなければならないというのだった。
何度か勧めてみたが、彼女は首を横に振るばかりで、残念だと言えば一人で行ってきてくださいと言うのだった。
彼女の態度は、私に対する思いやりから出たものだとは知りつつも、その言葉は私の心を重くさせた。
しばらく気まずい沈黙が続いたが、やってきた電車に乗り込むと、私は伊藤整の本を取り出し、里依子にそれを見せながら今日の予定を説明したりしているうちにもう札幌だった。
私は里依子と一緒に改札を出、里依子の迎えが来るまで一緒にいようと思っていた。しかしどうにもちぐはぐな気持ちを整理することができず、私は駅のコインロッカーに荷物を預けてすぐに再び改札に向かった。
まだいくらか時間はあったが、それに改札を入ろうとすると、里依子がホテルに予約しなくていいんですかと聞いたが、小樽から電話すると言い残して私はプラットホームに入って行った。
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