例えジョナサンが、善良な会計士でも、
私がSなら、彼に恋したりしない。
秘密クラブで会っているのに、
「君に夢中だ。」なんて言われたら、ドン引きだ。
それより、ユアン・マクレガーの、顔のデキモノが気になった。
ヒュー・ジャックマンの素顔は、好青年らしいが、
私は、彼の演じるクセのあるキャラクターの方にひかれる。
ワイアットも、かなり悪い男だ。
「Are You Free Tonight?」で、ジョナサンの前に現れた、
ウォール街の大物の、初老の女性を見た時、
私は思わず、男目線になって、
「一夜と言えども、若い美女がいい。」と感じてしまった。
誰もが心の中で、差別している事に、ハッとした。
その反面、ジョナサンを誘惑し、ワイアットと共に颯爽と歩く、
「S」―ミシェル・ウィリアムズは、確かに美しいが、
ただのつまらぬ、若い女の子に見える時もある。
表情と態度で、ずいぶん違うものだ。
そして、Sをすぐに抱かなかったジョナサンを見て、
愕然として気づいた。
ああ、そうだ。
体に触れる事と、心を通わす事は、全く違うという事に…。
飽きない、分かりやすいサスペンスではあったが、
Sほどの女が、ジョナサンに恋した理由と、
一度別れたはずの2人が、ラストシーンで再会していたのが、
謎だ。