(続き)
では、海から砂山を見てみましょう。 意外に高くはないなぁ?
岩場に挟まれた谷状地形部に、つまり狭い範囲に砂が溜まっているのがわかります。 その両サイドの岩場は「琉球石灰岩」でできています。 写真右側には窪地状の空洞ができています。 おそらく比較的固結度が低いあるいはかつて湧水があり、周りよりも浸食(溶食)が進んでいた場所がさらに浸食(多分海食)が進んだためにできたと思います。
同じような地形が海側にも。 ここでは自然のトンネルが形成されています。 横にいる人と比べると、高さ7m,幅10mはゆうにあります。 やっぱりもろい岩質らしく、トンネル正面には落石防止網(モスグリーン部)が架けられています。
それではもっと近づいて中に入って見ましょう。
トンネルの中から見た海です。水平線左側の島影は伊良部島です。 海水浴客にとっては絶好の日陰ですね。 ところで、天井に落石防止網が架かっているからには、どんな岩質の石灰岩か興味があります(一応趣味と生業上の意味で)
写真で見ると、表面はゴツゴツしていますが、よく見ると数cm大の丸い白石が密集しているのがわかります(写真上側にシャープペンシルが置いてあります)。 これは何か? 正解は石灰藻球(せっかいそうきゅう:Algal Ball)と呼ばれる化石が密集している石灰岩です。 一応、地質名は「石灰藻球石灰岩」となります。
注:学術的にはその他特徴的な含有化石や石灰藻球などを埋めている充填物(マトリックス)が砂質が泥質か、砂泥質か・・・様々な角度から記載しないといけないので、もっと長い名前になるかもしれないけれど・・・ 遊びで来ているのでそこまでできません。
と、開き直ったところで、石灰藻球っていったいナニモノ? と思われるのでその説明を。 石灰藻球は石灰藻(サンゴモ)と言われる石灰分に富んだ藻類が「まりも」のように丸くなったもの。 なぜ丸くなったのかは海流(潮流)の流れによって転がって丸くなったと言われています。
石灰藻自体はサンゴが生育する水深30mくらいでは見つかっておらず、もっと深い水深にいるとされていました(私の学生時代の頃の学説では)。 したがってサンゴ礁の外礁の深海側に傾斜している深い海で構成されたと考えられていました。
今ではサンゴモは沖縄近海の水深60~110mの同じような海底地形で発見されていますので、実証されています。 したがって、砂山ビーチの石灰岩(堆積岩)は水深100m近い深海性の堆積環境でできたと言ってよいでしょう。 では中身はどうなっているの?
これがボーリングコアで観察できる石灰藻球の断面です。 なんか同心円状ですね。 詳しく調べないとわかりませんが(こう言い訳できるから学者さんでない人は楽)、中心に茶色っぽい岩片みたいな核があって、それを中心に白い石灰藻が丸く包まれているように見えます。 だから、核(となるもの)に張り付いた石灰藻は転がりながら球状に成長していったのかな? (注:写真のボーリングコアは全く別の場所のものです。どこかって?守秘義務のため教えません)
この石灰藻球石灰岩は表面を磨くと同心円状のきれいな模様が出ますので、記念碑や置き石などに多く使われています。 いうなれば、隠れた沖縄の天然資源です。 私はもっと利用して、「文鎮」・「床の間の飾り石」あるいは「家庭・夫婦・人間関係・人生円満(丸く治まる)」のめでたい石とすれば「観光資源」として売り出せるのではないかと思います。 ただし、「霊感商法」に悪用してはいけません。 くれぐれも・・・
さて、砂丘を登って帰りましょう・・・・ うぅっ、柔らかい砂だから足先がめり込むように足がとられて・・・あ、歩きにくい! 力を入れてる割には思ったように早く前に進まないよう。 帰りがけっこう大変な場所だということを実感しました。
お詫び:5月29日の池間大橋紹介部分で「八干瀬(やびじ)」と書きましたが「八重千瀬」のまちがえでした(すみません:m(^_^;)m) 読み方については「やびじ」・「やびし」いろいろあるそうで、統一されていません。
最後の話、さらさらの砂ですので、帰るとき思わず苦労。