のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

具体展観てきました

2022-12-12 | 展覧会

「具体」解散50年で2館合同展 大阪中之島と国立国際

 

具体美術協会が1972年に解散してちょうど50年になる

それを記念した大規模な回顧展が行われている。

大阪の真ん中にある国立国際美術館と大阪中之島美術館

背中合わせの2館が同時開催する合同展である。

 

具体の仕事を孫にも見せたくて、家内と連れ立ったのだが、

よかった。

 

私が具体を初めて観たのは、1970年大阪万博の会場だった。

そこには今まで見たことの無い泡の彫刻があった。

様々な容器の口から泡がどんどん押し出されて来る。

中学を卒業して大阪に出てきた私には衝撃的な風景だった。

その風景は、後に絵を志して師と巡り合うまで記憶にとどまっていた。

 

師(松田豐)に巡り合って、具体を知り、

そこで初めて、私は泡の記憶と結びついたのだ。

 

あの泡は師と仰ぐ先生の属していた具体だったのだ。

あの時、驚き魅了された、作品とも知らなかったオブジェが

吉原治良と共に具体の創立メンバーだった吉田稔郎その人の作品だったのである。

当時の作品を思い出させるようなミニチュアが展示されていて懐かしかった。

 

表題の写真は具体の創始者、吉原治良の代表作品。

いつ見ても、古びず心に迫ってくる。

二歳の孫だが、実は具体の作品に良く反応する。

それで少し無理をして、この回顧展に連れ出したのだが、

吉原治良の作品を、おおきなまる、ちいさなまると言いながら見入っていた。

 

白髪一雄の作品の前で、これは足で描いたんだよと教えると

実際に足を滑らせて絵を描くダンスをした。

 

我が師、松田豐のキネティック作品もあった。

平面を切り抜いて、その中を黒い丸が振り子のように動いている

孫は突然、コチコチコッチンおとけいさんとうたい出す。

人が少なかったので、係員もおおらかで、よく知ってるねと笑ってくれた。

 

森内啓子の白い座布団を108枚立てて並べた作品。

この上を歩きたいと孫は言う。

 

大回顧展、半世紀前の作品が美術館2館に展示されたのだが、

その真価は、子供の反応に現われていると思ったのである。

元永定正の作品の前で

赤リンリンと黄色リンの絵だそうである。

(本展は一部撮影可の作品が展示されています)

 

展示室を出てトイレを探したら、こんなことに!

向井修二の記号の部屋が現われた。用を足すのは少し勇気いる。

残念ながら孫は女子トイレに連れていかれたので反応を見る機会を失った。

我が家が記号だらけにならないように願うばかりだ。

ロビーで手を上げる向井修二の人形。白衣が芳名録になっていて

自由に名前を描きこめるようになっている。

孫がトイレで何を感じたのか、見ることが出来なかったが

万歳を真似る姿に大体の見当はつく。

 

 

人のまねをするな。具体のうたい文句だが、

それは己のまねをするなということでもあるんだと、師に教えられた。

今になって思うことだが、そこにこそ究極の個性があるのだろう。

 

GUTAI 分化 と 統合 展

私の感想だが、

分化=中之島美術館(個性の追求)

統合=国立国際美術館(究極の個性は一つになる)

いい展覧会だった。

2023年1月9日まで

 

 

 


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2 コメント

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『芸術の何たるかを、感じられる展覧会』 (人生の素人:折師)
2022-12-13 00:23:30
 純粋な、芸術の力。
それを写真越し、ブログ越しでも感じました。
 
 言葉で表すほど、表現が遠ざかるほど「飾りのいらない力」

 見る者に説明不要の圧倒を伝える力、
お孫さんのような赤子であっても、感じ理解できる物。

 のしてんてん様の判断、素晴らしかったと感じますよ。 特に子供の頃に見た芸術品というのは忘れ得ぬ人生の指標になりますし。
(私の場合、高村光雲の老猿がそれにあたりますが)

 良い物をブログ越しとは言え、見せて頂きました! 
折師様 (のしてんてん)
2022-12-13 09:03:14
コメントありがとうございました。

2歳になったばかりで片言ですが、言葉に支配されない分感性は豊かだと思いましたね。

大声出したり、突然うたい出したりと抑制が効きませんが、しっかり何かを感じていたのは分かりました。入場させてもらえたのがよかったです。

高村光雲の老猿ですね。あらためて写真を見ると、素晴らしい生命感ですね。
幼少の頃これを見られて、それが心に残り続けているというのは、芸術のなんたるかでしょうね。

今描いている龍の作品にも多大なヒントになりました。ありがとうございます。

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