ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

種々の分子を識別出来る高感度センサー

2012-10-12 | 報道/ニュース

表面増強ラマン散乱surface enhanced Raman,SER) という現象がある。ラマン散乱とは、分子の集団にレーザー光を照射し、散乱する光の波長を測定すると少し長波長へずれる。これは、レーザー光が分子の振動を励起しそれによってエネルギーを失うためである。分子の種々のモードの振動を励起するため、散乱光のスペクトルを測定することによって分子が識別出来る。分子の集団をあまりスムースではない金属の表面に置くとラマン散乱光の強度が増大する。1970年代に見つけられたこの現象をSERと呼ぶ。この現象が起こる理由は、入射したレーザー光によってプラズモンが誘起されそのエネルギーが入射するレーザー光をならびにラマン散乱光に乗り移るためであると考えられている。表面がスムースでない方がSERが顕著になる理由は、入射光や散乱光と振動方向が一致したプラズマ振動がSERに寄与するからである。サイズの大きい金属の表面より金属ナノ粒子の集まりの方がSERが顕著であることは明白であろう。

平板上に配列した金属ナノ粒子を用いて高感度のSERセンサーを作成する試みは多くなされてきた。必要とすることは、出来るだけ高密度でナノ粒子を配列すること、ナノ粒子の配列が均一であること、ならびに製作費が安いことであろう。シンガポールの研究グループは、シリコンなどの支持台を特殊な高分子の薄膜でコートし、その上に金ナノ粒子を落とすと規則正しく配列(セルフアセンブリ)し、これが高感度のSERセンサーとして動作することを見つけた。金属ナノ粒子間の間隔は5nmと小さく、まだ製作費も安いという。
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/10/121010150806.htm

高感度SERセンサーが開発されると、がん細胞、食べ物中の病原体の検出に威力を発揮するであろう。

 


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
新幹線男。 (電車男。)
2012-12-26 15:10:03
勿論プラズモンはデジモンシリーズの新種デジモンですよ。
返信する

コメントを投稿