きつねの戯言

銀狐です。不定期で趣味の小説・楽描きイラストなど描いています。日常垢「次郎丸かなみの有味湿潤な日常生活」ではエッセイも。

三狐神様のお告げ(8)

2012-04-23 10:55:22 | 日記
[初めてお参りの方へ。銀狐稲荷は誰も知らない秘密の場所にひっそりと存在し、銀毛に碧翠と黄金のオッドアイを持つ九尾の妖狐『三狐神様』をお祀りしている。桜の枝に相談事を書いて結べば、結界の奥の三狐神様のお告げを巫女の葛の葉が伝えてくれるらしい。]
(このシリーズはフィクションであり実在の個人及び団体とは一切関係ありません。)

本日は銀狐稲荷にようこそお参りになられました。巫女の葛の葉と申します。三狐神様のお告げをお預かりして参りましたのでどうぞこちらへ。

『私は自分のことが嫌いです。時々壊したり消したりしてしまいたくなることがあります。自分が汚らしく思えてしまって…。人前では普通に振舞っていますが、一人になると泣いてばかりです。自分の気持ちがコントロールできなくて辛いです。どうしたらいいのでしょうか?』とのお尋ねでございましたね?

かなり思い詰めておいでのようでございますね。さぞかしお辛いことでしょう。

しかし、自分のことが好きで好きでたまらない人というものが絶対存在しないとは申せませんが、世の大半の人間は少なからず自分のことは嫌いだと思っているのではございませんか?それは他人にはわからなくとも、自分だけは自分の弱点や欠点を知っているからでございます。
長所は見えにくく、気付きにくいのに短所ばかりが目につく、というのが世の常というものでございましょう。むしろ、そうでない人には進歩は望めないのでございます。

失礼ながら、自分の欠点ばかりをあげつらい、いたずらに自らを堕としめるというのは、一種の自己愛の裏返しでございますよ?
「私、かわいそうでしょ?だから、私を見て!」と貴女は深層心理で叫んでおられるのではないでしょうか?
ただお気づきではないだけ、いえ、敢えて気付かないふりをしているだけ、と申しましょうか?
「私は汚なくて悪い子だから誰も愛してくれないの。だから私も私のことが嫌いなの。」そんな風に思っておられるのでございますね。無意識に、ではございますが。
自分に自信がないから自分を愛せない。それは誰かに愛されたという確信が持てないから。優しい言葉も行動も全て疑ってしまわれるのですね。「こんな私が愛されるはずがない。愛されるなんてことが許されるはずがない。」と。

何故貴女はご自分を罰しようとなさるのでしょう?他人を傷つけるから?自分には価値が無いから?いいえ、何よりも自分を傷つけることでしか「生きていると言う実感」が得られないのでございましょう?ご自分の存在があまりにも希薄で、本当にそこに存在しているのかどうかさえわからなくなる。だから「ここに居るのだ」と感じるためには必要なことなのでございましょう?

逆に言えば貴女は「愛して欲しい」「自分を見て欲しい」「気付いて欲しい」と、ずっと訴えかけておられるのでございます。自分が嫌いと言いながら、いつも愛に飢え愛を求めておられるのでございます。しかし、自分に愛されていない人間を他の誰が愛するのでございましょうか?
貴女は「嫌われている」のではなく、「嫌われたい」のでございます。それを「愛されない理由」にしたいのでございます。ただ、自分の本当の気持ちに背を向けて逃げておられるだけなのでございます。

ご自分のことを好きになる必要などございません。ただ、認めなければいけません。「自分はこんな人間だ」と。
人間だれしも汚ない所や後ろ暗い所の1つや2つは持ち合わせているもの。それを全て含めて自分という人間なのでございます。
美しくなければ、完璧でなければいけないなら、誰一人存在することを許されはしません。人間は神ではございません。不完全だからこそ人間なのでございます。

清濁併せ飲む、ではございませんが、いろんな面があって、でも全て自分自身であるということを認めてごらんなさいませ。
「好きでも嫌いでも構わない。ただ、私はこんな人間です。」と正直に自分をさらけ出してごらんなさいませ。
「そんな貴女でも好き」と言って下さる方もきっと現れましょう。いいえ、現れなくともよいのでございます。
「自分は自分」そう胸を張って言えるようになれば、いつか好きとか嫌いとかいうことにこだわる必要も無くなるのでございますから。

お役に立てましたでしょうか?
またのお参り、心よりお待ち申し上げております。
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